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4.終わりと始まり 4

「とりあえず上手く抜け出せたわね!」

「王族非常用通路は脱走する為にあるわけではないのですが・・・」

「問題ない」

「そうよぉ。むしろ楽しかったわ!」

 城を抜けだしたシーダ、アーデ、ソフィスティア、ウルザの4人は未だに賑やかな街の中を外れに向かって歩いていた。

 もちろん全員ローブを被り、ウルザの魔法で見た者の認識を狂わせるようにしてある。

「とりあえず夜中に門を抜けるのはかえって怪しまれるし、明日にでも乗り合いの馬車に紛れて移動しましょ」

「そうですね。では少し仮眠を取った方が良いのではないでしょうか?」

「私、眠い・・・」

「そうねぇ。寝不足は美容の大敵だし。行く当てもないのだから一旦どこかの宿で落ち着きましょ?」

「それもそうね。それなら空いてそうな酒場にでも行きましょ!案外ルディが私達の目を逃れる為に酒場に居座ってるとかもあるかもだしね!」

「まさか・・・。と、姫様あそこはどうでしょう?まだやっているみたいですが」

「その呼び方はやめなさい。とりあえずはあそこに行ってみましょうか」

 中に入ると案の定、酒場は客で賑わっていた。

「いらっしゃいませ~!」

 店の従業員らしい娘は忙しいらしくあちらこちらと動いていて声をかけづらい。

 それを見てシーダが「ちょっと厳しいかしら?他の店を・・・」と口にしたその時だった!

「あ、お姉さん!エールもう一杯!」


『・・・・・!!』


 シーダ達は全員、聞こえてきたその声に敏感に反応した。

 まさかとは思いつつもゆっくりと声のした方を振り向くと・・・


「はい、エールお待ち!」

「ありがとう!ングングング!ぷはぁ!いやぁエールが美味い!」


 美味そうにエールの杯を傾けるルディの姿がそこにあったのだった。


「ウソ・・・」

「まさか・・・」

「本当に・・・」

「幻じゃなくて・・・」

 ルディは大概酔っぱらっていた為、驚き固まる4人の姿に気づく事はなかった。

 もっとも気付いたとしても認識阻害の魔法がかかっている為ルディにはわからなかっただろうが。

 4人は頷き合うと静かにルディの元へと向かい、シーダが正面に構えてアーデが後ろに回る。

 左右にはソフィとウルザが待機し、4人はルディの逃げ場を塞ぐのだった。

 ここまでくれば流石のルディもおかしいと気付く。

「あの~どちら様でしょう?」

「あら?私の事を忘れちゃったの?ひどい人ね・・・」

 そう言ってシーダがフードを外す。認識阻害は解いていた。

「・・・君は!」

 ルディが驚いて声を上げる前にすかさずアーデが後ろから口をふさぐ。

「ごめんなさい。ちょっと2階を借りるわね?あと、これは迷惑料という事で」

「え、こんなに!?」

 ルディ確保を確認したウルザが酒場の娘に話を付けに行き、2階を全て借り切ってしまう。

 ソフィはルディにしがみついて逃がさないようにし、シーダとアーデがルディの足と体を持って三人で2階に移動する。

 それに合わせてウルザが素早く注意を他に逸らす魔法を使ったので、その影響で酒場の客は誰ひとりとしてルディがいなくなった事に気づかなった。


 部屋の一室に放り込まれたルディは自分を取り囲む面々を見る。

「や、やぁみんな!ひさしぶり!?」

 シーダはルディの正面に立って座りこんだルディを見下ろす。

「そうね。魔王城以来かしら?まだ一ヶ月も経ってないけど?」

「アーデも元気そうだね!怪我とかはない?」

「おかげ様で。ルディの力で全快したので何も問題はありません」

「ソフィも、こんなに遅いと眠いだろう?話は明日にしない?」

「いいえ兄様。ソフィはルディ兄様に会えて嬉しくて眠気など消えてしまいました!」

「ウルザも寝たいだろう?寝不足は頭にも美容にも良くないってよく・・・」

「1日くらい大丈夫よ。それに聞きたい事は山ほどあるもの・・・。興奮して眠れないわ。あなたのせいよ?」

 取り付く島も無いとはこの事を言うのだろうか。

 ルディが困り果てていると再びシーダが口を開いた。

「・・・ところで、生きているならなんで私達の所に戻ってこないのよ!馬鹿!!」

 シーダは感情の赴くままに大きな声で叫んだが、事前にウルザによって防音の魔法がかけられていた為なにも問題はなかった。

「そ、それは・・・」

「大方、今生の別れをしておいて実は生きてましたというのが恥ずかしかったとかそんな所でしょう」

 アーデがルディの内心をそのものズバリと言い当てる。

「そ、そういう君達こそどうしてこんな所に・・・」

「兄様は最後、女神様の御許に召し上げられました。だからきっとどこかで生きていると思って兄様を探す旅に出たんです・・・」

「ところでソフィ?なんで兄様?前はそんな呼び方してなかったよね?」

「・・・ダメ、ですか?」

 ソフィが目を潤ませながら上目遣いでルディを見る。

 

 ちなみにシーダは今年で16歳になる。

 髪はロングの黒髪で胸は普通の美少女だ。

 

 アーデは今年18歳で長い赤毛をポニーテールにしてひとまとめにしている。

 シーダよりかは背が高く、普通の成年男性よりはやや低い程度の美女で、胸はかなり大きい。

 

 ソフィことソフィスティアは最年少の13歳。

 腰まで届く金髪を肩の辺りで半分ずつでまとめたツインテールの美少女だ。

 身長は同年代と比べてもやや低めで、顔も僅かに幼さを残しているのだがその胸は4人の中で一番大きい!

