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らぶがん いず べりぃぐっど。  作者: 源小ばと
24/52

24.胸のど真ん中に愛を

一方的に帰れ、ではなく、帰るか?という尋ね方にあたしの心は暖かくなった。

あたしの気持ちを尊重しつつ、ここで争いに巻き込まれる心配もしてくれてるんだろうか…?


「あたしは、それでも…ここに残りたいと思って…」


「シャロ」


メルがなんとも言えない声であたしの名を呼ぶ。


「じゃあ、決まりだな」


やけにきっぱりとルウが言った。


ん?


「ここで魔界の役にたってもらう」


ん、ん?


魔王らしく、堂々とした宣言だった。


「オレの役にたってもらう」


そして、妖艶とも言える微笑みを見せる。


あれ?


クロエを見ると、彼女は顔を引きつらせている。

セスを見ると、あ〜あ、みたいな表情をしている。

メルは無表情であたしを見つめている。


ぽかぽかした胸はスーッと冷めていき、改めて魔王の笑みを見つめ返す。


「えっと…それってどういう?」


「グランツとの戦いは避けられないが、オレは下々の者が巻き込まれたり、土地が荒らされるのはごめんだ。影で魔王らしからぬ平和主義者と揶揄する者もいるが、どうでもいい」


「それは素晴らしい考えだと思うけど…」


まだ真意がわからず、あたしはおずおずと同意する。


「グランツの胸に、お前の言う『愛』とやらを撃ち込め」


「えぇっ!?」


ルウの言葉にあたしの声はひっくり返った。


「ラブ&ピースな解決方法だねぇ」


食事を再開しながら、セスがのんびりと言う。


「いやいやいやいや…」


あたしは激しく首を振る。

あんな強い人に撃ち込んだりできるだろうか…?

そもそもあの人に愛の力なんて届くの…?


「魔界でキューピッド活動をしたいんだろ?この世界で一番荒れてるやつに愛を届ける。素晴らしいことじゃないか」


ルウは機嫌の良い猫のように目を細める。


「あんまりシャロを刺激するなよな」


メルが魔王に臆せず声を上げ、


「シャロ、落ち着け、良く考えろ」


動揺するあたしをなだめてくれる。


確かにあたしはその為に魔界にきた。

他の人がやらないことをしたかった。


あたしが弓矢じゃなくて銃を授かったのはこのため…?

あたしの使命は…。


いろんな考えがぐるぐる回る。


「ルウくん、今日のところはこの話は置いとこ?」


クロエがたまらず、助け舟を出してくれた。


「アタシもシャロも怖い思いして、今日は大変だったんだから。シャロは天使なのに、アタシを庇って戦ってくれたんだから!」


テーブルから身を乗り出す妹に、ルウは素直に従った。


「…そうだな。妹を庇ってもらって感謝する。少し休んで考えろ」


そうして、また静けさに包まれた食事会が再開された。


デザートのシャーベットを食べる頃でも、あたしの気持ちはまだ落ち着いていなかった。



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