↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
大好きな幼馴染を狙うライバルが現れたので、諦めようと思ったら幼馴染がヤンデレ化して激重感情を向けてきた。  作者: エース皇命


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

19/20

第19話 幼馴染に誘拐されて監禁された

「……ん? ここは……?」


 目を覚ますと、暗い部屋にいた。


 ベッドの上だ。


 見知らぬ天井――と言いたいところだが、知っている天井だった。


 小学校低学年くらいの頃には何度も遊びに来ていた緑子(みどりこ)の部屋。その天井である。


「……緑子?」


 暗闇に向かって声をかける。

 カーテンが閉めてあるので窓から外を見ることはできないものの、光の少なさから今が夜であることが把握できた。


 みかん先輩と喫茶店デートをして、その後近くのゲームセンターに行ったり、一緒に夕食を食べたりして楽しい休日を過ごしたことは覚えている。


 だが、みなと坂駅で解散して家に帰る間。

 そこの記憶が完全に抜け落ちている。


 家に帰る前に何かあったということか。


「いないのか?」


「紫音(しおん)……やっと起きた」


 耳元で声がする。


「――ッ」


 気づかなかった。

 すぐ隣で、緑子が横になっていたのだ。


 挑発的な下着姿で、静かに微笑んでいる。


「今何時?」


「午前1時。深夜だよ」


「1時!? 早く家に帰らないと! 瑠璃(るり)も親も心配してるだろうし――」


「大丈夫。もう家族のことは考える必要ないよ。私がいるから」


「は? 何を言ってるんだ?」


 俺をここに連れてきたのは間違いなく緑子だ。

 ここまで気を失っていたことを考えると、かなり強引な方法を使ったに違いない。


 そして、今気づいたが、俺は縛られていた。


 足も手も、おもちゃではなさそうな立派な拘束具でベッドに縛りつけられている。


「なんでこんなことするんだ? 頼むから正気に戻ってくれ」


「全部、紫音のせいだよ」


 ここに来て俺を責めるのか。言い返せないのがなんとも苦しいが、こうなったのは本当に全て俺のせいなんだろうか。


 勝手に闇堕ちしてヤンデレ化したのは緑子の方だぞ。


 その責任の全てを押しつけられるのは理不尽な話だ。


「俺が緑子への恋を諦めたからこうなった……そう言いたいのか?」


「そう。そして、私のことを本当は愛してるはずなのに、鹿内(しかうち)とかいう先輩と浮気した」


「今日のデートの件か……あれは部活動の一環で――」


「嘘はいい。聞きたくもない。でも気にしなくていいから。紫音はもう私だけのもの。先輩のものでも、瑠璃(るり)ちゃんのものでもない」


「どうしてそこで瑠璃が出てくる? せめて瑠璃には連絡させてくれないか?」


 俺はスマホはどうなったんだろう。

 没収されていることは確実だが、瑠璃からの着信は何回も来てるだろうな。


 妹を心配させる兄なんて、兄失格だ。


 それに、妹だけじゃなく、両親も心配していることだろう。これはある意味誘拐だ。


「……」


 緑子は何も答えない。


 沈黙を貫こうとしているらしい。


「まずはこの拘束を解いてくれ」


「逃げ出したりしない?」


「一旦冷静に話そう」


 解放されたとしても、逃げ出すつもりはなかった。緑子の神経を逆撫でして、余計に暴走させることになるかもしれない。

 変に刺激することだけは避けたかった。


 それに、幼馴染として、俺は責任を持って緑子と向き合わなければならない。


 だからこそ、対等に会話をする必要があると思っていた。


「ドアには鍵かけてるから、どう頑張っても逃げ出すことなんてできないんだけどね」


 部屋の照明をつける緑子。


 部屋全体がよく見えるようになったが、一面に俺の写真が貼ってあるのがわかった。昔の写真から直近の写真まで。

 古いアルバムから引っ張り出してきたんだろうな。


 最近のやつは盗撮か?


「よし、まずは瑠璃に電話だ。それくらいはいいだろ」


「……わかった。確かにブラコンの瑠璃ちゃんには伝えておいた方がいいかもね。さようなら、って」


「緑子、いい加減に――ッ」


 気づいたら緑子は手に包丁を持っていた。


 下着姿で包丁を持つ狂気の幼馴染。


 さすがに俺を刺すようなことはしないと思うが、精神的に不安定になっている彼女を刺激してしまえば……そこには悲しいエンディングが待っているのかもしれない。


 渡された自分のスマホを操作し、瑠璃に電話をかける。


 かけた瞬間に繋がった。


『おにぃ、良かったぁ。無事なんですか?』


「実は……」


「いいよ、本当のこと言って。ついでに瑠璃ちゃんを招待しようか」


 妹をこんな危険な現場に呼び出すわけにはいかない。

 だから俺は、嘘をつくことにした。


「今、余計なこと考えてるね。私にはわかるよ。紫音のこと、なんでもわかるから」


『その声……緑子お姉ちゃんですか?』


「そう。紫音は今、私の部屋で監禁してる。一生私と一緒に暮らすから、瑠璃ちゃんもおいでよ。お別れの挨拶くらいはさせてあげるから」


『おにぃに何かしたんですか?』


 瑠璃の声がこれまで聞いたことがないほど低く、トゲのあるものに変わる。


「してないよ、まだ。でももしかしたら、紫音の態度次第では……傷つけることになってしまうかも」


『今すぐ行きます!』


「危険だ! とりあえず俺は大丈夫だってことを母さんと父さんにも伝えておいてくれ」


『るーも行きます! おにぃを奪われるつもりはありません!』


 そして、緑子が強制的に電話を切った。


 堕ちてしまった瞳で狂気の笑みを浮かべる。


「瑠璃ちゃんは可愛いから、傷つけるのは心が痛むね」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。