表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
48/48

第四十八章:森亜

---翌朝、和兎とまどかは再び病院を訪れた。きいの容態は安定しており、短い会話を交わしたが、彼女はまだ疲れが抜けきらない様子だった。彼女を休ませるため、二人は一旦部屋を出ることにした。


廊下を歩きながら、和兎は低い声で話しかけた。

「昨夜のこと、やっぱり気になる。親父もきいの父さんも、森亜って名前に過剰反応してた」

「ええ。あの反応は、絶対に何か知ってるわ。聞き出せないなら、私たちで調べるしかない」


二人は意を決して、きいの父親が院長室に入るのを見届けた後、その足跡を追った。



---


院長室の扉の前。

和兎は軽く息を吸い込み、まどかを見た。

「聞き込み開始だ。正面突破で行く」

「任せるわ。でも、無駄に怒らせるのはやめてね」


和兎がノックすると、室内から「入れ」と低い声が聞こえた。二人はゆっくりと扉を開ける。中にはきいの父親と和兎の父親が向かい合って座り、深刻な表情で話し合っていた。


二人が入ると、一瞬で会話が止まり、室内の空気が張り詰めた。

「何の用だ?」と和兎の父親が険しい声で問いかける。

「昨夜の話の続きです」和兎はその声にもひるむことなく、ストレートに切り込んだ。「森亜茶子って名前に、どうしてそんなに動揺したんですか?」


きいの父親は眉をひそめ、ため息をついた。

「お前たちには関係ないことだ」

「いや、関係あります」まどかが前に出た。「きいを襲った事件の中心には、森亜茶子がいるんです。彼女が何者かを知らなければ、これ以上進めません」


その言葉にきいの父親が微かに動揺を見せる。和兎の父親が口を挟んだ。

「森亜茶子はただの生徒だ。それ以上のことはお前たちが知る必要はない」


しかし、その言葉には隠しきれない焦りが滲んでいた。

和兎はテーブルに手を置き、まっすぐに父親を見つめた。

「親父、頼むから隠すな。これ以上何かが起きたら、俺たちだけじゃどうにもできない」


室内の沈黙が再び重くなる。そして、きいの父親が静かに口を開いた。

「…森亜という名前は、ある特定の家族と関わりがある。私たちも、深くその影響を受けた」

「影響って…どういうことですか?」まどかが畳みかける。


きいの父親は言葉を選ぶようにして続けた。

「森亜茶子の母親――森亜静香は、かつて私たちの家と密接な関係にあった。しかし、その関係はある事件をきっかけに断たれた。」


和兎の父親も重い口調で語り始めた。

「…ある事件が原因で、彼女の家族は崩壊し、行方知れずになったんだ。森亜静香が姿を消してから数年後、茶子という娘の存在を知ったが、それ以上のことは知らない。」


二人の言葉に、和兎とまどかは息を飲んだ。

「つまり、森亜茶子はその事件の残響…?」


きいの父親は深く頷いた。

「彼女がどうして今、きいに関与しているのかは分からない。ただ、私たちの過去が何らかの形で影響しているのは間違いない」



---


部屋を出た後、和兎とまどかは再び廊下で顔を見合わせた。

「森亜茶子の母親の事件か…。そこに、きいの家も俺の家も絡んでるなんて」

「これで少しピースが埋まったけど、まだ核心は見えないわね」


まどかは決意を新たにしたように言った。

「次は、その事件について詳しく調べましょう。何かが分かるはずよ」


和兎は頷き、二人は再び動き出す。森亜茶子の背後に隠された真実が、徐々に明らかになろうとしていた。


次回予告:森亜茶子の母、森亜静香に隠された事件の真相とは?崩壊した家族の運命が、現代の事件にどう繋がるのか。すべてが交差する瞬間が迫る――!



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