31 採取する
31 採取する
ヤック草の生えているところに来ると、ウォーラは息を切らして使いものにならなかった。
「いったい何の役に立つのかねー」
呆れながらマリアベルは言い、木の根元付近の草をナイフを使って採取した。
「水は冷たくてうまいぞ」
エルクはオルクの手綱を細い幹に縛り、マリアベルとは違う場所の草を刈る。オルクのそばにもヤック草があるので、誰に言われるでもなく食べ始めた。
ヤック草は短時間で集め終わり、ウォーラはただ寝そべっていただけになった。
「役立たず」
「ひどいです。変態さんが馬に乗せてくれないのが、悪いんです」
ウォーラはさも当然と言わんばかりに反論してくる。
「前のときはどうしてたの?」
「休ませてもらってましたよ。なんか迷惑そうにしてましたけど」
本物だ。本当にいらないやつだった。あの剣士達が正しかったのだ。
「なんかくじでハズレが連続した気分だ」
「わかる。あのやんなきゃよかった感。わかるわー」
「ちょっと、それひどいです。私は変態さんに水をあげる仕事をしているんです」
あれ、仕事だと思ってたのか。エルクが呆れていると、マリアベルが言った。
「水以外、価値なしじゃない。ったく、どこの姫様だっつーの」
「私は都会っ子なんです。剣士さん達がこっちに用事があるってついてきただけで……」
まさかと思ってエルクは聞いてみた。
「マリアって知ってる?」
「知ってます。あの人と知り合ってから、みんなチヤホヤしてくれなくなりました。やりたいやつより、やれるやつとか言ってました」
やっぱりだった。刺客は盗賊だけではなかったのだ。
「最低、男って」
「ちょっと待て。主語がデカいぞ。あいつらだろ? 俺は断ったんだ」
「変態さんは私を狙っているのです。マリアベルさんがいながら、二股なんて。もっとタチが悪いです」
なぜかウォーラはマリアベルの側についた。
マリアベルも頷いている。
「お前達、いい加減にしろよ」
オルクを解放して、歩き出した。
「乗せてくださいよ」
「絶対にイヤだ」
「胸触れますよ」
「……イヤだ」
トーンダウンしたが断った。完全拒否できないところが男子なのだろう。そのことでマリアベルの好感度が下がった気がした。
だがエルクは気にしない。胸を触ったわけではないし、オルクに乗せたわけではない。
誰も乗せずに馬車に戻った。みんな息を切らせているところに、最悪のやつらに出会った。
「よう」
剣士達がいた。そして荷台にオーガの首を乗せていた。勝手にである。そして血まみれであった。
「てめえ、俺の馬車を汚しやがって!」
エルクは再び喧嘩を売っていた。




