R-side 03
/R-Side.
母さんを探してフラフラしている内に、中庭の日向で昼寝をしてしまった様だ。
「んん……」
「あ、灰兎起きました?」
「へ、母さん!?」
目の前には母さんの顔。その手前には二つの大きな山が見えた。母さんはおっきい。いやなんでもない。
「灰兎お弁当忘れてたから届けに行ったら、出かけたって言われたので探していたんです。そしたらここで気持ち良さそうに寝ていたので、ちょっと枕になってみました」
そう言って笑う母さん。その姿は物凄く可愛くて、胸が締め付けられた。
「私の膝枕、寝心地はいかがですか?」
「うん、良いよ。もう暫く寝ていたい位だ」
「でも、昼休み終っちゃいます」
「そうだね。じゃ、ご飯にしようか母さん」
「はい!」
胸が締め付けられる理由は今の俺には分からないけど、俺の胸には母さんへの愛しさが溢れていた。溢れまくりだった。でも、この愛は決して届かない。俺は母さんが大好きで、愛しているけれど、この想いは決して実らない運命なのだ。だって、母さんは母さんだから。
時折見せる母さんの切なそうな顔を見ていると、おかしな妄想にかられる事がある。
母さんも俺を一人の男性として愛していて、俺と母さんが晴れて両想いになるって言う妄想だ。何だそれって感じだし、俺自身この想いが異常なものなのかも知れない事だって解ってる。
でも、好きなものは好きなのだ。仕方が無いじゃないか。どうしようもないじゃないか?
「灰兎、あーん」
「あ、あーん」
母さんのこれは、ちょっと過剰な母さんなりの愛情表現で、俺への愛は俺からの愛とは別物なのだろうと思う。だけど、俺はそれで満足なんだ。満足な筈なんだ。
でもどうしてだろう。
俺は、母さんの泣きそうな、悲しそうな顔がどうしても気になった。
何か大事な事を忘れている様な、大事な想いを忘れて来てしまったかの様な、そんな喪失感が胸一杯に広がっていた。何故だろうか。凄く虚しかった。
「灰兎」
「ん? 何、母さん?」
「ううん、何でもない」
「?」
笑顔の筈の母さんが、悲しそうに見えたのは何故なのだろうか。
どうしようもなく、心が痛んだ。




