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歪み

「一体どこに?」


レインが辺りを見回す。


だが、気配はない。


いや――感じ取れないだけかもしれない。


「……そこ」


リリィの視線の先。  


何もない空間。


次の瞬間。


「気付かれてたのか」


誰かの声がした。


「っ!?」


振り向くと、そこには一人の男…いや女にも見える…

とにかく人が立っていた。


黒を基調とした装い。


感情の見えない瞳。


「……魔族」


ヴァルグリムが低く呟く。


「ゼルだ」


ゼルと名乗る魔族はそれだけを言った。


「いつからそこに……?」


レインの問いに、ゼルは答えない。


「最初からだよ」


代わりにリリィが答える。


それ以上の会話は続かなかった。


四つの椅子が、ようやく埋まる。


人間。 


竜族。


妖精族。


そして魔族。


全ての代表が揃った。


するとリリィがポツリと言った


「……ねぇ」


「……なに?」


レインが返す


「……ここ、変」


レインは周囲を見渡す。


石造りの空間。


円卓。椅子。壁。


異常は見当たらない。


「どこが?」


レインが聞く


「……音が、ない」


言われて気づく。


風の音も。


外の気配も。


何も聞こえない。


静かすぎる。


あまりにも。


「……結界か何かだろう、一応駐屯所なんだ」


ヴァルグリムが興味なさげに言う。


「違う」


リリィは即答した。


「……止まってる」


「……は?なにが」


ヴァルグリムが聞く。


「……流れが」


理解できない。


だが、ゼルはわずかに目を細めた。


「……なるほどな」


「分かるの?」


レインが聞く。


「分かる必要はない」


ゼルは視線を外した。


「重要なのは――」


一瞬、間が空く。


「ここが“普通じゃない”ってことだ」


その言葉と同時に。


――ゴン


どこからともなく、鈍い音が響いた。


「今の……」


レインが言いかけた瞬間。


――ゴン


まただ。


壁の向こうから。

いや、もっと近い。


「……来る」


リリィの声が、わずかに低くなる。


次の瞬間。


壁が“内側から”歪んだ。


「は……?」


石が波打つ、あり得ない光景。


そして――


“それ”は現れた、異形種。


だが、今までのそれとは違う。


大きい。


そして何より――


「……分裂してる?」


本体から剥がれ床に落ちた欠片が、蠢いていた。


リリィの声が震える。


「下がってろ」


ヴァルグリムが一歩前に出る。


その背中には、一切の迷いがない。


異形種が跳ねる。


速い。


だがそれよりも速くヴァルグリムが踏み込む。


一撃。


空気が裂ける音。


異形種の核ごと、叩き潰す。


「終わりだ」


そう言った、その瞬間。


潰れたはずのそれが動いた、さらにそれは先ほどよりも歪に、新たに形を帯び始めていた


「……おかしい、異形種の再生が速すぎる」


リリィが呟く。


ヴァルグリムの動きが、ほんのわずかに止まった。


異形種はその一瞬を狙いヴァルグリムへ攻撃を仕掛けた


「チッ」


ヴァルグリムが後ろに跳ぶ。


初めての回避。


そう回避したのだ、あのヴァルグリムが。


「……面倒だな」


そう言いながらも、表情は変わらない。


だがその声にはほんの僅かに、苛立ちが混じっていた。


「……やめた方がいい」


リリィが言う。


「……これ、違う」


「何がだ」


苛立った口調でヴァルグリムが聞く。


「……普通の、異形種じゃない」


沈黙。


そして、ゼルが口を開く。


「……場所の問題だろうな」


「場所?」


「ここはエデンへの“入口”だ」


「だからどうした」


ヴァルグリムが言う。


「近いほど、歪む」


ゼルの視線が異形種に向く。


「……あれも、俺たちもな」


その意味を、レインはまだ理解できなかった。


足下には異形種の破片が飛び散っている。

タルタリア(竜族)


地理:氷と雪に覆われた極寒の大陸


特徴:絶対的強者の国

   力がすべてであり、明確な序列が存在する


エデンに対する考え:当然到達すべき場所、疑うものはいない

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