表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
33/39

魔法対決って言われても…はい、やります。

体調不良が続いております…

さてと。

三下くんから魔法対決と言われたけど、何をしたら良いのかな?

ちなみに彼の名前を覚える気は無い。


「この練習場は上級魔法をどれだけ当てても耐えられる構造です。結界内では生命維持を優先としているので、怪我をしても回復するようになってますが……」


その男性教師の申し訳なさそうな顔に、俺はアンニュイスマイルを送ってやる。


「まぁ、彼だけのようですからね。次回はこのような事が無いようにしてくださいね」


「は、はは、はひ!」


真っ赤になった教師に、ちょっと不安になりつつも練習場に向かう。オルが音もなく背後に立つ。


「一応聞くが大丈夫か?」


「ああ、大丈夫だよ。ギュンターも暴走しないように」


「……はい」


さっきからギュンターの周りの風が強い。ちなみにセシリアは餅のように頬を膨らましている。マイコは念入りに止めといたから、俺の影で相変わらず真っ赤な顔になってる。


すり鉢状で闘技場のような造りの練習場は、だいたいテニスコート4つ分の広さがある。中に入ると結界を通る独特な感覚がある。まぁこれを感じるのは俺とオルくらいだろうけどね。

三下くんは真ん中で仁王立ちしている。客席には不安そうな顔をしたクラスメイトたちがいて、大丈夫だよと手を振ると歓声が上がった。


「チッ……そうやってられるのも今のうちだ。おい!早く始めろ!」


「用意は良いですか?」


「いつでもどうぞ」


「では、魔法対決。どちらかが降参するか意識を失ったら終了です。」


三下くんは魔法を出すために何かを唱えているようだ。フライングだぞ。

それを見た教師が慌てて合図を出す。おいおい。


「始め!」


途端に彼の手から炎が出た。『炎の槍』ってヤツだ。

俺はバックステップで距離をとり氷の魔法を展開する。呪文の詠唱とか必要ないけど、一応言ってる感じを装う。


「何!?」


三下くんが慌てる。俺の魔法で炎の槍が音もなく消えたように見えたんだろう。

実際は氷の魔法プラス風の魔法で音と空気を遮断させ、温度差で生じた爆発音も消したんだけどね。

本当は空間魔法で酸素無くしてやるのが楽なんだけど、俺の公開しているのが属性魔法だったから、面倒だけど氷と風の魔法で対応したって訳だ。


「くそ!燃え上がれ燃え上がれ燃え上がれ炎!」


俺は危うく吹き出しそうになる。どこのロボアニメだよ!!三下くんもしや天才か!?

あ、影でマイコが遠慮なく笑ってる。ずるい。


「炎よ!走れ!」


ぶっはー!!ダメだ俺!!無理!!

土魔法で自分の周囲に二メートルほどの壁を作り、吹き出したのを隠した。危なかった。

もちろんただの土じゃない。炎の槍が壁に触れたと同時に、それを一気に土が包んで炎を消してしまう。


「くそ!!」


「もうやめた方が良いと思うよ。君は火の属性魔法の使い手みたいだけど、僕は全属性の魔法を使えるのだから、君が勝つのは難しいよ」


「うるさい!!」


俺はため息をつき、三下くんが再び炎を出そうとする手を氷魔法で凍らせる。


「うわあああ!!」


その氷がじわじわ肩に上がっていくように調節すれば、怯えた彼はそのままフラリと倒れてしまう。

俺の体もぐらりと傾ぐと、いつの間にかギュンターとオルに支えられる。

もちろん俺のは演技だ。


ワッと歓声が上がる。クラスメイトたちに弱々しく手を挙げると、数人の女生徒がタオルを持ってきてくれた。もしかすると例の親衛隊?


「クラウス様、お身体は大丈夫ですか?」


代表らしき緑の髪の女の子がタオルをそっと渡してくれる。


「ありがとう。情けないところを見せたね」


「そんな……っ!!」


弱々しく微笑むと、彼女は真っ赤になって首を振る。そんなに振ったら脳が揺れるぞー。

おや?


「このタオルいい匂いだね。ハーブかな?それとも君の匂い?」


クンクンしてたら、緑の髪の子が「ふぁ…」と言ってよろけて、後ろの女生徒達に支えられている。え?なに?どうした?

痛い。マイコがつねってくる。地味に痛い。


「お前……えげつないな」

「クラウス様、さすがにそれは……」


ええ!?なんだよ!!

セシリアはさっきよりも頬が膨らんでるし。


腑に落ちないまま、三下くんの魔法を解いて元に戻し、凍傷っぽくなってたのは医務室で治すとのことだったので、俺はさっさと寮に戻ることにした。


それにしても、俺は腑に落ちない。

くそう、覚えてろよ!!






お読みいただき、ありがとうございます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