20話 光る花
20話達成♪
「お城に呼ばれた?」
「なんか依頼があるんだとさ、ナルキスが出払ってるからこっちにお鉢が回ってきたらしいよ」
マデデルの街の観光も終わり、王都テオキメントに戻ってきたらウメさんに使いが来ていた。
「お城かー……ちょっと見学とかできねーかな?」
なんとは無しに言ってみると、
「なんなら一緒に行くかい? 自由に見学ってのはさすがに無理だけど、庭くらいなら入れるよ」
ほう、お城見物ができるとな。
「ウメさん、王様にも顔が利くとか……?」
「さすがにそれは無いよ、せいぜい大臣くらいさね。孫が勇者ってのもあるし、国からの依頼もこなしてやってるからね」
「あ、出発ちょっと待って、魔道カメラ作るから」
「あんた、ガチでお城観光する気だね……」
…………
向こうにお呼ばれしたので、お城は当然ウメさんトメさんの顔パス。もちろん俺も。
王様に謁見……なんてイベントがあるワケもなく、通されたのは一階の小部屋。
そこには、若い男とアラサーっぽい男が待っていた。
「で、わざわざあたしらを呼びだして、何の用だい?」
入室しても口を開かない相手に、ウメさんがちょっとイラつきながら尋ねる。
アラサーくんのほうは、ちょっと動揺しているようだ。
「内務長官のオバラス様から、おまえたちに指名の依頼だ。内容は『スビャイラの花』の採取。なお、この依頼にはこの私――騎士キレガナッツと、この騎士見習いミモハイが同行する。以上、何か質問は?」
若い騎士、キレガナッツとかいうのが偉そうに説明しやがった。
「はんっ! 何やらされるかと思ったら、小僧のお守りかよ」
トメさん、そんな正直な……。
「小僧だと! 僕は騎士だぞ! お前たち冒険者ごときが……」
「『スビャイラの花』だと、北のメルメト山が一番近いね」
「アレって、夜になると光るんだっけ?」
「ミモハイ、あんたいつの間に騎士見習いなんてなったんだい?」
「いやぁ、冒険者もそろそろ潮時かなぁ、と思いまして……」
「僕の話を聞けよ!」
「そうだ『スビャイラの花』採って来るのはいいけど、何に使うの?」
騎士の人が話をしたそうなので、質問してあげた。
「それはお前たちに教える必要は無い」
「じゃお前の話聞いてもムダじゃん」
せっかく質問してやったのに。
「使えない小僧だね」
とトメさん。
「潮時だからって騎士かい? 面白くもなかろうに」
「去年、子供が生まれたもんで、安定した仕事のほうがいいかなーと……」
ウメさんとミモハイくんは、こちらの会話に加わる気も無さそうだ。
「だから僕は小僧では!……」
もう小僧さんはほっとこうか。
「『スビャイラの花』使う薬のレシピっつーと、クーララ病か?」
「そうなのかい?」
「そうなんだけど、別なレシピで作ったクーララ病に効く薬……俺、持ってるんだけどなー」
「採りに行くの面倒だから、それで解決にしちまうかい?」
「すいません、そういう訳には……」
「ミモハイくんだっけ? なんで駄目なの?」
「それは、その……」
横目で小僧くん――キレガナッツだっけ?――を見てる。
「だからさっき言ったろ、小僧のお守りだよ」
「僕は小僧では無いと!……」
「前にも何度か頼まれてるんだよ、成りたて騎士に本人に内緒で経験積ませてくれってね」
「えっ!?」
「トメ、それバラしちまったら駄目だろうが……」
「ふんっ!」
「マジなの? ミモハイくん」
「はぁ……」
キレガナッツが膝をついて愕然としている。まぁ落ち込むなよ、世の中そんなもんだ。
さてと、用事も済んだコトだし、お城の中を観光させてもらおうっと。
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城内の見物は、結構自由にできた。隠密スキル(極)を使ってだが。
途中で俺が消えたのでみんなパニくったらしく、キレガナッツなど青くなっていたらしい。
『スキル使って気配消してただけだよ、ホラ、仕事してる人とかいるから邪魔かなーと思って』
などと大嘘なコトを言ってみたら、なぜかみんな納得してくれた。
たぶん大ごとにしたく無かっただけなんだろうけどさ……。
