第5話
ユートです。6歳になりました。
双子の兄妹は3歳です。
最近では1日に直径5センチほどの
魔石を50個造れるようになった。
そろそろ魔晶石に挑戦してみようと思う。
作った魔石は場所がないので粉々に砕いている。
マリア以外の身の回りの人の名前も分かった。
マリアおねーちゃんのお母さんでこの家で
侍女として働いているエリザさん、29歳。
マリアと同じ水色の髪と目をしており
尻尾と耳も同じく水色の狼の獣人だ。
マリアおねーちゃんに
尻尾と耳を触らせてもらったが
ものすごくふわふわしていた。
いつもニコニコしていて綺麗な黒目と
腰まである銀髪が印象的で
とても優しいお母さんの名前は
ナタリア・ローレンス、26歳。
”氷の魔女”の二つ名を持ているそうだ。
街中を歩いたら間違いなく
女の人が見とれるイケメン。
たまにお母さんの尻にひかれている。
でも、困ったときは一番頼りになる
金髪碧眼のお父さんの名前は
アラン・ローレンス、27歳。
僕が住んでいるローレンス領の領主だ。
二つ名は”電光石火”。
ちなみに、お父さんはもともと平民であったが
功績を挙げて国王から準男爵位をもらったそうだ。
一体何をしたの?お父さん。
現在、僕は自室にてこの国について書かれた
子供向けの本を読んでいる。
この国の名前はケイスター王国。
農業が盛んで鉱山資源も取れる。
ケイスター王国の成人年齢は16歳だ。
ローレンス領は王国の北部に位置している。
さらに北に行くと国がありその名前は・・・
「なっ・・・」
驚愕の事実が発覚。
ケイスター王国の北に隣接する国の名前は
「ルキオン帝国・・・」
思わずその名を口にする。
そのあと、急いで調べてみた結果、
あのルキオン帝国であると判明した。
そう、僕が仕え、家族ともども殺された国。
さらに、僕が死んでから300年
経過していることもわかった。
パタンと読んでいた本を閉じ目を瞑る。
不思議なことに帝国に復讐しよう
という気持ちにはならなかった。
正直、今の自分の気持ちがわからない。
ただ、もし機会があれば
妻と娘の魔石は回収しておきたい。
コンコンとノックの音がなり、ドアが開く
「マリアおねーちゃん!」
僕は目をキラキラさせる。
「お友達が遊びに来ましたよ。
今、お庭にいますよ」
そう言えばそうだった。
僕はダッシュで庭へと向かう。
後ろから「ユート様、走ると危ないです」
と聞こえるが無視する。
ふふん、3年前とは違うのだよ。
庭に出ると2人の少女が楽しそうに話している。
声をかけるとこちらに振り返る。
右が村の薬屋の一人娘で琥珀色の髪に
明るい緑色の目をした
癒し系美少女のアルマ。
左が村の長老が溺愛している孫娘で
大人びた雰囲気の黒髪黒目の美少女クロエ。
4人の中で一番しっかりしている。
「あれ?マルコは?」
途端に少し困ったような顔をする二人。
この反応は・・・。後ろか!
バッと振り返るとドヤ顔をした
活発そうな雰囲気の赤髪赤目の男の子、
マルコがいた。
くそ、気配消すのうますぎるだろ。
5歳の時、村で一緒に遊ぶようになって以来
4人で集まって遊ぶようになった。
同い年ということもあり、すぐに仲良くなった。
「なあなあ、今日は少し村の外、探検しようぜ」
とマルコ。
「やめておいたほうがいいと思うよ
魔物がいるから危ないし」
「そ、そうだよ、
クロエちゃんの言う通り危ないよー」
「僕もやめておいた方がいいと思うよ。
危ないし、怒られるし」
「大丈夫だって、ばれなきゃ問題ないぜ」
そう言ってマルコはトコトコ
歩き出してしまった。
僕ら3人は顔を見合わせて
仕方ないと思いながら
マルコの後をついていく。
僕は後にこの決断を悔いることになる。
そして、お母さんがなぜ
”氷の魔女”と言われているのか
身をもって知ることになる。
ーーーーーーーーーー
夕方、遊び疲れた僕らを迎えたのは
門の前に立つ4人の大人だった。
マルコは頭に拳骨をもらっていた。
涙目のアルマは無言で連れて行かれた。
長老に「後で稽古じゃのう」と言われた
クロエの顔は真っ青だ。
そして僕の目の前では
吹雪が吹き荒れていた。
ニッコリとまるで天使のように
微笑むお母さん。
だがしかし、その目は全く
笑っていなかった。
膝の震えが止まらない。
歯がかみ合わない。
お母さんはゆっくりと問いかけてきた。
「ユート、お母さんがなんで怒ってるか、
わかっているわよね」
微笑みながら小首を傾げる。
僕はコクコクと首を縦にふる。
「そう、じゃあ、反省してる?」
夢中で首を縦にふる。
今の僕の顔は涙と鼻水で
ひどいことになっていると思う。
お母さんから放たれていた威圧が
なくなる。
「いらっしゃい、ユート」
いつもの優しいお母さんに戻っていた。
「ご・・・」
涙と鼻水で顔をぐちゃぐちゃにしながら
お母さんに跳びつく。
「ごべんなざーい」
僕を受け止めたお母さんは
背中をトントンと優しく叩いてくれた。
そのまま抱っこされて家に帰った。
今回の出来事で1つ
重要なことを学んだ。
お母さんは決して怒らせてはいけない
長老
齢60を超えるおじいちゃん。
とても物知りで、すごく強い。
老齢ながら素手で岩を砕く、生身でクマと戦い勝利する、
村の中で走るのが一番早い、など多くの武勇伝をもつ。
見た目は白い髭を生やした仙人。
子供からは「おじいちゃん」と呼ばれ、親しまれている。




