3話 『旅の道中、苦難あり』.83
我慢できなくて投稿
「準備はいいか?」
「僕はいつでも」
「俺も」
「じゃあ行くか」
俺たちは、昨日のうちに準備を済まし、西方へと向かうことにする。もし必要なものがあればトレードボーグで入手することもできるし、準備といっても軽めだ。
なんなら、準備した後に跳蟲填黒林に向かったしな。
どうやら、この先の砂漠地帯にいるサンドワームは跳蟲填黒林から別れた種らしい。
走っている途中、空を見てみれば、スカルイーグルとスカルホークが縄張り争いをしている。
いや、スカルイーグルとスカルホークの違いって何?スカルホークのメス個体はスカルイーグルのメス個体よりでかいし、そこの違いはなんなんだよ。
そんなことを考えていると、いつの間にか砂漠地帯に入る。まぁ、左側の遠くの方には跳蟲填黒林が見えてるんだがな。
それにしても殺風景だな。何もない。
「あれ?」
砂漠地帯を走っていると、さっきまであったノーシュの姿が消えていることに気付く。
「おい、ノーシュは?」
どこで消えたんだよ。砂漠地帯に入るまではいたんだから、俺らのこと見失うとかはないだろ普通。スタミナがなくなったか?いや、それはないだろうし。はぁ。
「あれ、さっきまでいたが。引き返すか」
俺たちは、ノーシュを探すために来た道を戻る。
地鳴りのような音を聞きつつ、走っていると、だんだんとその音が大きくなる。気になって、ノーシュを気にしつつ近づいてみる。
そして、ノーシュを見つけた。見つけたのだが⋯⋯
「おぉ⋯⋯」
「どうしたんだディグ、おぉ⋯⋯」
「なんだよ、お前らのその反応。早く助けてくれよ」
「えぇ、アルクスが助けてよ」
正直言うと俺はしたくない。と言うか、ミスって俺も巻き込まれたくない。正直視界に入れるのでさえ嫌だ。頼むからアルクスがやってくれ。
「いや、ディグニが助けろよ。こういうの得意だろ」
「いや、確かに得意だけど、これは違くない?」
「いいから助けろよ」
「無理だわ。だって、クソデカ蟻地獄だぞ?」
そう、こいつ蟻地獄にハマっている。いや、ゲーム内の名前は知らねぇよ?けど、蟻地獄には変わんないし。デケェんだもん。きもいじゃん。想像してみろよ、くそデカい蟻地獄に襲われている奴がいて、助けようと思うか?思わねぇよ。
「で、どうやって助ける?」
「あそこにいるサンドワームに食わせる?」
アルクスの差した方向を見ると、サンドワーム、もといアレーナウィルムスが砂を泳いでいるのが見える。
「物理的に可能であったとしても、その行為をサンドワームが行うかな」
「行うと思う。というかそういう個体がいるだけなんだが、巷で⋯⋯」
アルクスのその言葉に被せるように、轟音と共に俺たちは影の中に入る。
何事かと思い、上を見てみれば、超巨大なアレーナウィルムスが蟻地獄を捕食しているのが見える。
うわぁ
すると、ある程度の高さまで上がったアレーナウィルムスが落ちてくる。
「やべ、逃げるぞ」
蟻地獄が消えたことで、抜けることができたノーシュを連れて全速力で逃げ出す。
しかし、アレーナウィルムスは音に反応するようで、高速で俺たちのことを追いかけてくる。
「これって止まったらダメなのか?音を出さなきゃいいんだろ?」
「あいつの聴覚は鋭いし、止まったとしても音が消えたところに突っ込んでくる性質があるらしい」
まじかよ。じゃあどうすればいいんだ?
逃げるのも無理っぽいし。だったら、本当に死ぬくらいしか方法がないんじゃないか。それか、別の標的を作り出すか。⋯⋯こっちに関しては現実味がないな。
通すっていっても、ダメージ通りそうにないし。一回試しに斬ってみるか。
「【熾天使の裁き】」
うわ、ダメージ通ってねぇ。熾天使でも通んねぇの?これあれか。打撃しか効かないタイプか。
どうしたもんか。
⋯⋯いや待てよ、さっき砂地獄を狙ってたのは音の他にもあるんじゃないのか?
例えば、獲物を狩る時にあまり体力を使いたくないみたいな。その可能性があれば、逃げ切ることができるんじゃないのか?
「死ぬまで逃げ続けろってか?」
俺がそんなことを考えていると、ノーシュがアルクスにそう問いかける。
「逃げ続けるか、戦うか。あるいは、トレードボーグの方に行けば対処してくれるはずだ。どうやらドラの音が苦手らしい」
ドラの音?そう言うことは早く言えよ。それなら、対処できそうな手が一つだけある。
「ノーシュ、これ持ってろ」
「へ?」
「離すなよ!」
俺はゴブリンの棍棒でノーシュに持たせた〈鋼灰丸盾〉を思いっきり叩く。すると、轟音が鳴り響き、アレーナウィルムスが逃げていく。
「ふぅ成功」
「ノーシュくんが痺れてるけどいいのか?」
「いいだろ。後ろ乗せてやれ。いくぞ」
「あ、あぁ」




