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魔術師たちのカナデアイ~交錯する想いと戦い~  作者: 衣月美優
第一部 魔法学校の日常
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第十九話 ペアの意味


 カキの言葉にニコラスは面食らったような顔をした。言葉にというよりは、その態度にだろうが。

「コツ?教えたところでお前はすぐにはできないだろ」

 ニコラスはすぐにいつもの顔に戻ってそう言った。

「それでも教えてくれ!」

 カキはニコラスに迫って言った。

 ニコラスは何か言おうと口を開けたが、すぐに諦めたように呟いた。

「コツを言うだけだぞ。あとは自分でなんとかしろ」

 その言葉にカキは強く頷いた。


 とりあえず、カキは一通りのコツは教えてもらった。カキの真剣な頼みに答えるように、ニコラスは丁寧に教えた。

 だけど、それでカキが魔術をうまく扱えるようになったかといえば微妙だ。

(けど、全力でやるって決めてるんだ。何とかしてやる)

 カキは自分をそう鼓舞してニコラスに教えてもらったコツを掴もうと寝るまで努力した。明日こそは少しでも役にたつと決意しているから。




 トーナメントバトル二日目であり、この実技合宿最終日の今日。カキとニコラスの最初の相手はビトのペアだ。

「めんどくさいけど、手は抜かねぇぞ。こっちが本気でやってもニコラスがいるんじゃムリがあるからな」

 ビトはカキにそう言ってきた。

「手ぇ抜かないのは当たり前だ。勝負なんだから」

 カキはそう言い返した。

 ビトは鬱陶しそうな顔をして、はいはい、と言った。

「こんなこと言うのはアレだけど、お前と組まなくてよかったわ」

 ビトはいきなりそんなことをカキに言った。

「お前と組んでたら、お前の分まで魔力使わなきゃならねぇしよ。ニコラスはすげぇよ。さすが、天才と呼ばれるだけあるっていうか、魔術も完璧だしよ」

「・・・そうだな。オレは全然ダメだ。ニコラスには敵わねぇ。けど、いつかは必ず追い越してやる。だからそのためにも、今日は昨日以上に頑張らねぇと」

 ビトの言葉にカキはそう返した。

 全部カキの本心。それを口にすることで、より実現させようとしているのだ。

「まぁ、お互いに頑張るってことで」

 ビトはそう言って、カキのもとを離れた。


 今回の試合内容は水の魔術でろうそくの火を消すというものだった。それぞれのペアの陣地にろうそうが三本あり、相手の陣地のろうそくをすべて消したほうが勝ち。

 水の魔術は水鉄砲のように指先から水を打ち出すものだ。それでろうそくの火を消す。

 ろうそくの火を“シールド”で守るのはアリだが、それが出来るのは三回まで。一本あたり一回といったところだ。

「制限時間は五分。それでは、はじめ!」

 審判の先生の号令によって、試合ははじまった。

 カキは号令と同時にろうそくめがけて水の魔術を放った。が、ビトの水の魔術によりそれは掻き消された。

「お前の行動パターンはお見通しなんだよ」

 ビトはそう言って、カキの陣地のろうそくめがけて水の魔術を放った。

「ビト、オレがいることも忘れるな」

 その言葉とともにニコラスがビトの魔術を防いだ。

「別に忘れちゃいねぇけどな」

 ビトはぼそりと呟いた。

「ビト、オレたちは負けないからな。普段の足並みは揃わなくても、試合は違う。ペアとして互いに自分の出せる力を出して協力する」

 カキはビトにそう告げた。

 ペアは協調性を養うためにつくったのだということを。足並みの揃わないカキとニコラスでも協力してみせると。


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