上手くいかなかくても
練習が数日続き、海生の新しい技、飛行機投げは練習し始めてからなかなかうまくいかなかった。練習自体がうまくいかないわけではない。技の練習の時には技自体は出来るようになっているのに、スパーリングの時などにはうまく決まらないのだ。
「海生は組み合った後とか、組み合う直前に相手の懐に入るのは上手いけど、自分から仕掛けるのとか自分からタックルに入ったりするのは苦手っぽいな」
龍生は海生とペアで練習をしたときにそう話した。苦手としていることを自覚させ、克服させようとしているようだ。
「う……そうですね。そこをどうにかしないととは思ってます」
技に入る際に片足タックルと入り方が似ている飛行機投げはタックルの技の仕掛け方が似ているためそこも練習していかなければならない。
「うん。それは意識して練習していくとして、飛行機投げがきまるようにするには、そこを直していくのともう一つこういうのを一緒に混ぜるのはどうかな?」
龍生はこの前の試合で誰かが使っていた繋げ技のようなものを海生に教えてくれた。
実践で使えるようにするために、あとは体にひたすら技を覚えこませる。
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鏡也と帆億はなかなか覚えが良いらしく、構え方、タックル、投げ技、駆け引き等を一通り教えてもらっていた。
「ふっ俺が海生を超える日も近いかもな」
「簡単に追い越せると思うなよ? 勉強だけではなくスポーツでも努力型が最後に笑うと知れ!」
覚えたてのレスリングの構えを取る鏡也と、両腕を大きく開いて上に上げ、片足をあげながら『荒ぶる鷹のポーズ』と叫んでいる練習後の海生。完全にふざけている。
帆億はその大きな体に似合わず、動きが早い。いわゆる動けるデブというやつだろう。中学生の頃はテニスをやっていたらしい。
「ポークなかなかやるなぁ。俺動けるデブって初めて見たかも」
そう言いながら帆億の腹を触り続ける海生。もうポークと呼ぶこともお腹を触ることも全く遠慮がなくなっている。初対面から遠慮があったとは言えないが。
「帆億だっつってんだろ! そのあだ名定着しそうになってるんだぞ何かマネージャーの人達までそう呼び出したし」
美優と優香は一瞬でそのあだ名を気に入り使い始めていた。
そして物陰から除く影が二つ。
「何かさわり心地良さそうだよねあのお腹」
「私もモミモミしたぃいいいいいいい」
実は海生達の入部前、この二人は嫌がる三年生の武光の腹を触りまくり、以来武光から避けられている。




