土砂降りの雨
多美子が叔父さんに会いにいく決心をします。読んでいただけると嬉しいです。
最近まで体を売って、何とかお金をもらってきたが、
野宿しているせいで一ヶ月近くお風呂に入っていない。
すえた嫌な匂いのする体ではもう誰も買ってくれない。
伯父さんなら、親戚のよしみで、跨がれば、
千円ぐらいは払ってくれるかもしれない。
そう思うと、多美子はいてもたってもいられなかった。
左腕に巻きつけられたピンクの小さな可愛らしい時計をみた。
9時5分。さあ、出発だ。
ぶちまけた荷物を急いでリュックに詰め直した。
空を仰ぐとザーザーと雨が激しく降っている。
雨の中を歩いて行くしかなかった。
雨が止むまで待つことはできなかった。
雨は土砂降りだった。雨はばしゃばしゃ降っている。
多美子は土砂降りの中を歩いていく。
多美子の一張羅の、すえた匂いのするセーラー服がびしょ濡れになる。
それでも、多美子は歩く。多美子はこの雨が、
少しでも多美子のすえた匂いを洗い流して、伯父さんが、
多美子の体を求めてくれればいいなと思う。
晴れていれば乾いた多美子の体がすえた強烈な匂いを発して、
門前払いされてしまうかもしれない。
土砂降りの雨でよかったなと多美子は思う。
読んでいただきありがとうございます。ご意見ご感想を聞かせてくれると嬉しいです。