8話 殺戮の商会
引き続きハエ大活躍。
翌日、昼間のんきに観光しながら俺は、ハエを集めていた。
もちろん『従魔』にしてエチゴヤ屋敷を探り、エチゴヤ被害者の会へ教えてやろうという親切心である。
ホラ、俺っていい人だしー。
観光ついでに冒険者ギルドへ寄る。
昨晩に作った毒耐性の足輪(ハエ用)の試作品として、毒耐性の指輪を作ったので売ろうと思ったのだ。毒無効の俺には意味無い魔道具だし。
「こんにちは、今日はどのような御用でいらしたのですか?」
またちょい美人なデキる系の職員さん、昨日と同じ人だ。
魔道具を売りたい旨の話をすると、やっぱり冒険者ギルドで買い取りしてくれるそうだ。
さて、毒耐性の指輪(強)はいくらで売れ…………10万ゴルダ? まぢで?
毒耐性の魔道具は貴族の皆様に大人気なのだそうで、指輪サイズの大きさのものはなかなか無いのだそうだ。
しかも毒無効だとさらに0が1つお値段に追加されるらしい。
貴族の皆さんも大変ですよね。
ちなみに耐性魔道具の効果は(微)<(弱)<(中)<(強)で、(強)でも70%程度の減衰効果だ。
もっと欲しいと言われたが、ハエ用のを売るワケにもいかないので無いと断る。
どこで手に入れたかとか聞かれたけど、適当にゴマかして逃げた。
なんか面倒くさそうだったからさー。
夕刻となり、一旦宿に戻って従魔化したハエたちに毒耐性の足輪(ハエ用)を装備させて放つ。
「行くが良い! 我が下僕たちよ!」
声に出しちゃった、誰も聞いてませんように……。
さ、晩飯食いに出かけよっと。
今日は天ぷら蕎麦……天ぷらが野菜ばっかだっよ。
海鮮のが食べたかったなー。
気を取り直して、宿に戻って諜報活動開始!
地図をカキカキ……2時間ほどで図面は完成っと。あとは……ここが護衛の詰め所で、ここが倉庫、で、ここが…………エチゴヤの本名ってなんだっけ? 最寄りのハエ、ちょっと門の前に行って……エゴキン商会、そうだエゴキンだった。
えっと、ここがエゴキンの寝所っと……よし、これで完成♪
あとは、この図面を被害者の会にプレゼントするだけなんだけど……。
図面作りの最中に見聞きした内容だけでもエチゴヤは色々手広くやってるのがわかった、詐欺に人身売買、麻薬に殺人、賄賂で軍の物資にも食い込んでいる、国の官僚にも賄賂を渡してるな。
王都警備隊の隊長さんに教えてあげたら喜ぶかな? 政治的に面倒くさそうな案件だけど。
警備隊は後回しにしよう、被害者の会と一緒に突入させるワケにもいかんし。
さて、どうやってプレゼントしようか……。
考えた結果、ハエ用魔道具の追加生産することにした。今度はハエ用の次元収納。
完成~、超小型だが容量は小さな小屋一軒分、時間停止機能は必要ないだろうから省いた。
過剰性能だけど、俺が作るとムダに高機能になるんだよなー。
……今更気が付いたよ、造物主の加護ってスキルの効果も上げるんだった……確か3倍。ムダな高機能の原因が解ったよ。3倍か……これは赤師匠に貰った旅用の赤装束でも着るべきか……。
気を取り直し、予備のハエ従魔にハエ用次元収納を装備して、コピーしたエチゴヤ商会の図面を折りたたんで入れる。行くが良い! 我が下僕よ!
今度は声に出さない。俺は学習する男なのだ。
………………
ハエ到着。じゃあハエよ、中の図面を落として帰還するのだ。
ポトリと落としてハエは帰還の途につく、役立ててね。
さて、今日は寝るかー。
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翌朝、朝食後に気になったので、エチゴヤ被害者の会の宿へ従魔を放つ。どうなったかな?
