No.2 放課後
「でんせつ・・・」
「圭太の奴、寝言言ってるぜ」
「なぁ隼人。お前のケータイで録音しろよ」
「お、ナイスアイデア。それじゃあ・・・」
ガバッと、圭太は顔を上げた。
場所は教室。
時計は三時三十分。
つまり六時間目が終わって五分経過したと言うことである。
圭太の席の周りには洋介と田島隼人の顔。
「・・・何?」
圭太は状況がよく掴めていない。
「あーあ。隼人がカチャカチャ鳴らすから起きちまった」
洋介がわざとらしく隼人に責任を押し付けようとすると、
「俺のせいかよ。洋介だって微妙に大きい音量で喋ってたじゃねぇか」
隼人は笑いながら押し付け返そうとする。
隼人とは中学に入った時、席が隣という縁で仲良くなった。
今でこそクラスは別だが、こうして圭太のクラスによく遊びに来ている。
「二人共何かしようとしてたな?」
圭太が聞くと、
「「何でもねぇよ」」
と、二人は声をそろえて言った。
こういう時、白い歯を見せられて返されると、
ついどうでもよくなってしまうのは何故だろう?
「しっかし、クマ吉の声って眠くなるよなぁ。ぐっすり寝てたお前の気持ちわかるぜ。」
クマ吉というのは、さっきまで授業をしていた教師のあだ名で、
本名は熊田吉久。だから生徒の間では「クマ吉」と言うあだ名が付いている。
「隼人は寝てなかったのか?」
「俺は今日からガリ勉になるって決めたんだ」
隼人はよく「今日から俺は○○する」と言うのだが、
三日以上続いた試しがない。
「こいつ絶対明日には忘れてるぜ。賭けてもいい」
洋介が自信満々に言うと、
「よし、じゃあ明日俺が一日中起きてたら練習の終わりに缶ジュース一本おごれよ」
そう言って隼人が拳を出すと、
洋介が自分の拳をコン、とぶつけた。
―こういうのっていいなぁ。
圭太は二人の友情に憧れた。




