表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
朝起きたら探索者《シーカー》になっていたのでダンジョンに潜ってみる 〜1レベルから始める地道なレベルアップ〜  作者: いかぽん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

469/469

最終話 エピローグ(2)

 ほどなくして、多摩川の河川敷にたどり着いた。


 そこにはダンジョンから溢れ出してきたのであろう、百近い数のモンスターの群れ。


 また、それをどうにか撃退しようと奮闘している、総勢三十人を超える探索者(シーカー)たちの姿があった。


 しかし戦場はすでにかなり拡散しており、傷を負って逃げようとしている探索者(シーカー)を追いかけるモンスターの姿も見えた。


「風音、あっちを頼む!」

「了解!」


 風音が飛行軌道を変えて、追われている探索者(シーカー)の援護に向かっていく。

 一方で、俺と火垂を乗せたグリフは、主戦場となっている一帯へと向かった。


 そこでは武具店のオヤジさんを中心に、十数人の探索者(シーカー)たちが、倍近い数のモンスターの群れと戦っていた。


 モンスターは全体に粒揃いだが、その中でも明らかな強敵として目立つのは、二体の炎の巨人(ファイアジャイアント)だ。


 それらの巨大モンスターは大剣を振り回し、探索者シーカーたちを次々と薙ぎ払っていく。


 ファイアジャイアントのほうも多少のダメージは負っているようだったが、致命傷というにはまだほど遠いように見えた。


「火垂!」

「任せろっす! 氷弱点のモンスターなら──射抜け、氷華の矢! フェンリルアロー!」


 火垂が眼下に向けて、フェンリルボウによる一撃を放つ。


 青白いエネルギーの矢が、大気を凍てつかせながら直進し、ファイアジャイアントのうちの一体に突き刺さった。


 胸部に直撃した矢は、氷柱の華を咲かせ、砕け散る。

 ファイアジャイアントは大きくよろめき、苦悶の咆哮をあげた。


「は……!? なんだ、いきなりHPが500以上減ったぞ!? 今の氷属性の攻撃は、誰が」

「見ろ、あれだ! グリフォンに乗った、あの二人」


【モンスター鑑定】持ちらしき探索者(シーカー)の驚きの声のあとに、別の探索者(シーカー)が俺たちを見上げ、こちらを指し示す。


 一方で俺は、グリフが件のファイアジャイアントの頭上に来たところで、従魔から飛び降りた。


 自由落下しながら、神槍を手にした右腕にスキルの力を宿らせる。


「【三連衝】!」


 目標が眼前に迫ったところで、瞬速の三連撃を放った。

 神槍が、巨人の肉体を連続して穿ち──


 次の瞬間、ファイアジャイアントの巨体は黒い靄となって霧散し、魔石が地面へと落下した。


 俺もまた地面に落下。

 ガシャンと鎧の音を立てながら、問題なく着地する。


「なっ……!? あ、あっという間に……!? 相手はファイアジャイアントだぞ!?」


「ハハッ、たまらねぇな……。これが“絶対の守護神フェイタルガーディアン”六槍大地と、“氷炎の大魔導マルチエレメントウィザード”弓月火垂か」


「見ろよ、向こうには“漆黒の女帝(ノワールミストレス)”も来てるぞ!」


「よっしゃ、これなら勝てる!」


「救世主様キタァアアアアッ!」


 探索者(シーカー)たちが次々に驚きや歓喜の声をあげる。


 またオヤジさんも、俺たちに気付いたようだ。


 オヤジさんは大鎚を手に、単身でもう一体のファイアジャイアントと渡り合っていた。

 さすがに荷が重かったようで、かなりのダメージを追っている様子だ。


「おうっ、三人とも来てくれたか!」


「ファイアジャイアントは俺たちが仕留めます。オヤジさんはほかの探索者(シーカー)の援護に回ってください」


 俺はオヤジさんの元に駆け寄り、手をあげてバトンタッチの意を示す。


「そりゃあ助かる」


 スキンヘッドの巨漢は俺の手を叩いて、ファイアジャイアントのもとから退いた。

 それから周囲に向かって、声を張り上げる。


「聞いたなお前ら! わが国の最強探索者(シーカー)トップスリーのお出ましだ! こうなりゃ後は、雑魚の大掃除だ! やっちまえ!」


『おぉおおおおおおっ!』


 それまでやや劣勢にも見えた探索者(シーカー)たちが、息を吹き返したように咆哮した。


 その後は消化試合だった。

