表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪役令嬢を名乗った私ですが、ラスボス竜騎士団長に「一生愛す」と求婚されました  作者: みー


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

18/20

第18話:【古代の魔法陣】巫女の紋章が示す場所〜悪女の知識と竜騎士の力〜

「ルナは連れ去られた。だが、まだ間に合う」


ゼフィールからの切迫した情報を受け、私は竜騎士団の資料室に再び籠もった。ゼフィールは騎士団本部の守りを固めつつ、私からの情報が届くのを待っている。


私の手元にあるのは、南の辺境国の巫女が使っていたという"癒やしの氏族の紋章"の精密な写しと、古代の移動魔法陣に関する断片的な資料だ。


「大枢機卿ヴァレリウスは、ルナを王都から遠く、聖女の血の力を引き出すための儀式を行える場所に連れ去ったはず。きっと、政治的な影響力が及ばない、辺境の聖地よ」


私は紋章の形状を凝視した。それはただの家紋ではなく、幾何学的な図形が組み合わさった複雑な模様だった。転生前の知識が、私の思考を加速させる。


――「古代の紋章は、しばしばその土地の魔力の流れ、あるいは星の配置図を兼ねる」


私は紋章を、辺境国の古い地図と照らし合わせた。


「この中心の渦巻き……これは、南境の"影の山脈"の中心地を示している。そして、周囲の円は、その山脈の最も高い三つの峰の配置だわ!」


そして、巫女の資料にあった"移動魔法陣"の起動に必要な呪文の一部を、地図のその場所に重ね合わせた瞬間、隠されていた古代文字が浮かび上がった。


『衰退する竜の聖域(サンクチュアリ・オブ・ファディング・ドラゴン)』



「ここだわ! ゼフィールの竜の血の力が弱まり、呪いの暴走が起こりやすいとされた、禁断の地!」


枢機卿は、竜騎士団が最も近づきにくい場所で、ゼフィールが呪いを克服するために必要な力を奪い、アルベールに与えようとしているのだ。儀式は、竜の血の力が弱まる満月の夜に行われるはず。今夜、あるいは明日には決行されるに違いない。


私はすぐにゼフィールの執務室へと走った。


執務室のゼフィールは、黒の全身鎧を身に着け、出撃の準備を整えていた。彼の冷徹な仮面は外されており、その素顔には、私への心配と、敵への激しい怒りが燃え盛っている。


「セシリア。お前の知恵は、何かを見つけたのか?」


「見つけましたわ! ゼフィール」


私は、解読した紋章の地図を彼に差し出した。


「目的地は、南の影の山脈の中心にある"衰退する竜の聖域"です。そこは、古代、竜の血を持つ者が"浄化"のために赴いたとされる場所……つまり、巫女の力が最も強力になる場所です」


ゼフィールは地図に視線を落とし、すぐに頷いた。


「間違いない。そこは、王国の法律が及ばない、枢機卿にとって最も都合の良い場所だ。よくぞ見つけてくれた、セシリア」


彼は私の手を力強く掴んだ。彼の体温が、私の冷静な悪女の仮面を溶かしていく。


「お前は、城で待機しろ。この追跡は、一瞬の油断も許されない。俺が単身、竜の力で空を飛び、奴らに奇襲をかける」


「待ってください、ゼフィール」


私は首を横に振った。


「わたくしも同行します。枢機卿の計画を阻止し、ルナを保護するためには、巫女の紋章と儀式に関するわたくしの"悪女"の知識が必要ですわ。そして、ルナが本当に巫女の血筋であるか、見極められるのは、この私だけ」


私が危険を冒すことに、ゼフィールは激しく反対した。


「馬鹿なことを言うな! お前は俺の命だ! 奴らはお前も標的にしている! お前を危険に晒すくらいなら、巫女など見捨てて、二人でこの国を捨てる!」


彼の愛は、あまりにも強く、独占的だった。


「ご心配には及びませんわ、ゼフィール」


私は悪女らしく、挑発的な笑みを浮かべた。


「わたくしは、この国で最も強欲な悪女ですもの。せっかく手に入れた最強の夫を、こんな陰謀で奪われるのは、プライドが許しませんわ。さあ、わたくしを連れて行きなさい。そして、わたくしに手を出そうとした愚か者たちに、地獄を見せてあげましょう」


ゼフィールは、私の決意に満ちた瞳を見て、ついに観念した。


彼は、私の体を、鎧の上から力強く抱きしめた。


「……わかった。だが、決して俺から離れるな。お前を守るためなら、俺はこの世界を敵に回すことも厭わない」


そして、彼は私に一つの黒いペンダントを手渡した。


「これは、俺の竜の血で作られた"守りの紋章"だ。これを身につけている限り、俺の力は常にお前と共にあり、お前を傷つける者は、俺の怒りによって焼き尽くされる」


私たちは、夫婦の愛と信頼という絆を武器に、王国の運命をかけた最終決戦の地へと向かう。



ゼフィールが空高く呼び出すと、巨大な黒い影が城の上空を覆った。竜騎士団の最終兵器である、彼の契約竜だ。


彼は私を抱きかかえ、その巨大な背に乗せた。


「しっかりと掴まれ、セシリア」


冷たい夜の風を切り裂くように、私たちは影の山脈へと飛び立った。王国の運命は、今、ラスボス団長と悪女の妻の手に委ねられた。

(第18話・了)

(次話予告:【聖域の儀式】王太子の野望と巫女の真実〜ゼフィールとセシリア、夫婦による奇襲〜)

お読みいただき、ありがとうございました! 面白かった、続きが読みたい!と思っていただけたら、ぜひ【ブックマーク登録】と【☆評価(作品ページ下の☆)】で応援いただけると大変励みになります。毎日更新予定です。よろしくお願いいたします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