第2話・コンプリケーション少年編
彼が自殺して死んだと知ってからもう1ヶ月は過ぎようとしていたある日のこと。
少年はいつものように登校し平然と授業を受け支障なく毎日を過ごしていた。
「おい。見ろよアイツ」
「あぁ、まだ1ヶ月しかたってないのに」
「サイテー」
「人じゃないんじゃない?」
クラスメイトは口々に少年に意味もない陰口をわざと聞こえるようにしてざわつきながら言っていた。
そんなことを少年は思った。
なんで人は自分が他人の悲しみにちゃんと干渉でき他人の不幸にちゃんと泣けるアピールをするのだろうか? アピールできることの何がそんなに偉いのか? 悲しみを我慢し普段通りに出来ないお前らほど俺は精神年齢は低くはないんだ。死んだ人の気持ちを考えずにむやみやたらに悲しむのはただの慢心が招く最低最悪な自己主張行為ではないか。
そしてそんなことを思いつつもさらに流れある日、事が起きた。
「えー、皆さんにお知らせがあります。----さんが昨日起きた自宅の火災により死亡しました」
「……うそ」
「マジかよ」
「いやいや、冗談だろ?」
「でも、昨日消防車がいっぱい走ってたかも」
短い期間で死者が2人も出てしまうと言うまるでアニメのような出来事にその死んだ子の友達と思しき数人以外は無近親にもほどがあるほどに好奇心をまじえざわつきだしていた。
死んだ子の友達数人はショックのデカさから声が出なくなりただ茫然としていた。そんな周りを騒ぎ立てるその他大勢。
そしてその日を境にクラスの雰囲気が一気に変わった。
話声を騒ぎ立てるのは一部の頭の緩い生徒数人にクラスの半分がちまちまといたりいなかったり。なぜか少年がいたクラスだけが悪化していった。
「おい、お前ら! 教師の話をちゃんと」
「どうせまた命の大切さとかを言うんだろ? もう飽きたよ」
「死人が2人も出てるクラスでそんなことやっても無意味じゃね?」
「それな」
死人が2人も出てクラスメイトの協調性がほぼ全滅し学級崩壊と言う単語がよく似合う教科書に出てきそうな汚いクラスと化したそのクラス。
その中で少年はただ一人依然となんら変わらないスタンスで学校に通っていた。
しかしそんな日々は少年にとっては心地よかった。人の心が浮き彫りになり醜い様を表面上にだしそれをかっこいいと信じてやまない馬鹿どもとそれを無視して授業を受け続ける少年ともう一人の彼女。少年にとっては彼女すら興味の対象になれなかったが認識はしていた。
同類の人間だと。
決して話すこともなくただ知っている。お互いを認知し合っているだけの赤の他人。そんな少年と彼女がある日、話すことがあった。
「君、私に似てるね」
「……は?」
それはある休み時間。昼食を食べるために誰も来ない屋上に行きいつも一人で食べる少年のところにその彼女はやってきた。
赤く細い綺麗なフレームのメガネに少し茶髪がかった綺麗な髪の毛。風によって運ばれてくる女子独特の甘いほのかなにおい。それと冷徹すぎるほどの無表情っぷり。
そんな彼女が突然少年に見下すように話しかけてきた。
「なに、聞こえなかったの」
「あぁ。ってかその前に座れ」
少年は彼女に座っていた隣の地面をたんと一回叩く。ここに座れと誘導した。彼女はそれに従うかのようにそこに座りまた同じことを言ってきた。
「なに、聞こえなかったの」
「今さっき、あぁと答えた気がするが」
「……そうね。悪かったわ」
彼女は一間おいて答えた。
「まぁ、大よそなんて言ったかは見当がつくがな」
「そうなの?」
「君、私に似てるね。とか言ったんじゃないのか?」
「あら、あってるわ」
彼女は別段驚いたり気味悪がったりせず淡々に答えた。
少年は昼飯を食べ彼女は体育座りでぼーっとしている。君が悪い光景だった。
「昼、食べないのか?」
少年が隣で何もせずに座っているだけの彼女にそうたずねる。
「昼は食べれないわ。形がないもの」
「はぁ。じゃあ昼食は食べないのか?」
「食べないわ。だってもうすましたもの」
「そうか。ならいいのだが」
少年と彼女はこの後もただ無言でいた。
そして少年が食べ終わり「ごちそうさま」と小さく言い終わると彼女が突然あることを言い出した。
「ねぇ、君は人の死について興味あるかしら?」