 二体目のファイアジャイアントも俺と火垂で早々に倒し、残る有象無象のモンスターは勢いづいた探索者(シーカー)たちが次々と討ち倒していく。


 河川敷にいた数多のモンスターは、ほどなくして殲滅された。


 これでひとまずの事態は片付いたはずだ。

 確認したところ、犠牲者も出ていなかった。

 俺は安堵の息をつく。

 役目を果たした風音も、俺たちと合流した。


 と、そこに──どこに隠れていたものやら、テレビカメラを抱えたカメラマンを含む一団が、俺たちのもとに駆け寄ってきた。


 げぇっ、テレビ局だ。


 俺たちはそそくさと退散しようと思ったが、時すでに遅し。


「あの、日本最強トップスリーの限界突破探索者(シーカー)として名高い、六槍大地さん、小太刀風音さん、弓月火垂さんですよね? すごいご活躍でしたね。よろしければ少し、お話をお伺いしたいのですが──」


 駆け寄ってきた女性リポーターに、マイクを向けられてしまった。

 俺みたいなコミュ力不足の人間に、これキッツイんだよなぁ。


 すると火垂が前に出て、テレビ局の人たちから俺をガードした。


「あー、ダメダメ、ダメっすよ。先輩は口下手だから、全国放送なんかで喋ったらSNSのいいオモチャになるっす。取材なら事務所を通してアポを取るっすよ」


「事務所……ですか?」


「防衛省のダンジョン探索局までどうぞっす」


 いや、そんな話は防衛省に通っていないはずだが。

 しかしこれは、火垂の出任せに乗っかるべきところだろう。


「あー、そういえば風音、夕食の準備の途中じゃなかったか?」


「あ、そ、そうだね。大地くんもお風呂に入るところだったよね」


「そうっすよ。先輩はうちと一緒にお風呂に、むぐぐっ」


「そ、それじゃ、俺たちはこれで帰るので。失礼します」


 来たときと同じように、俺と火垂がグリフにまたがり、風音は自前の魔法で飛んで帰還する。

 背後からはテレビ局の人の呼び止める声が聞こえてくるが、鋼の意志で無視をする。


 だが同時に、オヤジさんの声も聞こえてきた。

 そっちは話が別だ。


「三人とも、助かったぜ。せっかくだからゆっくり話もしたいが、また今度な」


「はい。オヤジさんも無理はしないでください。お疲れ様です」


「お、なんだ。もう俺を年寄り扱いか?」


「ち、違いますよ。それじゃ、また今度」


「おう」


 それから家に向かって、空の散歩だ。

 外野の声も届かないところまで来て、ホッとひと安心。


「はーっ。いっそモンスターより、テレビ局のほうが強敵だよね」


「それな。ていうか火垂、お前あのとき何言おうとしてたんだ?」


「くっくっく……。先輩がうちとふしだらな関係であることを、あわよくば全国ネットで流して既成事実を作るっすよ」


「むしろお前が積極的に俺を炎上させようとしてんじゃねぇか」


「火垂ちゃーん。家に帰ったら、ちょっとお話しようか?」


「ひぃっ……! ち、ち、違うっす! 風音さんを蔑ろにしようとか、そういうわけじゃ……!」


 そんな話をしながら、マイホームへと帰還していく。

 さてはて、これからどうなることやら。


 異世界で100日間の冒険を終えて、現代日本に帰ってきた俺たちだが、こっちはこっちでまた大変なことが起こりつつあったわけで。


 まあ、なるようになるだろう。

 ならなかったら、ならなかったで、今から騒いでどうこうなるものでもないしな。


 やがて我が家の前に到着すると、【テイム】を使ってグリフを小型化させる。

 そして三人と一体で、家の門をくぐった。


「「「ただいまー」」」

「クピーッ」


 さて、今夜の夕飯は何かな。


 俺は二人と一体の相棒とともに、幸せな小市民として、今日も団欒(だんらん)のひと時を過ごすのだった。




[朝起きたら探索者(シーカー)になっていたのでダンジョンに潜ってみる 完]



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
あれ、ここジャンプだったっけ?w あれから40日もあったのに装備もなにもかわってないようでやっつけ感がさびしい。 せめて8連衝ぐらいつかってほしかった。 あえて完結お疲れ様とはいいません、待ってますよ…
異世界での成長した後での元の世界に戻ってからの展開が楽しみで読んでたからめちゃくちゃ残念だ
愛読作の完結、悲しい気持ちもありますが、執筆お疲れ様でした。 お大事になさってください。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