第6話 紫鶴と生活指導
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放課後。
帰宅すると、和室の明かりがついている。
「おかえりなさい」
「ただいま」
「今日は、窓の部分です」
城の小さな窓が並んでいる。
「細かいな……」
「はい。気が遠くなります」
そう言いながら、紫鶴は楽しそうだった。
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夕飯。
「学校で、何か言われたか?」
「……少しだけ」
「悪かった」
「先輩のせいじゃありません」
箸を止めて言う。
「でも……」
「?」
「一緒にいるなら、覚悟します」
「……覚悟?」
「噂される覚悟です」
俺は何も言えなかった。
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夜。
和室の前で足を止める。
中から、紙をめくる音。
「……ここ……逆……」
小さく呟いている。
白鷺城は、確実に形になってきていた。
※
次の日。
授業中、廊下が騒がしい。
「三崎、放課後呼び出されてたぞ」
「誰に」
「生徒指導」
嫌な予感がした。
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放課後。
昇降口で紫鶴を待つ。
「……先輩」
「大丈夫か」
「注意されただけです」
「何て」
「噂話、気をつけなさいって」
「……」
「でも」
少し笑う。
「城、完成させるまでは、帰りません」
「……帰る場所だしな」
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夜。
「今日は、天守の屋根です」
「いよいよだな」
「完成、近いです」
白鷺城は、天井の明かりを受けて白く光っていた。
※
布団に入る前、ふと思う。
父の城を作っているのは、俺じゃない。
でも、見ているのは、俺だ。
学校での距離と、
家での距離。
どちらも、少しずつ変わっている。
城が完成したとき、
この関係は、どうなるんだろうか。




