4話目 恋人のための悪事
――事件の1日前――
私は結局、彼に正直に想いを伝えることに決めた。その方が自分のためにもなるし、もしかしたらを狙うことができるからだ。
ヒロシにやる気がどんどん湧いてきた。
太陽が下がってきて、まるで空が紅葉しているようだった。
「そうだ、告白するからにはがっかりさせない規模のものを用意しよう。今夜は案を考えるぞー。」
ヒロシは何時間かずっと考え続けた。
「バラを渡そうか、彼の喜びそうなものはなんだろうか、どんな姿で行こうか、お金はどうし……」
――次の日――
もう朝だ。昨日は考え事をしてそのまま寝落ちてしまった。買い物へ向かう途中で思い出そう。
この路地を離れるのは久しぶりだ。1ヶ月間も過ごしたから、少し愛着が湧いてしまった。
「行ってきます」
ヒロシは路地を外れ、明かりの方向へ歩き出した。ビルの窓が彼を応援するように輝いている。街は賑やかでどこからも彼の目を刺激する。そんな中、周りと比べてやけに静かな、少し不思議さを感じる出店がある。
「あなたの悩みを魔力で解決します、救世主占い屋!?」
私と彼の相性などを確かめたいが、当てになるか分からず、コマのようにクルクル回っていた。
「お兄ちゃん、こっち来なよ。」
気味の悪い老婆が話しかけてきた。面倒なことになってしまった。私は1度近づいたが、頭を冷やし、遠ざかった。
「兄ちゃん、悲しい未来だのう。」
ダッダッダッ
適当なことをほざくな、ただの言いがかりだ。信じるな。そう心に聞かせて、早歩きをした。
必死に歩いているうちに、ショッピングモールにたどり着いていた。あぁ、神様。この数日間だけはどうか無事に過ごせますように。
ピロロンッ
中に入ってみると、どこか落ち着くようなbgmが流れている。真っ先に目に現れたのが、花屋だ。
「バラを買おう」
買うお金はない。それなら、どんな手を使ってでも手に入れよう。私は真っ先にトイレへ向かった。足が重く、私を良い方向へ導いてくれたが私は行くしか無かった。鏡を見ると、私の顔は、見たことの無い、知らない人の顔であった。
「よし、やるぞ。俺ならできる。バレても1ヶ月は持つだろう。1ヶ月もあれば充分だ。その頃には悔いなんて残っていない。」
私には重い罪を背負う覚悟があった。結局、倫理というのは欲に勝つことはできないのだ。
1分程、トイレの入口の角で生気のない顔で人を待ち受けていた。そして、私の目に人間が映った。そして、1秒も経たないうちにその人間の目を突き刺すと同時に口を塞ぎ、すぐさま髪を引っ張った。
「ウゴッガゴグッア゛」
「残念だが、君には死んでもらう。」
必死に服を引っ張られる。少し見てみると、彼は掃除屋の人だった。私は震えた手で頭を何度も地面や壁、トイレの手洗い場の下のパイプに打ち付ける。
「クソッ、早くおちろ!」
気づいた頃には、彼の手の力が抜け、頭が下がっていた。
「ハァ、ハァ、てこづらせやがって。」
すぐにトイレの個室へ彼を連れていった。そして、彼のポケットの中を確認した。幸運なことに、1万円札が数枚入っていて、ホストクラブの招待状もあった。顔を上げてみると、死体を少しの間、隠せそうな場所がある。様式トイレの背後に、扉付きの棚があった。
ヒロシは死体を持ち上げた。しかし、手が震えているせいで死体を落としてしまった。今度は慎重に棚の中に入れた。
ガチャンッ
個室から出て、目の前にあるモップで掃除屋の血を洗ったり、自分の手を洗ったりした。息が荒く、震えているのが自分でもわかる。長い間、その発作が落ち着くまで後処理をしていた。
「もうそろそろ買い物へ戻ろう。」
トイレを出ようとすると、入口には掃除のマークが書かれたスタンドが立っていた。
「こいつに救われたな。」
スタンドを掃除用の道具庫へ入れてトイレを離れた。
――約1時間後――
ヒロシは「美しいバラの花束」、「優しく輝く指輪」、「クールな洋服」を買った。時計を見ると、もう3時半だ。
「急いで帰らねば。」
未練を残さないよう、彼に会いたい。私は早歩きでショッピングモールを出た。そして、目には心に引っかかる出店が映ってしまった。
「はぁ、どうしようか」
救世主占い屋。一応少しだけ話を聞いてみるか。ヒロシは占い屋の老婆に近づいた。
「やはり来よったか。待ってたぞ。」
老婆の前に立ち、私はすぐに質問した。
「なぁ、お婆さん、ひとつ聞きたいことがあるんだが、友人あきらに会うにはどうすればいい?」
「ほっほっほ、時間が無さそうじゃな。お前さんは、さっきちょうど会ったはずじゃぞ。」
私はすぐにその場を離れ、振り返った。