その辺を下手につつくと藪蛇になりそうだから、深く追及はすまい。
お城での用が何事もなく済んだので、さっさと採取に出た俺たち。
「で、経験積ませるほうは何か特別にやるコトとかあんの?」
「特には無いよ、普通に依頼に連れて行ってやるだけさ」
「せいぜい危ない時に助けてやるくらいかね」
と説明してくれるウメさんトメさん。
「ぼくは何をすればいいですかー?」
幼稚園児から小学生程度に成長したゴブ太が、問いかけてきた。
「訓練と、丁度いい相手がいたらレベル上げだな」
「ぴゅい」
「いつもと同じじゃないですかー」
「いつもと違うコトさせて欲しかったら、もう少し強くならないとな」
「はいー」
「まぁあたいに任しときな、ガンガン鍛えて強くしてあげるからね」
「はい! お願いしますトメさん!」
ちなみにゴブ太の育成の面倒な部分は、ウメさんトメさんに押し付……お願いしている。
俺はぶっちゃけ指示出しするだけ。
「ナミタローは、ゴブ太ちゃんを鍛えてやらないのかい?」
「あー……ウメさん、俺手加減が下手なんだわ。怪我で済むならいいけど、下手するとさー……」
「練習すりゃいいだろ」
「適当な相手がいないんだよねー、今度ナルキスくんにでも頼もうかな?」
「手加減の練習にかい?」
「あ……」
「そういや、あんたが訓練してるとこ見た事無いね」
「イヤ、俺は強くなる気無いから」
「ふ~ん……今度あたしと手合わせしてくれるかい?」
えーと、それも危ないんだけどなー。
「う~む……そうだ! 今度ドラ吉との模擬戦見せるから、それでどう?」
「び!?」
呑気に俺の左肩でスルメをかじっていたドラ吉が、思いっきり固まる。
「そんな驚くなよ、てーかお前しかいないだろ? ちゃんと頑張って手加減するからさ」
「ぴ、ぴゅい……」
「ふ~ん、ドラ吉ちゃんとねぇー」
「駄目?」
「ま、いいさね。昼飯の時にでも見せて貰うとするかね」
「あー、できれば周りに人がいなくて、なるべく広い場所でやりたい」
「仕方無いねぇ……」
「ところでさ、メルメト山にどっか名所とかある? 絶景とか」
「東側にいい場所があるよ、滝も近いし見晴らしもいい」
さすがウメさん頼りになるなー。
現地を知り尽くした冒険者って、観光ガイドには最高だよね。
「『スビャイラの花』の採取が終わったら、案内よろしくー」
それにしてもキレガナッツとミモハイくんは、なして俺たちから少し離れているのだか……。
話に混ざればいいのに。
無言で歩くのって、つまんなくね?
………………
「さて、お昼も食べ終わったし、ナミタロー」
「はいはい……ドラ吉ー、逃げるなよー」
「びー」
イカゲソを使ったイカしゅうまいを食べ終わり、ドラ吉との模擬戦の時間だ。
まだイカゲソ余ってんだよなー、何に使おうか。
「ほいじゃ始めるか……みんなもっと後ろ下がってて」
「もっとかい?」
「もっと」
「このくらいかい?」
「う~ん……まぁいいか。流れ弾には気をつけてね……ドラ吉、いつでもいいぞー」
「ぴゅーい」
やりたくなさそうだなー。
と油断していると……。
バンッ
「いきなり音速超えかよ!」
弾丸のように飛んでくるドラ吉を、イナバウアーで避けようとする。が、それを見越してドラ吉がブレスを放ってきつ。
それを魔法障壁で弾き、ドラ吉の進行方向と逆に飛び退きながら粘着網の魔法を三発ドラ吉へ放つ。
空中で広がった粘着網を見事に避けきって上昇するドラ吉、だがそれは実は誘導である。
こちらは既に上昇済みで、ドラ吉の上を取ってやった。
実はあえてドラ吉得意の空中戦に持ち込むつもりだったのだ。
上昇中のドラ吉の真上を通過するのと同時に、巨大な火球を真下に放つ。
さすがにこれは避けきれまい。と思ったら、下方の火球からドラ吉のブレスが突き抜けてきた。
ほう、火球を防ぐついでにこちらを狙ってきたか。
やるなドラ吉……。
火球は空中で爆発し、大空に大輪の花を咲かせた。
火球の爆発で一瞬俺を見失うドラ吉、まず上そして周囲に目をやるが……すまんな、俺は爆発を避けてない。炎の中を突っ切って今は下だ。
