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先見の力って怖いです。

間があいてスミマセン。

夜中に目を覚ます。

普段は特に気にせず寝ちゃうけど、これはおかしい。目を覚ましたのではなく、目覚めさせた者がいる。

俺は瞬時に空間魔法の結界を張るが、容易く入り込む何かを感じた。


「クラウス様大丈夫です」


俺の影でマイコが囁く。

そう、マイコはずっと俺の影の中にいる。以前、影の中がどうなっているかと聞いたら、亜空間の小部屋があるらしい。普通に飲食出来るし寝ることも出来るが、俺の周辺に異変があればすぐ分かるそうだ。

ちなみに俺にしか使えないらしい。まぁ、使えても俺が許さないけどね。


「どうやら精神体のようです」


「精神体?霊みたいなものか?」


「生霊というのが近いかと」


こんな現象聞いたことないと思ったら、マイコが俺の考えを読んで続ける。


「師匠から聞きました。竜の巫女にしか使えないと」


「竜?」


〈よく知っておるのう〉


結界内に入った精神体……白い靄みたいなものが、女性のような形になって話している。音ではなく頭に直接聞こえてきた感じだ。


〈第二王子殿下には、ご機嫌麗しゅう。我は竜の一族の『先見の巫女』と呼ばれるものじゃ〉


「……何だ……と?」


白い靄が集まった女性は、グラマラスな美女だ。俺はつい疑問を声に出してしまう。


「確認だけど、その姿は実際の姿と同じ?」


〈そうじゃが……それがどうした?〉


「……っく!!」


俺は歯をくいしばる。

くそ!これが現実か!


〈第二王子殿下はどうなされた?〉


「お気になさらず巫女様」


マイコは冷たく言い放つと、俺の脇腹を抓った。地味に痛い。

良いじゃないか。のじゃロリを夢見たって良いじゃないか。


「ええと、とりあえず僕のことはクラウスと呼んでくれていい。で、巫女様が何の用で態々ここまで精神体を飛ばしてきたんだ?」


〈一族の者に王子……クラウス殿を連れてくるよう言ったのじゃが、邪竜が生まれてそれが叶わなかったからのう。邪竜は放っといても倒されると出ていたから、それは放っておいてクラウス殿を呼んで欲しかったのじゃが……〉


「さっさと帰ってしまったからね。巫女様の件は気になったけど、邪竜退治でオルが目立ちすぎたからなぁ……」


あの後、非常警報が鳴り響く町とギルドに、何度退治されたと言ってもなかなか信じてもらえず、セシリアのお父さんのサウス司祭に頼んで言って回ったからなぁ。

やるならやる、で、言ってから退治して欲しかったよオルには……と、思い出すだけで疲れる。まったく。


〈我の先見で、クラウス殿とオルフェウス殿を見る必要があってのう。我が動くことは叶わぬ故、こうして精神のみでまかり越した次第〉


「これで見れたの?」


〈いや、実際会わねばならぬが、一部見えた。我のイメージからクラウス殿の力で北の山に飛べば良かろう〉


「……!!」


俺のステータスを読んだ?いや、先見の一部で俺が飛ぶのが見えたのか……これは、怖いな。


〈誤解の無いよう言うておくが、我は他人の力を見えても他者には言えぬ。それを知っている者が居れば言えるがの。そこの女子は知っておったから言えたのだぞ〉


「誓約魔法?」


〈いや、先見の力に元からある制約じゃ。力の行使に制約が付いておるから大丈夫じゃよ〉


ホッと力が抜ける。信じるか信じないかって、俺には大丈夫だと分かる。実はこれ、とある加護のおかげなんだけどね。


「よし分かった。じゃ、明日にでもやってみよう。幸い学園も休みだしね」


〈よろし頼む。クラウス殿、その伴侶殿〉


「は、はんりょ……え、えええええ!?」

「よろしくー」


真っ赤になって慌てふためくマイコを愛でる。

うん。巫女様は良い竜だ。決定。

ニヤニヤしてたら、マイコがポカポカ背中を叩く。可愛いなぁと、そのまま口を塞いでやった。












「で。イチャイチャしてらっしゃって、寝不足だと?」


「ごめんよギュンター。起こさなかったんじゃなくて、起こせなかったんだよ」


「俺は起きてたが、途中から急に渋めの茶が飲みたくなって食堂に行った」


「悪かったよオル。結界を解くの忘れてたんだって」


「いや、別に危険はないと何となく分かっていたから問題ねぇが」


マイコは顔を真っ赤にして早々に俺の影に入ってしまった。セシリアは「はい、渋めのお茶です」とニコニコ俺に茶を淹れくれた。うん。渋い。渋いよセシリア。


「まぁ、御子が出来ぬようお気をつけくだされば……」


「僕の年齢を考えてよギュンター……」


ギュンターがこっそり呟いた言葉は、俺とオルしか拾えないよう配慮しているのが憎たらしい。

何にせよ北の山に行く準備をして、俺たちは竜の巫女を待つことにした。


「それにしても、私とセシリアも同行して良いのでしょうか?」


「巫女様に聞いてみよう」


〈ほう、その二人か。構わぬぞ〉


「「!?」」


精神体を見ていないギュンターとセシリアが驚いて構える。オルは危険がないと分かっているせいか自然体だ。


〈この姿で失礼する。我は竜の一族である、先見の巫女じゃ。時間も限られておるから、今すぐに飛んでもらうが良いか?〉


「ああ、大丈夫だ」


〈では行こうぞ〉


俺はオルとギュンターとセシリアに体に触れてもらう。すると巫女の姿を形どっていた一部が俺の額に入る。


「クラウス様!?」


「……大丈夫だよ。害はない」


脳内に王都からの景色が映像として流れ、北の山にある竜の里らしき所で終わる。俺はその場所に意識を置くように印を入れた。

俺の空間魔法での移動は、空間を曲げてその場所へ近づけるものだ。それも巫女は分かって里への道を映像として流したのは、流石だと思った。


「行くよ」


俺は魔法を発動させた次の瞬間、部屋にいた全員を北の山へと移動完了させた。







お読みいただき、ありがとうございます。

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