攻防
試合開始の合図でお互いに一度両手を合わせる二人。
手を合わせると同時に匠は前に出る。最初に出された相手の手首を掴み、自分に引き寄せようとする。対する相手は、もう片方の手で懐に入ろうとする匠の肩を受け止めそれを阻止する。
匠はそこで止まろうとせず、力任せに強引にタックルに入った。
腕を力まかせにどかし、相手の両足を腕で抱え込む。相手は身を引いてなんとかソレを回避しようとするが匠がソレを許さない。
倒れこむ相手に猛攻をかける。タックルに入った体勢からバックに回り込み、相手の背中に手をつき後ろをとる。そこから腹に手を回し、クラッチを組んで横に回転させようとする。
相手も必死の抵抗を見せ、グラウンドでの攻防が続く。
その攻防で時間がたち、二分を迎える直前に動きがあった。なかなかそこから試合が進まなかった所に、力任せに匠が強引にローリングに持ち込んだのだ。
合計3ポイントを稼ぎ1ラウンド目は匠の勝利で終わった。
「ふぅ……1ラウンド目は何とか勝てたな」
「匠、何でも力まかせに行くのではなく、技や駆け引きで相手を畳み込むんだ」
30秒のインターバルの間に上地が匠にアドバイスをする。
レスリングの試合は1ラウンド2分、コレを2セット先取することで勝利となる。匠は1セット取っているので次のラウンドを勝てば勝利だ。逆に次を取られると、3ラウンド目に移行してしまう。ここは2ラウンド目も取ってストレートで勝ちたいところだ。
「わかりました先生。護には腕力で勝ってるんで、押しても引いてもダメな時は、力でなんとかします」
「匠、それはわかってないと言うんだ」
そして2ラウンド目が始まる。
相手はここで流れを変えようとばかりに果敢に攻めこんできた。
ラウンドが始まると同時に組み合おうと前に出てくる城間高校の二年生。名前は護まもるというらしい。
組み合おうとし、少し長めの腕を伸ばしてくる護。1ラウンド目と同じように、そこからタックルに入ろうとした。
「ワンパターンだばぁよ匠」
しかし今度は懐に入ることは出来なかった。




