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フリースタイル  作者: カブリネコ
過去の後悔をふりきって
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トイレでの邂逅

 トイレを出ようとした海生は、いきなり後ろから声をかけられる。


「海生勝ったんだねおめでとう!」


 反射的に笑顔になりありがとうと答えた海生。だがこの場所にいるはずがない、いてはいけない存在がそこにはいた。


「何で男子トイレにいるんですか優香先輩!」


 そうここは男子トイレなのだ。

 女子である優香がいて良い場所ではない。


「いやぁ出るタイミング逃しちゃってさ。入るのは以外に簡単だったんだけど」


「いやもうどこから突っ込んで良いのか解らないですけど出ますよ!? 幸い今は人いないですし」


 優香は海生の後ろに隠れながら男子トイレを後にした。


「いやぁ男子トイレってちょっと興奮するね!」


「お願いですからちょっとは言い訳とかしてください。あれ下手したら捕まってますよ?」


 少しも悪びれる様子がない優香に、海生は呆れてしまっている。

 ちなみに優香は何故かほんのり顔が赤みがかっている。


「海生さんお願いします何でもしますからこの事は言わないでください」


 優香からのお願いに、特に何の感情も込めず海生は答える。


「誰にも言いませんよ別に。それに優香先輩が変態なのはここ一ヶ月で慣れましたし」


「え? 女の子が何でもするって言ってるのにエッチなこと何も要求しないの?」


 何を要求されると思っていたのか、優香は少し残念そうな顔で呟いている。


「俺を何だと思ってるんですか優香先輩。まぁでも……」


 海生は優香の耳元に口を近づけ、呟いた。


「パンツぐらいなら見せてもらうかもですね」


 優香は顔を真っ赤にしてうつ向く。


「か、海生もそういうこと言うんだね」


「冗談ですよ。それに男同士だと割と下ネタ言いますし。女の子の前では言わないけど……」


 珍しく恥ずかしがる優香に、あくまでそっけない態度で答える海生。


「あれ? ねぇ海生。それって私を女の子として見てないってこと?」


 先を歩く海生に、袖を引っ張りながら問いただす優香。


 その発言を無視し、そのまま歩き続ける海生。


「ねぇ海生ってば」


 海生は袖を引っ張られながら、開場に戻り次の試合の準備をした。

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