あれ? 誰もいない、どこに行った?
荷物も無くなってるし……。
宿がエチゴヤにバレたとか……あ、もしかして図面の出所を疑われちゃったか?
無記名はマズかったかなー……でも名乗るのも襲撃に加担するみたいだし、イヤ加担しているんだけども。
困ったけど、どうせエチゴヤ邸を見張ってるんだろうから、その辺に誰かいるでしょ。
あの人たち隠密行動は得意じゃないっぽいから、すぐに……ホントにすぐ見つかったよ、大丈夫かこの人たち。
ハエ君、追跡お願いね。
いつものように観光してメシ食って宿へ。
変更された潜伏先も簡単に見つかっちゃったよ、ダメだなぁこの人たち。
とりあえず5人いるな。
「ですが、もしその図面が本物だったら」
「罠の可能性もある。それに本物だったとして、誰がこの図面を?」
「それは……」
やっぱ警戒されちゃってたか……だがしかし、こんな事もあろうかと!
ハエ君、アレを出してくれたまえ。
ポトリ、とどこからともなく四つ折りにされた紙が落ちる。まぁハエからなんだけど。
「何だ? どこから?」
ハエには気づかない。
「おい、これを」
紙を広げた男が、リーダーさんに見せる。
紙には『邪魔した詫びだ、有効に使え』俺の字だ、使っている紙も同じ。
「じゃあこの図面は奴が……」
「どうしますか」
悩むリーダーさん……何かダメ押しできないかなー。
「よし、やろう!」
いいの?
「準備は出来ています、やりましょう!」
やる気になってきたようですが……俺が言うセリフじゃないかもしんないが、簡単過ぎないか?君たち。
いつやるのかなーと様子を窺っていたのだが、今夜やっちゃうらしい。
それが良いよ、君たちの潜伏危なっかしいもの。
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草木も眠る丑三つ時……という程には遅くは無いが、ほぼ深夜0時。
ヤツらは動いた。
『エチゴヤ被害者の会』俺が勝手にそう呼んでるだけだし、そもそもエチゴヤじゃなくてエゴキンだし、被害者本人なのか、親類縁者か知人の類なのか、はたまた雇われただけなのか全く知らないけど、ヤツらは商会の敷地に侵入を始めた。
もちろん俺は従魔を総動員して見守っている。決して見物して楽しんでいるワケではない、勘違いしないようにね、そこの人。
あ、なんか一人塀を超えるのにモタついてるし、大丈夫かなー。おい音を立てるな、そのルートは人がいるんだってば……戻った。よしよしその調子、そうだそこから上に……またあいつか! どんくさい! そのまま屋根伝いに……だから音を立てるなと! ここが大事なトコだ、見つかるなよー、よしここまで行けば!
ハラハラドキドキの潜入ミッションはついに寝所突入の段階へとたどり着いたのであった。
ドダン! ドダン! バキバキ! バキン!
格子窓を破って、7人が突入するが、同時に部屋の外にいた見張り2人も突入してくる。
「うおぉぉ!」
すかさずリーダーさんが見張りの一人に体当たりをぶちかまし、見張り同士をぶつけて足を止める。巧い!
エゴキンは逃げようにも護衛達がむしろ邪魔で部屋から出られない。
「今だ!殺れ!」
リーダーさんの一言で6人が一斉に襲いかかる。
「俺の家族をよくも!」「おまえのせいで!」「旦那様のかたき!」「天誅!」「うわあぁぁ!」「よくも騙したな!」
エチゴヤは自分の状況が理解できていない驚きの顔で、次々と斬られ刺されて死体となった。
それはそうだろう、本来なら窓には侵入阻止の魔道具で障壁を張っていたはずなのだから。
だが部屋の中にあったはずの魔道具は今、予めドアから侵入していた俺の従魔の次元収納の中にある。なるべくバレないように俺が介入した結果だ。
エチゴヤ殺害に成功した6人のうち5人が、口々にリーダーさんに礼を言っていた。
最後の一人がようやく口を開いた。
「ありがとうございます、ライオンヌさん!あなたのおかげでようやく……」
あとは言葉にならない。リーダーさんの名前はライオンヌというのか。
「俺は大したことはしていない、みんなが頑張った結果だ。それより早く逃げないと」
そうだよ、早く逃げなさいな。
従魔たちよ、配置Bに変更せよ!
