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Numerous Divided Life ニュマラスディビデッドライフ  作者: 靄然 翠
〈第2章 混合の灰は種間競争に喰らわれる〉
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7話 『命を知る』.87

 いやいやいや。何あれ速すぎんだけど、逃げきれないって。


 爆速で近いてくる"何か"から身を守るために【完全防御空間】を発動する。


「いやいや、僕はモンスターじゃないよ?」


「ん、エフメリアさん?」


 俺に爆速で近づいていたのはモンスターではなく、エフメリアさんだった。


 いやいや、モンスターじゃないって思う方が無理あるでしょ。あんな爆速で来られて。普通に怖いし。


「ここで何してるんですか?」


「いや、ディグニくんを探してたんだよ。頼まれてた品、持ってきたから」


 エフメリアさんはそう言いながら球体と腕輪を渡してくる。


「その腕輪をつけてボタンを押してみて」


「え?はい」


 俺は言われた通り腕輪をつけ起動する。


『*システム起動。認証:ディグニファイド・ブラック。適正ユーザーです。コネクトスタンバイ:ユーザーのMPシステムと連動します。コネクト完了』


「ステータスを確認してみて」


「わかりました」


━━〔ディグニファイド・ブラック〕━━


Lv:50


HP(体力):370/400

MP(魔力):200/200(1340/1500)

STR(筋力):300

DEX(器用):150

AGI(敏捷):250

VIT(防御):300

STM(持久):200


所持金:864500G


武器・右:天堕神剣・フェルサタン

武器・左:神樹軽盾

頭:白金之似軽鎧

胴:白金之似軽鎧

腕:白金之似軽鎧

拳:白金之似軽鎧

腰:白金之似軽鎧

脚:白金之似軽鎧

足:白金之似軽鎧

アクセサリー:ゴブリン族首飾り


所持品:

ーーー(開く)

━━━━━━━━━━━━━━━━━━


 ちなみに、ステータスはダームンラインを倒した時に得たポイントで上げておいた。

 って、


「1500?!」


「それが今の限界らしくてね。ちょっとずつレベルアップさせるらしいよ」


「マジすか⋯⋯で、これってなんで機械なんですか?」


「械獣への対抗心だと思うよ」


「はぁ」


「じゃあ僕はこれで」


「あ、待ってください」


「ん、どうしたの?」


「質問があって」


◇◆◇◆


 木で作られた部屋。武道を極めし者が使うその部屋は、使い古された形跡がありながらも綺麗に保たれている。


「待たせたね」


 しばらくして入ってきたのは、先ほどゲーム内で俺のことをここに招いたエフメリア・グラウベン、もとい真田修二さんだ。


「修二さん。なんで俺をここに呼んだんですか」


「強さの秘訣を教えてほしいって言ったのは凛くんでしょう?だからだよ」


「いや、それがわからないんですが」


「だからね、強さの秘訣を教えるのは生身の方が適切だからだよ」


「は、はぁ」


「すでに着替えは済んでるね。じゃあ凛くん。本気で僕を倒そうとしてみてよ」


「え?」


「いいから。殺す勢いで」


「なら、本気で行きますよ」


 腰についた黒色の帯をしっかりと結び、怪我しないように加減しつつ蹴りを入れる。

 しかし、修二さんはそれを物ともせず避け続ける。


 なら。


 右足で反時計回りに回りながら修二さんの腹部辺りを狙うような蹴りを放つ。それに釣られて、修二さんが腹部に手を持ってくる。


 読み通り。


 蹴るために出された右足を回転のまま地面に着かせ軸足とし、左足による後ろ回し蹴りを怪我しない程度の威力で顎に向けて放つ。


 それを修二さんは避けずに受ける


「手加減はしなくていいって」


 修二さんが冷たくそう言う。


「い⋯⋯いいですけど、それなら修二さんも攻撃してきてくださいよ。防御しか取らない相手に対して一方的に攻撃できるほど、俺の心は腐ってないですから」


「それもそうだね。じゃあ今度は僕も手を出すよ」


 と言うことで、また距離を取る。


 そういえば、修二さんって剣道とか居合道くらいしかやったことないんじゃ⋯⋯あぁ言うのは道具があってこそのものだろ素手だけじゃ何もできないだろうに。


 そう思っていると、修二さんが両手を左腰に持っていく。左手は腰の真横で、右手はその数十センチ前方で楕円を掴む長に拳を握る。まるでそこにそれ(・・)があるかのように。


 ⋯⋯ん、いやあるぞ?いやいやいやいや⋯⋯え、幻覚?だって、さっきまで持ってなかったよね?怖い怖い怖い。見えるもん刀が、飾りすら見えてくるもん。違うって、色々と。ジャンルも違うって。世界観が少年誌や青年誌だって。プロボクサーとかクソでかいカマキリを想像だけで具現化させてる世界観だって。この世界は24時間を超えて生活なんてできないし、軍に単独で勝てる人間はいませんよ?


