やっと学園に戻ります。
不定期ですみません。
あれから大変だった。
竜族三人は俺の前に膝をついたまま動かないし、オルは爆笑してるし、マイコは潤んだ瞳でおれを見るし……あと五年したら見てろよって言ったら真っ赤になってるし。
長は俺の立場が分かっているようだった。しかるべき時に先見の者に会わせると約束してくれた。
王位継承権を放棄するまで、まだ準備が出来ていない。そこら辺はギュンターと話し合おう。
竜族の動きから見て、俺は早く動く必要があるかもしれないと思った。
三日遅れの新学期を迎えた俺たちは、教室に行くとワッと囲まれてしまった。
主にオルの邪竜退治が噂になっていたようだ。
『避暑に来ていた美しき王子の護衛が、邪竜を討伐する』と、さり気なく俺が含まれている。ギュンターがめっちゃ頷いているのは何でだ。
囲まれているオルは放っといて俺は席に着き、ギュンターとセシリアは隣で俺を守るように座っている。
「僕は目立ちたくないのだけど……」
「クラウス様に限っては無理ですね。今まで城から公の場に出なかった分、学園での露出は衝撃的でしたから。入学式での挨拶も、未だに熱が冷めないくらいです」
「……そうか」
「あと非公式ですが、クラウス様とオルフェウス殿に親衛隊なるものが結成されたそうです」
「は?」
「まぁ!」
セシリアは目を輝かせた。さすがに親衛隊に入るとか言わないよな?頼むからやめてくれよ?
「言うなれば、我らは『クラウス様公式の親衛隊』になりますけどね。セシリア」
「はい!その通りです!」
おい、ギュンターはドヤ顔で何言ってるんだ。セシリアが変に気合入ったじゃないか。
「その親衛隊って何やるんだ?」
「クラウス様の行動とか言動とか、会報を作って配る……とかでしょう。クラウス様のお兄様の時もすごかったそうです。兄達から聞きました」
「差し入れなどはお断りしてますね。王族の方にはよろしくないですから」
「ああ、頼むよセシリア」
「面白いのは、オルフェウス殿の親衛隊は男子が多いのです。騎士になったオルフェウス殿に登用して欲しいという事でしょうか」
「こうなったら俺も精々利用してやるよ」
群がったクラスメイトをなんとか落ち着かせて戻ってきたオルは、どっかりと席に座る。
「強そうなやつを選抜して親衛隊を作る。んで、魔獣討伐させる」
「ふぅん、なるほどね。底上げかな?」
「今の俺には部下がいねぇからな。将来的に騎士になりそうなヤツらを今から力つけとけば、アレが出た時に楽だろう?」
「頼む」
「おう」
魔王の出現を知らない者からすれば、兵力の増強は戦争への準備だと思われる。学園内でやる分には、特に何か言われる事はないだろう。オルに憧れているからという子供らしい理由をつけて、将来的に兵力の底上げが出来たら良いと思う。
いつものように午後の魔法実技の演習を休もうとすると、魔法実技の教師が困った顔をして来た。
どうやら一度も実技に出ていないというので、不満に思った一部のクラスメイトが進言してきたらしい。
無論、貴族の子供だ。
オルはニヤニヤしてるだけだったが、ギュンターとセシリアの笑顔がすごく怖い。教師が顔を強張らせるほど怖い。俺も怖い。
ちなみにマイコの怒りは、俺が速攻抑えておいたから大丈夫。影で顔を赤くしている。
「そうですね。今日は体調も良いですし参加しましょう」
俺がそう言うと、教師はあからさまにホッとした顔をして、魔法実技の演習場に案内してくれた。
何気に初めてだな。
「やっと病弱王子が来たな。いつもサボりやがって」
いかにも三下という感じの男子が吐き出すように言った。その男子を囲む数人の生徒は、皆申し訳なさそうにしている。なんだ、こいつ一人の暴走か。
周りの女性とや他の男子は、皆彼の言動に引いているようだ。
思うに、彼は毎回この授業で皆を困らせていたのかもしれない。魔力もよく見るとそれなりに強い。
……まぁ、それなり、だけど。
「病弱というのも、サボりというのも否定はしないよ。僕を呼んで何をしたいのかな?」
俺は意識して微笑む。美の神最大限効果を発揮。
周りの生徒は顔を真っ赤にして、熱い吐息をついている。
三下くんも真っ赤になっていたが、頭を振って耐えた。やるな三下。
「俺と魔法対決をしろ!この学園では身分は関係ないんだろう!」
うーん、そう来たか。
どうしようかな。
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