配置Bは脱出の様子を見物……じゃない見守るための配置である。各所の敵の動きの監視や伏兵の警戒が主任務だ。俺は従魔への同調を切り替えながら監視を続ける。
チンピラ犬獣人のガジはもう動き出したか、行動担当だけあって早いな。一方ウォルバーは動きが遅い、逃走経路ok、敷地周辺動きなし、護衛詰め所からそろそろ出てくるから気をつけろ。
倉庫異常なし……そういやこいつら塩買い占めてたっけ、そろそろ切れそうだから少し貰っとくか。
次元収納持ちのハエ、倉庫にある一番小さい袋、5つほど持ちかえるように。
逃走は順調のようだ。逃走経路で敵に出会うコトも無く、みんな次々に塀を越えて外へ……またあいつか、誰か早くケツ持ちあげろ!……外へ逃げた。
深夜の通りには誰もいないし、これなら全員無事だな、うむ。
商会内部の様子はというと……
ガジのやつがエチゴヤの死体に辿り着いたようだ。
大声で手下に犯人を探せと命じているが、もう遅いよ。
手下が何か見つけたようだ。
アレは…………俺の書いた図面じゃねーか! 落としやがったな! あのバカ共が!
何かを思いついたようにガジのヤツがニンマリと笑う。
手下の何人かを集めて何やら指示を出した。
まさかアレだけで俺に辿り着くとは思わんが……。
建物の外へ出て、ガジが手下や使用人を集める。
そうして図面を皆に見せて、大声で言った。
「おめえら、こいつを見ろ! 屋敷の図面だ! エゴキン様を殺したやつらが落としていった!」
困惑する手下たちに
「もっと良く見ろ! この図面には、エゴキン様と俺の名前が書いてある! この意味がてめぇらに解るか!」
ちょっと待て、お前の名前なんて書いた覚えねーぞ! てか俺の字じゃねーし!
「つまり、こりゃエゴキン様とこの俺を狙うための図面だ! もちろん俺も襲われたが、なんとか追い払えた! だがエゴキン様が殺られちまった!」
ガジの手下の何人かが、そうだガジ様も襲われただの、20人はいただのと適当に話に乗っかる。
そうか、コレを打ち合わせていやがったか……するとこいつの狙いは……。
「エゴキン様とこの俺を殺って得するのは誰だ! この図面に名前の無い奴は誰だ! そうだ! ウォルバーの野郎だ! そもそも商会内部の誰かが手引きしねぇとエゴキン様を殺れる訳がねぇ! 間違いねぇ! ウォルバーの野郎が俺とエゴキン様を殺ろうと手引きしやがったんだ!」
そうだ! 間違いねぇ! ウォルバーの野郎だ! と手下が騒ぐ。
「これから俺はウォルバーの野郎をぶちのめす! おめぇらもついてこい!」
うおおぉぉぉぉぉ! と手下たちが大声を上げる。その他の連中も訳が判らず勢いにのまれている。
この辺の頭は悪くないんだなコイツ、だが……。
王都警備隊のノンデアスさんに教えてあげようっと、捕まえたいみたいだし。
さてと、そういやハエは全部あっちだったな。こういう時は……。
俺はちょいちょいっとメモを書くと、頼りになるヤツに声をかけるとした。
「ドラ吉、出番だぞ。このメモを王都警備隊の詰所に投げ入れてきてくれ、姿は見られてもいい。場所はわか……」
「ぴゅい!」
皆まで言わさずメモを咥え取り、ドラ吉はびゅん! と、もの凄い勢いで飛んで行った。よっぽどヒマだったんだね。
……これこれドラ吉さんや、音速超えるのはやめれ。衝撃波が迷惑だから。
それじゃ視点をもどして……っと、どこへ行ったか……あ、いた。