 アンバランスな体型の上に運動も得意ではないのでよく転ぶ。


 ウルザは女性にしては背が高いスタイル抜群のモデル系美女。

 足元にまで届きそうな長い黒髪は大きな一本三つ編みでまとめられている。


 ルディは今年で20歳の為、全員の事を世話のかかる妹のように見ていた。

 特にソフィとは年が離れていた為、本当の妹のように構っていたのは確かだった。

 だからという訳でないがルディはソフィに対しては甘かった。

 あと上目遣いの時に泣き顔と一緒に目に入るその大きなものはルディにとって一種の凶器であった。

「わ、わかったから!ソフィもそんな顔しないで!」

「はい!」

「・・・ホント、ソフィってば聖女というより小悪魔よねぇ。自覚なしでアレだもの」

 そんな二人のやり取りにシーダは一人呆れていた。

「それに私達の事を言うなら、あなたこそ何故ここにいるのかしら?確かに死んだわよねぇ?」

 ウルザの質問にルディは苦笑して答える。

「女神様いわく、魔王討伐の御褒美らしいよ」

 ルディは確かにあの時一度死に、その魂は女神の元へと召されていた。

 召された先でルディは魔王討伐の褒美と、世界の為に命を懸けたルディの勇気に敬意を表して再びこの世界に甦らせてくれたというのが事の真相だった。

 そしてその際に、当座の生活費としていくばくかのお金ももらったので、祭の間は王都に滞在してそれから旅に出るつもりだった事をルディは説明した。


「とまぁこう言う訳でさ。心配かけて悪かったけど、こうして元気に生き返ったわけだからさ。安心してくれよ!」

「元気に生き返ったってあなたね・・・」

「みんなはこの国で英雄だし、これから大変かもしれないけど頑張ってよね!俺もこれからはのんびり生きていくからさ!」

「えっ?」

「えっ?」

 ルディとシーダがお互いに顔を見合わせる。

 確かにシーダはルディを探す為に旅に出た。出る筈だった。

 まさか城を出てすぐに見つかるとは思っていなかったから、その後の事など何も考えてはいなかったのだ!

 シーダが茫然としていると急にソフィがルディに抱きついた!

「ソ、ソフィ?」

「嫌です!私は兄様と離れたくありません!私は兄様について行きます!」

 ソフィが必死にルディの体を掴む程に、その規格外の双丘がルディの体に押し付けられてルディは一人焦っていた!

(く、危険が爆発する!)

 焦る想いが思考をおかしくしていると横からも何やら気持ちの良いものが押しつけられた。

「私もルディと行くわね。死んだ人間が生き返るなんて滅多に無いし、あなたのスキルについてももっと知りたいもの。逃さないから覚悟してね?」

「ウルザ、あなたまで!」

「羨ましいならもう片方が空いているわよシーダ姫。戻った所でまたエロジジイやエロガキ達の視線にさらされるのでしょう?ごめんだわ」

「わ、私は兄様だったら・・・。私の運命の人は兄様だけです!兄様がお望みなら私・・・」

「ストップストップだソフィ!そしてアーデ!そこの今にも人を一人殺しそうな眼をしてるお姫様をストップして!」

「・・・私は姫様の騎士だ。貴様には命を救われたが命令を聞く義務はない・・・」

「あれ?何だか声の温度がさっきより低いんだけど・・・怒ってる?」

「何故私が貴様相手に嫉妬などせねばならん!自惚れるな!」

「いやいや!怒ってるって聞いただけでなんで怒られるの?」

「決めたわ。私もあなたについて行く。あなたみたいな色狂いに大事なソフィと、ついでにウルザを預けたら何をされるかわからないもの。私が傍で見張ることにするわ!」

「まだ何もしてないのにひどい扱い!」

「まだって事はこれからするんでしょ!この変態!!」

「姫様の事は私が守ります!この男には指一本も触れさせません!」

「兄様、兄様ぁ~!」

「あらあら、顔を赤くしてどうしたのかしら?私なら別にいいわよ?特別にね・・・」

「離れなさいウルザ!この男は私が一から矯正します!」

「姫様から離れろ!この色情魔め!!」

「痛い痛い!シーダもウルザも腕を引っ張らないで!あとソフィも一旦離れてぇ!」

「・・・シーダとウルザは良くて私はダメなの、兄様?」

「ちょっと、何ソフィを泣かせてるのよ!」

「幼い娘にまで毒牙を向けるとは・・・見損なったぞ!」

「あらあら♪大変ねぇルディったら」

「なんでこうなるんだよぉ~!」


 こうしてルディは再び姫勇者一行を仲間にするのであった。

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