 真田修二。真田幸村の子孫にして、現代最強の剣士。彼を知らないものはこの世に一人も居ない。語られていないだけで、黒葛凛もこの事実を知った時、衝撃を受けた。だからこそ、今回。真田修二に教えを乞うた。しかし、真田修二は現代最強の剣士などではない。現代最強の人間(・・)である。まぁ、とある男を除きではあるが。


 第四次世界大戦時に、たった一人でとある軍を壊滅させた男がいる。その男は、刀一本で戦場を駆け抜け、軍を壊滅させた。その男は真田修二の祖父に当たる。そして、修二はその祖父を殺した。


 そんな真田修二の一挙手一投足が、存在しない刀を作り出す。


「じゃあ」


「え、ちょっ」


「始めようか」


 スタートと同時に修二さんが一気に踏み込んでくる。そして、右手を振る。

 それに対し、上半身を反って避ける。


 ウリィ⋯⋯ってふざけてる場合じゃねぇ。なんか刀身見えるんですけど?反射して自分の姿が見えるとかはないけど、刀身見えるんですけど?


「見えてるんだ。大丈夫、当たっても問題ないよ。ただの幻覚だから」


 そう言う問題じゃないし、なんで幻覚なのに幻覚で俺を切ろうとしてるんですか。


 次々と出される修二さんの攻撃を避けながら、好きができるのを狙う。現実ではあそこまでの剣速は出せないらしく、普通に避けることができる。いや、手加減してるのかもな。今持ってる刀は幻覚で実際にあるわけじゃあないんだから剣速はあげれるだろうし。


 などと思っていると、修二さんの右横腹がガラ空きになる。

 この好機を逃すわけもなく、そこに向かって蹴りを放った次の瞬間。エフメリアさんが姿を消す。そして、心臓を刈り取るような嫌な気配が俺を襲う。


「遅い」


 気がつけば、修二さんの手刀が俺の喉元を捉えていた。


 修二さんが手を退けると同時に、俺はすぐさま自分の喉を触る。

 修二さんはそんな俺に構わず話し始める。


「凛くんがしたくないって言うのなら、僕はそれを認めるよ。だけど、抑えすぎだ。もう少し出してもいいと思う。まぁ、それは君自身が決めることだ。と言うことで、本題に移ろう。単刀直入に言う。君に足りてないのは命を大切にする気持ちだよ。NOWにもそれが顕著に現れてる。確かに、死ぬギリギリまで制御せずに戦うのも強い。だがね、命⋯⋯生にしがみつく人間の方が強いんだよ。そして、その後の発展はいちいち言わなくても君ならできる」


「あ、ありがとうございました。最後に一つ質問してもいいですか?」


「なんだい?」


「なんで、修二さんや兄さんは街を歩く時変な歩き方をするんですか?」


 兄さんたちは、街を歩くときなどで、変な歩き方をする。何が変なのかというと、テンポだ。普通の人がトントントントンと歩くなら、兄さんたちはトントトントントントトトンなどと、テンポがまばらである。


「あぁ、それは⋯⋯すぐにわかるよ。とりあえず、帰りな。まぁ僕が呼んだんだけど」


「じゃあそうします」


◇◆◇◆


 生きた心地しねぇ。まじで死ぬかと思ったぜ。


 なるほどなぁ。確かに、俺は命絵お軽く見ている。死んでも復活すればいいくらいにしか考えてない。だが、もし死ねない状況になったら?そう言う時のためにも、命を大切にしないとな。


「て言うか、なんで修二さんは歩き方について説明してくれなかったんだろうか」


「だって、実際に体験した方がわかりやすいでしょ?」


「うわっ」


 待ってましたと言わんばかりの顔で、修二さんが後ろから話しかけてくる。

 いや、心臓止まるかと思ったわ。て言うか、いつから?


「いつからついてきてるんですか?」


「家出てすぐだよ。ずっと着いてきてる。足音も気配もしなかったでしょ?気配を消すのはできなくても、足音って簡単に消せるんだよ。ちょっと特殊な歩き方で極限まで足音を小さくしたら、相手の歩く感覚に合わせてこちらも歩けばいいだけ。それだけで、足音はほぼ完全に消える。だから、変な感覚で歩くわけ。真似させないように」


「なるほど」


「てことで僕は家に帰ってNDLに戻るよ。これから南の方の火山帯にダンジョンが発見された⋯⋯いや、元々あったし原住民たちには知られてたから発見されたは違うね。まぁいいや。そのダンジョンに寄るつもりだから。凛くんたちも、そっちでの用事が済んだらこっちに来なね」


 そう言って、修二さんは帰っていく。

メタい凛。


軍に単独で勝てる男はいます。だって、この世界の人間じゃないし。

勝てないってなると即死系の技を繰り出すタイプの敵。名前を書いたら死んじゃうノートとかね。

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