風魔法で乱気流を作り出し、ドラ吉を巻き込んだ。一瞬だが、動きが制御できなくなりドラ吉が停まる。
これで勝負は決まった。
神木刀タナカムラクンで、頭をコツンと叩いてやる。
「俺の勝ちだな、ドラ吉。それにしても、とっさの判断が上手くなったなー」
「ぴゅいー」
ここまでわずか数秒。
模擬戦も終わって地上へ降りた、なんかみんなポカーンとしている。
「どしたの?」
「ぴゅ?」
「何なんだい? 今の……」
「模擬戦だけど」
「良く見えなかったんだけども……」
「あーそうかー……でもドラ吉相手だと速いから、ついあんな感じになっちゃうんだよなー」
「主様、すごいです!」
「お前もあのくらい出来るように頑張れよ」
「はい!」
キレガナッツとミモハイくんは、まだポカーンとしてる。ほとんど見えなかったようだ。
「そろそろ出発しないかい?」
「あ、あぁ、そうだね。ナミタロー、あんた本気出したらどんだけ強いんだい?」
「自分でも判らん。本気出したコト無いから」
「化け物かい……」
「良く言われる」
ふむ、ウメさんにも化け物認定されたか。そらそーだ、自分でもそう思うもの。
この模擬戦の後、キレガナッツとミモハイくんの態度がガラっと変わった。
特にキレガナッツが。
最初からそのくらい謙虚なら、可愛げがあったものを……。
…………
晩メシにイカゲソのから揚げを食べながら思った。
自分でゴブ太を鍛えられないってのも、何か違う気がする、と。
ウメさんトメさんにも、いつまでゴブ太の教育係を押し付……お願いできるか判らないし。
なので間接的にでも鍛えるべく、今は食後の工作の時間。
「なんだい、誰の剣を作ってるんだい?」
「残念トメさん、これは剣に見えて剣ではないのだ……ふふふ」
「笑い方が気持ち悪いよ、じゃあ何なんだい?」
「これは、実はゴーレムなのですよ」
「ゴーレム?」
「ちょっと待ってね、もうすぐ完成するから。そしたら解るよ」
あとは人造魔石を埋め込むだけ……。
「完成~♪」
「どこがゴーレムなんだい?」
「まぁまぁちょっと待ってよ。んーと、この辺でいいかな」
適当な地面に剣を放り投げると、みるみるうちに地面が盛り上がり土が人型になる。
右手にはさっき放り投げた剣を持って……。
「結局ゴーレム用の剣だったって事かい?」
「イヤ、トメさんそうじゃなくて、剣の形をしたゴーレムが土を操って人の形にしてるんだよ」
「じゃあこっちは、ゴーレムじゃなくてただの土って事でいいのかい?」
トメさんが土でできた人型のほうを、ポンポンと叩く。
「そういうコト。ちょっとこいつと戦って、土の体の方を壊してみてくれる?」
よっしゃとトメさんが愛槍を担いで戻ってくると、みんなも何事かと集まってきた。
「じゃあ始めてくれ」
「いくよ!」
トメさんと同時に人型の土が動き出す。
トメさんの突きを器用に受け流しているな、よしよし。
人型の土――なんか呼び方が判りにくいな、ゴーレムにしちゃうか――ゴーレムが攻撃に転じるが、こちらもトメさんが上手くいなしている。
まだ本気じゃないな? トメさんも楽しんでるみたいだ。
しばらく打ち合いが続いたが、そろそろトメさんが本気出してきたようだ。
ゴーレムの攻撃を、トメさんが受けずに避ける様になってきた。
トメさんの攻撃も当たってきている、だが当たっているのはただの人型の土なので動きには影響が無い。
傷をつけてもムダだと気付いたトメさんが、本格的に破壊しにきた。
刺突に捻りを加え、次々と穴を穿つ。
ボロボロになったゴーレムを突き崩すと、人型の土はあっけなく崩れた。
「ま、こんなもんさね」
ひと仕事終えたとばかりに、トメさんがドヤ顔をする。
「で、ここからこうなる」
視線でみんなの目線を崩れた土くれへと向けさせると、崩れたはずの土がまた人型へと変わり、再びゴーレムの剣を持った状態で立ちあがった。
今度は俺がドヤ顔で説明する。
「本体が剣だから、体部分を壊しても復活する。これなら訓練でどんだけ壊しても、修理いらずで何度でも使えるでしょ?」
「なるほど、こりゃいいねぇ。ウメ、あんたも闘ってごらんよ、そこそこ強いよ」