「なんのつもりだガジ! エゴキン様はどうした!」
「ウォルターさんよぉ、すっ惚けちゃいけねぇなぁ。おめぇが殺ったんだろうがよぉ! エゴキン様をよぉ! ネタは上がってるんだこの裏切りもンが!」
ガジの手下たちが、ウォルターをゆっくりと取り囲む。
「何をやってる貴様ら! 皆、ウォルバー様を助けろ!」
ウォルバーの手下たちがぞろぞろと間に入りこみ、緊張感が走る。
「私がエゴキン様をだと! ふざけるな! だいたい本当にエゴキン様は亡くなられたのか!? そもそもガジ! なんでお前がこんな事をしている! たかが雇われ者のチンピラの分際で何をしている!」
「何をしているだと? そんなもん、裏切り者を始末しに来たに決まってんだろうが! それに俺は雇われモンじゃあねえよ、正式にエゴキン様に配下にして貰ったんだ。いいかげん現実って奴を見るんだな! もうとっくの昔にエゴキン商会のNo.2はお前じゃなくて俺なんだよ!」
「現実が見えて無いのはおまえだろう! 暴れる事しか取り柄の無い貴様などエゴキン様が重用するはずが無い、お前たちも馬鹿な真似はやめろ!」
ガジ達に巻きこまれて付いてきた商会の連中を、ウォルバーが威圧する。貫禄が足りないが。
「やかましいやい! 現実を見やがれ! てめぇの命は俺が握っているんだぞこの馬鹿が! てめぇはもう終わりなんだよ、この悪だくみしか能がねぇ頭でっかち野郎が!」
「馬鹿はお前だ、そもそも私はエゴキン様に副会頭にならないかと内々に……」
「時間稼ぎの御託は終わりだ! お前ら構わねぇ、殺っちまえ!」
ウォルバーの台詞をぶったぎってガジが命じると、敷地の中で一斉に殺し合いが始まった。
その時、エゴキン商会の門前では……。
「間違い無いな、中ではかなりの騒ぎが起こっている……よし! 寝ている奴らも全部叩き起こしてこい! 完全武装で来させるのを忘れるな! 急げよ! 残りは俺とこの扉をぶち破る!」
王都警備隊のノンデアスさんが部下に指示を出していた。
エゴキン商会と王都警備隊詰所はどちらも王都の中心にあり、御近所さんなのですぐ来れるのだ。
ん? 上空になにか……ドラ吉かよ。
帰ってこないと思ってたら上空で見物ですか……まぁ良いんだけどさ、通報の件だけなら俺だとバレても別に構わんし。それよりドラ吉、良くやったぞ。
商会の敷地に視点を移すと、そこはまだ戦場だった。
ガジとウォルバー双方の手下が主に戦っているのだが、さすがに形勢は荒事に慣れたガジの手下が優位のようだ。
見物……じゃなくて監視していると、徐々にウォルバーの側が不利になっていく。
「ハッハッハッ! 所詮ウォルバーんとこの手下なんぞ、こんなもんよ! 野郎ども、一気に片付けちまえ!」
「怯むな!私の周りをもっと固めろ! あっちはまだか!」
「無駄無駄無駄ぁ! 地下通路ならもう封じちまってるよ! おとなしく死体になっちまいな!」
エゴキン商会の門では王都守備隊が打ち破ろうとガンガンぶっ叩いてるのだが、ぶち破るのに手間取っているようだ。
だが中の連中は戦闘に集中しているせいか、誰も気づいていない。
どうやらガジ側が押し切りそうだ。
「さて、そろそろ諦めて死ねやウォルバー、もう手下も大して残っちゃいねぇぞ。なんなら降伏して俺の手下にでもしてやろうか? 一番下っ端だがなぁ!」
「ふざけるな! 死んでもお前ごときの手下になるか!」
