第4話
次の更新は7日土曜日を予定しています。
ユートです。
銀髪黒目で優しいお母さんと
金髪碧眼でイケメンなお父さんと
獣人親子のメイドさんから
いっぱい愛情をもらい、3歳になりました。
この世で生きると決心した3年前、
魔法の練習をしようと決心した。
僕が前世で使えた魔法は
土と水、その2つの複合魔法の木の
3種類、しかも攻撃魔法は使えなかった。
ちなみに普通の人は火、水、土、風、雷の5種類
全て攻撃魔法も防御魔法も両方使える。
いつものように魔法を使おうとした僕は
早くも壁にぶち当たった。
その壁の名は「魔力不足」
まず、生まれ変わる前に使えた魔法の中で
一番簡単な大気中から水を集める魔法を使おうとした。
しかし、魔法陣は浮かび上がったものの
すぐにパリーンと音を立てて砕け、魔法は発動しなかった。
そして、僕は魔力の使いすぎで気絶した。
そりゃそうだ、生まれたばかりの赤ん坊の
魔力量なんてたかが知れている。
目が覚めてお母さんからお乳をもらいながら決めた。
まずは魔力量を増やそう。
目指せ前世の魔力量。
魔力を増やすには限界まで魔力を使えば良い。
その日からひたすら魔力使って気絶するを繰り返した。
それから3年、順調に魔力量は増えた。
最近は、水を集めるだけでは1日で魔力を
消費しきれなくなったので
魔石造りにチャレンジしている。
この魔石造りこと”魔石製造”は
自分の魔力を圧縮して魔石を作る土魔法だ。
込める魔力が足りないと魔石ができずに
魔力だけ消費する。前世ではさらに魔力を込めて
魔晶石を造ったりしていた。
ただし、バカみたいな量の魔力を使う。
うん、まさに魔力量を上げるためにあるような
魔法である。 ・・・って、しっまったー。
最初っから”魔石製造”使えばよかった。
そんな後悔をしたのは昨日のこと。
僕は今日も張り切って”魔石製造”を使う。
「・・・ん」
夜の空が白み始める早朝
村の領主の館の一室から明かりが漏れている。
その部屋の主、まだ幼い子供の胸の前に掲げたられた
両掌の間には青色に光る塊が浮かんでいる。
(もう少し、もう少しでできる)
その息は次第に荒くなり、額には脂汗が浮かぶ。
(あと・・・、ちょと、今日こそは)
残り最後の魔力を一気に込める。
その瞬間、青い光がひときは大きく輝く。
光が収まった部屋の中にはベッドの上で気絶する子供
その手には小さい青色の石が握られていた。
ーーーーーーーーーー
「ユート様、朝ですよ、起きてください」
「うにゅ」
あ、マリアだ。
どうやら僕は魔力を使いすぎて
気絶したあと、そのまま寝てしまったらしい。
魔力の使いすぎで眠い。
僕は起き上がったもののまだ半分夢の中で
座ったままの姿勢でこっくりこっくり
船を漕いでいた。
「さあ、着替えますよー」
そんな僕からマリアは容赦なく寝巻きを剥ぎ取る。
一瞬で全部持ってかれた。さ、寒い。
「マリー、しゃむい」
思わず少し涙目になってしまう。
こういう反応は僕がまだ幼いせいか
体が勝手にやってしまう。
「では、この服をパパっと着ちゃいましょう」
そう言ったマリアはこれまた一瞬で
僕の着替えを済ませた。
なんという早業。
「それでは、ご飯を食べに行きますよ」
マリアは寝起きで少しボーとしている
僕を抱っこして、食堂に向かう。
「おはよう、ユート」
「おはよう、ユートはまだおねむかしら?」
「おはようございます、ユート様」
食堂にはすでにお父さんとお母さん、
それにマリアのお母さんがいた。
そのまま僕はマリアの膝の上に乗せられて
朝食が始まる。
今日はマリアがご飯を食べさせてくれる日だ。
僕のご飯係は日替わりで、4人で順番にやっている。
ただ、最近、お母さんのお腹が大きくなってきたので
今は3人で順番にしている。
予定ではあと3ヶ月で赤ちゃんが生まれるらしい。
弟か妹かどちらが生まれてくるか
実は今からドキドキしていたりする。
朝食を食べ終わったあとは
