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竜族の村で交流します。

遅くなりました。

竜族の村は、村というか野営のような感じだった。

北の山の中腹に位置しており、大きな洞窟の前にはいくつか天幕があった。

俺達は物珍しく周りを見回していると、天幕の一つから女性と、以前会った竜族の長が出てきた。

女性は精神体で会った時と同じ、白一色の姿だった。白竜を示す白いツノに、白い髪と瞳。日に当たっていないであろう真っ白な肌に、大胆にスリットが入った和服のような服。

グラマラスな体型は、出るところは出て腰は細く、足はスラリとして美しい。

でも、作り物めいて見えた。


「うむ。無事来れたようで何より」


「王子殿下、ご足労頂き感謝いたします」


先見の巫女は鷹揚に頷き、竜族の長は俺の前に跪いて頭を垂れる。……って、おいおい、何でそんなに低姿勢?


「凄まじい程の魔力をお持ちじゃの、クラウス殿。我が一族は人よりも精霊や神に近い存在。魔力などの力の流れを感知する能力に長けておるのじゃ」


「王子殿下の魔力は、とても大きく強いもの。我らに逆らう意思が無いことを知っていただきたく」


「なるほど……納得しましたが、外聞が悪いので普通に接してください」


俺が苦笑して言うと、恐縮しなら長は立ち上がった。

それにしても、赤の竜たちは襲いかかってきてたけど……。


「赤の輩は一言で表しますと『戦闘馬鹿』なのです」


俺の心を呼んだかのように、長の後ろから青の青年が教えてくれた。城に来た内の一人だ。


「止めきれず、同胞が申し訳ない」


もう一人、長の後ろから現れた、あの時の赤の青年が頭を下げる。この人はもしや赤の中でも常識人なのかも?


「まぁ、その件は良いので、今回呼ばれた理由を聞いても?」


「うむ。婚約じゃ」


「は? 誰の?」


「我と、クラウス殿じゃ」


「……はぁ!?」


「竜族と契約しておいて損はないぞ。魔王は無理じゃが、先兵の魔族や魔物ならば遠距離攻撃も出来るしの。遠距離武器を多数用意できると思え」


この世界にも火薬はあるが、魔法が発達しているため武器としては発達していない。

そこを上手く使えないかと考えてはいるけど……


「うん。結婚はないですよ。成人もしてないですし」


「婚約でも良いぞ? 側室でも構わぬ」


「そう。先見で僕の事を分かった上で、そんな事言うのは……どうかと思うよ?」


濃密な魔力を纏わせ、俺は優しく巫女に言う。

天幕にいた竜族たちが飛び出してくる。敵襲だと思われたんだろう。

それでも先見の巫女だけはその立ち姿を崩さず、美しい姿勢のまま笑顔で俺を見ていた。


「ふむ。虎の尾を踏んだかの?」


「僕の可愛い人がいない時に言って欲しかったですね。そうしたらもっと穏便に断りましたよ」


『可愛い人』の部分で、俺の影にいる栗色の体温が上がってるのが分かる。それまでは体温が下がってプルプル震えていたのにね。本当に可愛い。


「すまぬ。同族にクラウス殿の力を見せようと思うたのじゃ。まぁ、これならば大丈夫じゃ。我らはクラウス殿を主と認め、常に召喚に応じよう」


「はい!? 何でそうなるの!?」


「竜族は強い者に従うからの。我は巫女じゃから対等であれるが、戦士どもは皆クラウス殿の傘下になるのう」


……。


……。


脳筋かよ!!!!



心で盛大にツッコミつつ、オルを見ると腹を抱えて声を出さずに爆笑するという器用な事をやってるし、ギュンターは「さすがクラウス様!」と目をキラキラさせている。

セシリアは俺の魔力に当てられて目を回しているし、マイコは慌ててセシリアを介抱していた。


うん。カオスだ。


それにしてもセシリア以外が、俺の本気の魔力に耐えられるってスゴイかも。オルはともかくギュンターとマイコまで……。

まぁ、セシリアは魔王戦に連れて行く気はなかった。後衛で回復役だからね。

ふと巫女に視線を戻すと、俺を見て頷いた。


そうか、ここで決めとけって事か。


たぶん俺は成人を待たずして、学園を去るのだろう。

魔物の動きから魔族を見つけて、魔王の顕現に備える必要がある。そしてそれにはあまり時間がないのかもしれない。


「巫女、神託を受けるにはどうすれば?」


「うむ。そこの神官見習いは天幕で休ませるが良かろう。その娘以外全員、我と共に洞窟に入る。奥にある祭壇で神託を受けるのじゃ」


「そう。分かりました。皆もいいかな?」


オルとギュンター、マイコが頷くのを確認して、俺も力強く頷いた。









お読みいただき、ありがとうございます。

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