「だったら望み通り死体にしてやるだけの事よ! やっちまえ!」
「手下ごときに!」
ウォルバーは見た目よりデキるようだったが多勢に無勢、ついに手下の槍がその太腿裏に突き刺さると体勢を崩す。
こうなってはもう防御も続かない、四つ五つと次々と手下たちに傷を負わされ、ウォルバーはついに動かない肉塊となった。
「ウハハハハ! ざまぁねぇなウォルバー! 結局力のねぇ奴は、そんなもんなんだよ! ハッハッハ、これでエゴキン商会は俺様の物だ! いや、もうこれからはガジ商会だぜ!」
勝利者ガジは高らかに宣言したのであった。
「そこまでだガジ! 今度は流石に現行犯だ、逃げられると思うなよ! 全員手下どもを捕縛せよ! 抵抗するなら切っても構わん! こいつらの悪事もこれまでだ!」
今度は、門を破壊し100名を越える部下を引き連れ現れた王都警備隊隊長ノンデアスが高らかに宣言し、エゴキン商会で今夜三度目の殺戮が始まった。
圧倒的であった。完全装備の王都守備隊と急襲でバラついた装備のガジの手下では、防御が格段に違う。仮に相打ちになったとしても、一方的に傷つくのはガジの手下だ。次々と数を減らしている手下たちを見て流石にガジも焦るが、逃げる隙が無い。
「手下はもう粗方片付けた、もう諦めろ。観念しておとなしく縄に付け!」
「ふざけんな! 縄に付こうが付くまいが、どっちみち殺されちまうだろうが! こうなったら、一人でも多く道連れにしてやらぁ!」
隊員に二人三人と手傷を負わせたガジであったが、次第に追いつめられていく。
そして『てめぇさえぶち殺せば!』と叫ぶと、隊員を盾と目隠し代わりに使い、その陰から隊長ノンデアスに特攻した。視界の虚を突かれたノンデアスだったが、なんとか相打ちに持ち込み結果はノンデアスの勝ち。防具の差であった。
「こんなもんで死ぬかよおぉぉぉ!」
胴を切られたガジが執念で振り返り、ノンデアスに斬りかかろうとする。
「させるか!」
隊員たちはそれを許さず背後から斬りかかり、多くの手傷を負わせる。それでも倒れずノンデアスに二歩三歩と近づいたガジであったが、振り上げた剣が届く事無く地に伏したのであった。
「大丈夫ですか! 隊長!」
「騒ぐな、防具で防げたから問題ない」
倒れたガジを見降ろしたノンデアスには、喜びも達成感も見られない。なぜならば……。
「殺してしまったか……捕らえて色々と吐かせたかったのだがな……」
エゴキン商会の建物を見廻しながら呟くその顔は、政治も絡んだこの事件の完全解決までの困難さを表していた。
まぁ、ぶっちゃけ俺には関係無いから、どーでも良いんだけどね。
あいつらが潰れたところで、どうせまたすぐ次の奴が出てくるだろうし。
まぁ、だからこそ平穏な日々は貴重とも言える。だから今は喜ぼう、つかの間の平和を楽しもう、永遠では無い貴重な日々を……うん、キレイにまとまったな。
「よし、これで悪は滅びた」
「ぴゅぴゅい」
いつの間にか戻っていたドラ吉が、とても満足そうに隣で頷いていた。
………………
目的は達したので収納持ちのハエから次元収納を回収し……
「もう捕まるんじゃないぞー」
俺は全てのハエを野生に返してあげた。
ドラ吉くん、そのジト目は何かな……いいじゃん、雰囲気だよ雰囲気。だからタメ息はやめて。
こうしてエゴキン商会の長い夜は、終わりを告げたのであった。
戦いの描写って、難しいですね。