「イヤ、これゴブ太用で弱いから。欲しいならウメさんとトメさん用に、もっと強いの作ってあげるよ。もうちょい作るコツを掴みたいし、実験したいコトもあるしね」
「ほんとかい! じゃあ槍! 槍で作っておくれ!」
「槍だけとは言わず、剣・斧・槌でも作ったげるよ、トメさん」
「ナミタロー! あんたはいい子だとあたいは信じてたよ!」
「別にそこでいい子認定とかいらんから」
「ナミタロー、それって訓練以外にも使えるのかい?」
「使えるよ、命令すれば。ウメさんは何に使いたい? リクエストあればそれ用の機能付けたの作るよ」
「あたしが使いたい訳じゃないんだけど……例えば、軍隊とかさ」
「それはまた結構な使い道で……。まぁ、強化したのを数揃えたらけっこう厄介かなー。初見だと武器が本体だと気がつかないかもしんないし、本体をもっと頑丈な金属で作って人形体を岩とか鉄にしたら……」
「……極悪だね、そこらの兵隊や騎士ならすぐに全滅だよ。まさかやらないだろうね……」
「やらんて。つか、こんなの使うより俺かドラ吉がやったほうが早いもん」
「ぴゅいー」
「あの模擬戦見ちまったからね、納得だわ……」
「というワケで、ゴブ太ー、闘ってみろー」
「は……はい!」
ゴブ太が闘ってみた。
あらー、こりゃまたあっさりと……。
…………
「はい、回復終わったからもう一回な。受け流しが上手くなってきたぞー」
「はいー」
「このゴーレム、ゴブ太ちゃんには強すぎるんじゃないかい? さっきからやられっぱなしだよ」
トメさんの言うとおり、さっきからゴブ太は負けっぱなしだ。けど……。
「このくらいじゃないと訓練とは言えんでしょ、それにこの位ならすぐ勝てるようになるよ。たぶん……」
「ナミタロー、あんた、すっとぼけた顔して案外鬼だね」
「イヤ、鬼はともかく、すっとぼけたは止めて」
「そっちかい!」
こうして訓練用ゴーレムの夜は更けて行った。
キレガナッツとミモハイくんも挑戦したが、ミモハイくんは辛勝。
キレガナッツは惜しくも負けて落ち込んでいた。
まぁこれも経験のうちだよ、うむ。
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目的地に到着♪……したんだよね?
「この辺なの?」
「ここら一帯探せば、『スビャイラの花』があるはずだよ。あとは咲いてるかどうかだね」
「暗くなるまで待つかい? 昼間だと光ってても判らないし」
ウメさんトメさんが相談してる。
「だったらこの辺一帯、闇系魔法で暗くするかい?」
「あんたが化け物なの忘れてたよ……」
「ほんと、便利だよねぇ」
「なんか嫌な言い方に聞こえるんだが。とりあえず、暗くするよー」
闇系魔法で一帯を囲み、光を遮断すると……。
周囲の大地が夜空に見えるほど『光る花』が星のように瞬きはじめた。
それはまるで天の川の中に立っているような幻想的な光景で、ここが現実世界であることを忘れるほど……。
「暗くて足元が見えないよ、少し明るくしとくれ」
「まったく、これじゃ花を摘めないじゃないか」
台無しだよ。思いっきり現実に引き戻されたよ……。
「ハイハイ、解りましたよ。少し明るくすりゃいいんでしょ?」
ただ明るくするのもつまんないなー、そうだ! こないだ作ったアレを……。
「ちょっと待ってね、準備するから」
「ん? 魔法じゃないのかい?」
竹筒を取り出してゴソゴソしてる音を聞いて、ウメさんが反応した。
「まぁ、上を見ててよ」
そう、俺は花火を打ち上げるつもりなのだ。
竹筒に五寸玉を入れて……点火!
ひゅるひゅるひゅる バーン!
真っ暗な空に、花火が打ちあがる。そして消える……。
イヤ、ちょっと待て、誰も『スビャイラの花』の採取してないし。
「おーい、本来の目的はどしたー」
「つい見ちまって」
「ほら、キレイだったからさ」
「ぴー」
「す、すいません」
「仕方無いなぁ……今度は連続して三発上げるから、ちゃんと採取してよ」
ひゅるひゅる バーン! ひゅるひゅる バーン! ひゅるひゅる バーン!
花火三発の間に、みんな頑張って採取してる。
終わったかな?
