目覚めの戦い
1話と結構間が空いちゃいました。これからは2日に1回の更新で行きたいと思います。朝の10時か夜の19時に更新という感じで
「あー、Hello?」
「グガァ!」
「あぶね」
返事の代わりに石が飛んできた。顔面を狙った一撃をかわす。
この緑色のゲロみたいな色した宇宙人はなんなんだ?絵巻とかで出てくる小鬼みたいだなぁ……とかちょっと思ったけど、ツノが生えてるわけじゃないし。ひょっとして……
宇宙人?!
ありえるな……グレーで目がデカいとか人間のイメージだもんな。え、じゃあなに?俺誘拐されたの?マジで?うっそーやだぁ!嬉しくない!
全然嬉しくないが?!俺あらゆる罪を精算しようと自殺したんだぜ?いや誘拐されてるから未遂だけど!ていうか宇宙人にしては、馬鹿すぎるだろ。なんで棍棒持ってんの?あと素手の奴いるし、鳴き声グカァ!ってなに。
え、本当に宇宙人?悪魔とかじゃなくて?100か110㎝くらいの体格に似合わない大層なものを股間にぶら下げていらっしゃるんですけど?!うわぁ勃った
クソ!変なこと考えてたせいで、めっちゃ近づいてきてる!虎視眈々と狙ってきてる!戦うしかない。戦う道しかない!いやまぁ戦うしか無いんだろうけどさ!
――真正面。緑の悪魔?が六体。
四体は棍棒持ち、二体は素手。じりじりと間合いを詰めてくる。
……六対一か
こちらは素手。だが体格では上だ。
問題は――身体能力がどこまで通用するか。
さっきの石……野球ボールより少し大きいぐらいだったけど、かなり速かったな。当たればプロボクサーパンチ並みの威力だろう。
どう考えても戦うしかないよな。逃げてもいいけど……面白そうだし
軽く息を吐く。
「こいよ」
砂利を踏みしめ、踏み込む。
ゴブリンたちが一斉に動いた。
――まず一体。
先頭の棍棒ゴブリンに突っ込み、左から回り込む。
「ふっ!」
顔面に拳を叩き込む。
「グギャ!?」
慣性に従い、後ろに吹き飛ぶ。
間髪入れず、右から来る棍棒を視界に捉える。
遅い!
右手で棍棒を掴み取り、左の拳をそのまま顎へ――
「ッア゛!」
左フック!
「グゲ!?」
悪魔の手が緩んだ隙に棍棒を奪い取り、そして振り抜く。
「お前!」
「ギィィ!?」
鈍い音。骨が折れた感触。
吹き飛んだゴブリンを視界の端に追いやり、次へ。
――残り五体。
身長差があってやりづらい!なんか子供を痛ぶってる気分だ。でも襲ってきたんだ。殺さなければ
怯んだ素手の悪魔が後退し、後ろのもう一匹の素手悪魔と重なる。
まとまったな!
「しね!」
まとめて叩く。
「ギッ!?」「ギャア!」
頭蓋にダブルヒット。二体同時に崩れる。
周りを見渡す。
――残り三体。
一体は最初に殴った棍棒持ち。もう二体は棍棒持ち。
最初のは苦しんでる。残りへ踏み込む。
「グゲ!」
「ッ!」
悪魔の振り下ろしてくる棍棒を避け、蹴りを横から叩き込む。
「グギッ――」
沈む。
「グ、グゲ!」
もう一体の棍棒持ちは怯えて足がすくんでいる。
「…」
手に持った棍棒を悪魔の頭に容赦なく叩き込む。
――残り一体。
起き上がりかけた最初の個体に近づき――
「終わりだ」
棍棒を振り下ろす。
鈍い音とともに、動きが止まった。
「……ふぅ」
息を吐く。
「……案外、なんとかなったな」
空を見上げて、孤独に問う。
疲労はある。何せ久しぶりに体を動かしたから、身体が重いくらいだけど。
視線をまた下に戻し、周囲を見渡す。
倒したゴブリンは六体――のはずだが、
「……あれ?」
視界に残っている死体は、二体だけ。
残りは――灰になっていた。
「は?」
灰の積もったところを見れば、紫色に光る石が転がっている。
何かと思い拾い上げる。
「……なんだこれ」
なんて言うか。石?いや魔石?よくあるやつだ。ゲームとかアニメとかで見るような
つまり――
悪魔は、一定以上損傷すると灰になる?
残っている二体は損傷が比較的軽い。
そう考えれば、一応筋は通る。
「……いや、納得はできんけどな」
魔石は一つ。
数が合わないが、今はもういい。考えたくない
とりあえず生き延びた。
「さて……どうするか」
未知の場所に、完全に一人。
死体が二つ、手元に魔石が一つ。
状況は最悪に近い。
「どうしろってんだよ……」
そのとき。
――ガラガラ、と音。
背後から車輪の音が聞こえた。
「……馬車?」
振り返る。
道の先から、ゆっくりと近づいてくる影。
「あぁ…」
――人だ。
文明の気配。
それだけで、肩の力が抜ける。心細かった心に喜びがこぼれる。
「おーい!」
手を振り、声を張る。
御者台に座る老人が、こちらを見た。
――ようやく、人に会えた。




