84kg級
団体戦のニ回戦が始まる。団体戦の出場校は三校になるため、この試合に勝利すれば団体戦の優勝が決まる。
相手の高校の名前は『首里工業高校』、団体戦は六階級をそろえており、74kg級のみ欠けている。
「はっはー 一階級分ハンデがあるとはいえ負ける気はねぇぜ?」
やけに元気で張り切っているように見える選手がいた。整列して学校別に並んだ際に84kg級であることが分かる。
「康太よぉちょっとは強くなったのか? まぁ強くなっててもまたボコボコにしてやるから覚悟しとけよ?」
「舐めないでください? 俺がいつまでもあなたの下だと思わないことだ」
康太が敬語を使っていることから三年生だとわかる。なにやら因縁がある相手のようだ。そして試合がはじまった。
50、60、66kg級の試合はそれぞれ通天高校の選手が勝利、55kgの幸隆が三年生の先輩相手に負けてしまった。いい試合だったが、一歩及ばなかった。
あと一試合勝てば、通天高校の団体戦の優勝が決まる。
「おー来たな康太。可愛がってやるよ」
「その言葉、学さんにそっくりそのままお返しします」
そして84kg級の試合開始のベルがなる。
開始と同時に手を伸ばしたのは学と呼ばれた三年生の選手。
挑発的な態度で康太の頭に手をおいた。睨みつける康太。
その腕をはたき落としタックルに入るモーションに入る。学はそれを回避しようとするが、タックルはフェイントだったらしく、空振りに終わる。
お互いに向き直り、距離をとる。次に仕掛けたのは学の方だった。康太の前に出されていた手を掴み、タックルに入る。
だがそのタックルは康太が両手でガッチリと押さえつけることで阻まれる。そしてそのまま全体重をかけることによって学に足をつかせた。
「いつまでもあなたの下だと思うなと言ったでしょう」
康太の猛攻撃が始まる。