24 隣町へ行く
24 隣町へ行く
村を出て、エルクはいつも行っていた町へ行くことにした。いきなり大都会に行ってもいいことはないのだ。
マリアベルはエルクの隣に座り、腕を絡ませてきた。何度邪魔だと訴えてもやめなかった。これはもうそういうものだと諦めるしかないのだろうか。まだ旅立って一日目だし、様子を見よう。
町に着いて、馴染みの店を巡ってあいさつをし、初めての宿屋に泊まった。それぞれに個室を取れる経済状況ではないので、マリアベルと同室だ。
「外食なんて久しぶり。エルクのおかあさまのご飯もおいしかったけど、いろいろ試していきましょう」
エルクが少し元気ないのを察したのか、マリアベルは励ましてくれる。ホームシックにはまだ早い。
「今日は飲もう。これからどこに行くかは明日決めよう」
二人は宿屋の下の階にある小さな食堂兼酒場に向かった。
とりあえずエールとパンとシチューを頼んだ。まずは食べ慣れたものだ。エールも安いやつで、そんなに酔う成分も少ない。体を狙われてる身としては前後不覚になるのは避けたい。
「乾杯!」
「乾杯!」
まず先に来たエールで乾杯した。
エルクもマリアベルも一気に飲んだ。
「久しぶりだわ。エルクの家、誰も酒の話しないもん」
「二日酔いになったら激苦の薬飲まされるんだぜ。だからうちでは酒がタブーだったんだ」
「知らなかったわ」
マリアベルは感心していた。
パンとシチューがウェイトレスによって運ばれてくる。
エルクはおそるおそるシチューを食べてみた。母親のとは違う味だ。不味くはないが、味が濃いように思えた。
「これよこれ。この濃さよ」
「この濃さがずっと続くのか」
「味が濃いのは労働者の食事よ。私達は旅をしながらお金を稼がないといけないから、労働者みたいなもんよ」
周りに視線を走らせる。労働者達がエールで乾杯してる。そして日頃の憂さを晴らすのだ。
村の酒場もこんな感じだった。ただ違うのは、鎧を身につけたやつや、ローブを纏ったやつがいたことくらいだ。
「冒険者ね。スキルがバトル向きのやつらよ」
マリアベルが言った。
剣士と戦士、神官、ローブを着た自然系スキル使い二人。どんなスキルなのだろう。少なくともエルクのような変なスキルではないだろう。
エルクは自然と彼等の会話に耳を傾けていた。
「今なんて……」
「お前を俺等のパーティーから追放するって言ったんだ。何度も言わすな」
剣士が自然系スキルの女性に言った。
「なんで?」
「お前が役に立たないからだ。お前のスキルなんだよあれ。期待はずれもいいとこだぜ」
剣士が笑うと女性以外のメンバーが笑い合った。
それには我慢ができなかったようだ。エルクが。
「テメェ、ちょっとスキルがいいからって調子乗ってんじゃねえぞ」
エルクは立ち上がり、ケンカをふっかけていた。




