134話 ハクとクロ
核とやらを狙うらしいので、まずは一番濃いところ、おそらく俺が入ってた場所にもう一回行く必要がある。
俺は多分核の近くの外側に居たんだろう。濃さ的にも。
「いけ」
光剣を柱の中心目掛けて飛ばす。柱の表面で砕かれる。硬いな。
「【スラッシュ】!」
ハクさんの斬撃は普通に通っている。浄化の力がついてないから効き目が悪いのかもしれないな。
「くっ」
「こっちだ」
飛んでいて機動性は俺の方が高い。あちこちから伸びる槍の中をハクさんを抱え、掻い潜る。
ついでに保険も。
「これは……?」
「魔力を纏わせただけだよ。少しはマシのはず」
聖剣と本人に、練り固めた魔力を纏わせる。浄化と勇者の金銀のオーラと、纏わせた黒いオーラが混ざり、とても綺麗な光景だ。
「降ろすよ」
「はい。【グランドスラッシュ】!」
大きめの触手を斬ってくれた。でもこのままじゃジリ貧だ。黒塗りの魔の手数が多すぎる。
「一点突破する。突っ込むから着いてきて」
「もちろんです」
『条件を満たしました』『スキル【リンク】を発動します』『リンク先を検索中』『検索結果、該当一プレイヤー』『プレイヤーネーム:ハクへの接続が可能です』
ナイスタイミング。
『スキル【リンク】が待機しています』
「【リンク】」
『リンクが完了しました』『プレイヤーネーム:ハクのスキル【限界突破】と【天元突破】が使用可能になりました』
「【限界突破】、【天元突破】」
金と銀のオーラが噴き出す。力が漲ってくる。自分の魔力を練って聖剣の形を作る。
「えぇ……」
何でもありだな。他にも色々できそうだが、遊んでる余裕は無い。こうしてある間もハクさんが捌いて時間を稼いでくれてる。
【飛翔】の効果時間も終わったから、地面でハクさんと歩調を合わせれる。
「お待たせ」
「遅いですよ」
「へ〜? 言うようになったね?」
「今だけは信頼してますので。共通の敵を相手にする時は信じきるのが一番ですよ」
何か前までウジウジしてガキみたいだったのに、急に大人っぽくなるやん。何かあったのかな?
「何かこいつに縁でも?」
「友の敵は私の敵です」
「友達? こいつにやられたのか」
「…………鈍感ですね」
は? こちとら敏感でおなじみのクロさんやぞ?
「?」
「行きますよ、敵兼ライバル兼友達さん」
「ああ、なるほどね」
「置いていきますよ!」
ハクさん、いや、ハクが駆け出す。
「待てや、【ダッシュ】!」
友の背中を追うように、追いかける。並んで走る。さっきの肩書き的なやつの中に黒幕が入ってないのは悔しい。俺の行いが情けなかったからだろう。
「はあ゛あ゛あああああぁぁぁ!!」
「どらあ゛あ゛あ゛ぁぁぁ!」
ハクは聖剣を、俺は聖剣もどきを振り、横からの攻撃を斬り伏せる。
その勢いのまま、正面に迫っていた柱の壁に向かって二人で聖剣ともどきを突き出す。
硬質な魔を突き破り、突き進み、周囲が黒くなる。退路は既に無い。
俺が出し続けている魔の防御で呑まれずに済んでいるし、ハクの聖剣の力がこちらの聖剣もどきにも伝播して強化されていなければ進めなかっただろう。
どちらかがいなければ、ここまでは来れなかった。
周囲より格段に黒い球体が見える。あれから周囲に黒の穢れが染みていってるように見える。
間違いなくあれが元凶だろう。
少し上にあるので、両足で周囲に張った魔の防壁を蹴り、全力で跳ぶ。
聖剣が重なり、吸収され、聖剣がより輝きを増す。
ハクの左手の上に俺の右手を重ね、聖剣を核目掛けて突き出す。
「「はあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ああああああああぁぁぁぁ!!!!」」
お互いの全てが混ざり合う感覚を覚えながら、俺達は一本の槍のように、核を貫いた――――




