さようなら、そしてこんにちは
短いですがエピローグ
レティスフォント家の尻拭いをした報酬を今私は受け取っている。
エディエンヌ・レティスフォントの見事な金髪をばっさり切って売ったらなかなかいいお値段になった。
少年のようなベリーショートな髪型に合わせて、動きやすい平服を購入して着替える。
頭も心も軽く感じて、思わずスキップしながら一路下町を目指す。ポケットにある数枚の金貨も一緒にはずむ。
父母のいるところに私も行くことも考えたが、私の分の出費もおじさまに負担させるのはどうにも申し訳ない。
それよりも自分の力で生きてみたい。というより後者の方が本音だ。
今この体は若く記憶力だって落ちていない。三田恵の人生はそれはそれで一生懸命生きてきたつもりだが、それでも憧れはある。何か「技」を身に付けたい、何かを作り出してそれで生計を立てたい。
失敗して年を取って貧困に苦しんで一人死にゆく懸念をアラフォーの魂が囁く。
若くまっさらな今なら、勢いのまま生きて後悔してもいいではないかと18歳の魂が叫ぶ。
そして今、下町のとある食堂の求人張り紙を横目に、エディーは元気よく扉を開ける。
「すいません!表の張り紙を見たのですが!」
さようなら悪役令嬢!こんにちは新しい「私」!!