組織 ギルド
「どういうことだ?!」
一室に大声が響く。
「ですから『狼王』オガミが最速でAランクとなった『死神』により討伐されたのです。」
それに答える事務的な声。
大声は王都ギルド支部ギルマスアルト。事務的な声はサブマスカレル。
「そんなことはあり得ない。Sランクだとしても魔族の幹部クラスには勝てんのだぞ。」
「しかし、事実です。」
「そんな規格外がいてたまるか」
「悲観しないでください。」
「手続きが面倒なことこの上ない。そいつに飼い主はいるんだろうな。」
「いえ、野良です。が、王が放っておかないでしょう。」
「Sランクになればそいつの責任はギルドにあるんだぞ。」
ギルドには戦力であるSランク冒険者の責任を全て受けなければいけない決まりがある。たとえ悪行であったとしても。
「ですから王に押し付けるのです。」
「王にくだる可能性はひくいぞ。」
「王には頑張ってもらいましょう。」
「はあ、Sランクの手続きをする。退出してくれ。」
「では。マスター」
カレルはそう言ってギルマスの部屋を出た。
「まったく」
ギルマスアルトはそれと同時にため息をついた。
(死神がどれだけ善人でも力有るものは力であらゆることを解決する。だからSランクにすることはあまりないのだが魔族をたおされてはそうもいかん。死神この特異点はなにをしでかすのやら。)
ギルマスの地位は苦労が絶えない。
(面倒なことになった。奇襲が得意な狼王がやられるとは。)
サブマスカレルである。
(魔族の幹部はそれほど高い地位ではないが、しかし狼王は軍として要だったんだが。私も動くべきか。影蜘蛛と呼ばれる私が表に立つのは望まれないと自覚しているのだがな。魔族との今の関係を継続しなければ他種族の国家間争いが激化する。死神がどう動くか。データが足りんな。)
サブマスは特異点な存在のようだ。
その頃レイルは
「ザガトは何してるかしら?」
「きっととんでもないことやってますよ。」
「そうね。カンナ。」
親友カンナと王都に向かっていた。
何故カンナがついてきているのやら。
「なにか。」
ギクッ
「カンナどうしたの。」
「うん、何でもないよ。」
女って怖い。