マリアに絵本を読んでもらった。
そうだ、マリアに魔石をプレゼントしよう。
「マリー、マリー」
「どうしましたか?、ユート様」
「こりぇ、あげりゅ」
そう言って僕は起きた時にポケットに入れておいた
直径1センチほどの大きさの青色の小石を渡す。
本当は「これ、あげる」って言いたいんだけど、
まだ舌がうまく回らず、上手に発音できない。
「わー、綺麗な石ですね。
本当にもらっていいんですか?」
「うん、いいよー。
マリーと同じいりょー」
「ふふ、そうですね。ありがとうございます」
やったー。やったよー。
マリアに喜んでもらえたー。
僕は嬉しさのあまりその場で飛び跳ねる。
あ、お母さんとお父さんと
マリアのお母さんの分も造ろう。
お母さんの分は無事に赤ちゃんが産めるように
お守りにしよう。
ーーーーーーーーーー
1週間後、3粒の青色の魔石を握りしめ
自分の部屋からリビングにあるソファーに座る
お母さんへ突撃。
「ユート様、走ったら危ないです」
後ろからマリアの声が聞こえる。
「ママ〜。 へぶっ」
そして案の定カーペットの縁に足を引っ掛け
顔面から盛大に転んだ。痛い。目に涙がにじむ。
でも、魔石は離さない。
後ろから追いついてきたマリアに立たせてもらい
今度は走らずにお母さんの所へ向かう。
お父さんとお母さんと
マリアのお母さんが苦笑している。
「大丈夫?ユート」
「うん、らいじょうふ。
ママ、あにょにぇ」
「うん、どうしたの?」
「こりぇ、あげりゅ」
お母さんは目を大きく見開いて驚いた後
とても嬉しそうに魔石を手に取った。
「素敵なものをありがとう。
マリアも拾いに行くの手伝って
くれたのでしょう?ありがとう」
「え?私そんなことしていませんよ」
マリアは目をぱちくりさせている。
「「「え・・・」」」
「ユートがちゅくったんだよ」
「「「「え・・・」」」」
リビングが静まり返る。
皆、呆気に取られた表情をしている。
うん、なんでそんなに驚いているんだろう。
・・・。
・・・・・・。
・・・・・・・・・。
しまっったー。やらかしたー。
普通魔石作れる人間なんていなかったー。
いち早くショックから回復したお父さんが
僕の前にしゃがみ込んで話しかけてきた。
「ユート、お母さん以外に誰かに
この石を渡したことがあるかい?」
右にいるマリアを見る。
「ほかには、マリーにしか
あげてにゃいよ」
お父さんは、ほーっとため息をつく。
「良いかい、ユート、
この石が作れることはここにいる
家族だけの秘密だよ。
なぜ秘密にしなければならないか
わかるまで誰にもしゃべってはいけないよ。
約束だよ。」
真剣な瞳に見つめられ僕は
コクコクと首を縦にふる。
お父さんに言われるまでもない。
こんなことができるのがばれたら
前世と同じく怪しいやつらが湧いて出でくる。
もう少し考えてから行動すればよかった。
「マリア、エリザ、君達もこのことに関しては
秘密にしてほしい。
あ、マリアが持っている魔石は
そのまま持っていて良いよ。ただし
もし、入手先を聞かれたら
僕からもらったことにしておいて」
「はい、わかりました」
頷く獣人2人。
「でも、本当にありがとう。
嬉しいわ、ユート。」
にっこりお母さんが微笑む。
その顔を見て緊張が解ける。
やっぱりあげてよかったな。
残りの二つの魔石も無事
二人に渡すことができた。
3ヶ月後、生まれてきた赤ちゃんは
男女の双子だった。
魔石
魔物の体内から取れるほか
魔力が溜まっている場所にも自然発生する。
強い魔物の魔石ほど大きく、蓄えられる魔力も多い。
魔石の魔力が枯渇した場合、外部から補充することができる。
透明な石で属性があり、それぞれ色が異なる。
火→赤色 水→水色 土→黄色 風→緑色 雷→紫色
魔晶石
無色透明な石。
魔石が長い時間をかけて変化したもの。
大気や水中から魔力を蓄える性質がある。
数が少ないためとても貴重。
必要に応じて属性を付けることも可能。