「それじゃー、明るくするよー」
光が戻って昼間に戻る。日差しが目に染みるぜ……。
ウメさんが採取した『スビャイラの花』を集めている。
「よしよし、これだけあれば十分だね」
十分採取できたようだ、よしよし。
「なぁナミタロー、さっきの花火まだあるのかい?」
「あるよ、たくさん作ったからね」
金属がいろいろ手に入りカラフルな色が作れるようになったので、つい調子に乗ってしまった結果ですが。
「だったら夜になったら打ち上げておくれよ」
「ぴゅいー」
「ぼくも見たいですー」
「採取してたから、じっくり見られなかったしねぇ」
「だったら、王都に帰ってからにしようか? 俺たちだけで楽しむのは勿体ないしね」
「ソメリ川のほとりなんてどうですかね」
ミモハイくんが提案してきた。
「川辺で花火見物かい? 粋だねぇ」
「一杯やりながらの花火かい……いいねぇ」
「ぴゅい」
「楽しみですー」
「いいでしょ?」
「キレガナッツくんもおいでよ」
仲間はずれも可哀想だから、誘ってあげよう。
「僕は、戻ったら報告書を書かなければならないので……」
「あらー、じゃあやっぱり今夜やろうか?」
「いいえ、ソメリ川のほとりなら、城からでも見えますから」
ずいぶん真面目で謙虚になったね。
「それじゃあ、帰りましょうか」
とミモハイくんが提案してきた……だが断る!
「その前に絶景ポイント行ってからね」
「ぴゅいー」
「そのために魔道カメラとサンドイッチ作ったんだから」
「ぴゅー」
「サンドイッチ食べたいですー」
「じゃあ案内するよ」
ウメさんの案内で、気分はすっかり楽しいピクニック。
つーか、こんなんでキレガナッツの経験になったのだろうか……なんか疑問だ。
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王都に帰って、城まで報告に。
全部終わってキレガナッツとミモハイくんの二人と別れた。ミモハイくんは、後から花火に合流するそうだ。
「さて、あとは夜に花火大会だなー」
まだ時間もあるし、花火を追加で作っておくか。
ウメさんトメさんとも別れて、さっき目星を付けておいた川のほとりへ。
「上手く作れるかなー?」
ちょっとしたサプライズを施した打ち上げ花火を、設計から始める。
なんか最近、職人作業が楽しくなってきてるな……。
…………
「主様ー、そろそろ暗くなってきましたよー」
「ん? もうこんな時間か」
熱中し過ぎたな、設計に時間が掛かっちゃったからなー。
数は少ないけど、こんなもんで良かろう。あとは、酒とツマミだな。
酒はやっぱり日本酒。
マデデルの街へ行った時に、酒米を仕入れて新たに作ったヤツだ。
ツマミは、やっぱり唐揚げと焼きそばは外したくない。あとは枝豆に……たこやきでも作るか。
甘味は、花火に綿アメは絶対っしょ。あとはチョコバナナでいいかな。
そうこうしてるうちに、ウメさんトメさんが合流してきた。
ありゃー、食べる物用意して来ちゃったかー。
「なんだい、ナミタローも作ってたのかい?」
「ありゃ、せっかく色んな店から持ってきたのに、カブっちゃったね」
「全部食べればいいよ、何だったらその辺の人に振舞ってもいいしさ」
「そうか、まぁそうだね」
「知り合いに片っ端から声かけてきたから、きっとたくさん集まるだろうしね」
そうなの? いつの間にか大きなイベントになってないかい? イヤ、いいんだけどさ……。
王都の中からたくさんの人がゾロゾロと出てきた。
ちなみにココは、王都の壁から200mほど外の場所だ。
ずいぶんたくさんの人が――なんか屋台も出てきてるし――ウメさんトメさんが冒険者を指揮して、ロープ張ってるのが見える。
イヤもうコレ、本格的な花火大会じゃんよ。
花火1000発ちょいしか用意してねーぞ……。
ウメさんトメさんに話したら、十分だと言われた。
あっちの世界の基準だと、少なめなんだけどなー。
「ナミタロー、そろそろいいんじゃないかい?」
ウメさんに促されたので、そろそろ始めようか。
「それじゃ皆さん、始めますよー」
花火の玉が入った竹筒が、ズラリと並べられている。コレはジセーカ村で仕入れた竹だ。
まずは定番、スターマインから。
ドンッ ドンッ
ひゅるひゅるひゅる
バーン バーン
観衆から『おお~!』と声が上がる……いいねぇ~この感じ。
次はしだれ柳いってみようか。
バーン ババーン
今度もいい感じに観客が湧いてくれる。
調子に乗って次々と打ち上げる。
その度に観客から声が上がる。
楽しい時間の共有っていいよね……。
さて、そろそろさっき作ったサプライズを打ち上げるか。
ドンッ ドンッ
ひゅるひゅるひゅる
バーン バーン
夜空に大輪の花が打ちあがる。
その形は『薔薇』だ。
ウメさんトメさんの為に特別に作ってみた。
……いやぁ、薔薇に見えるような設計と見せる角度が難しいのなんの。設計だけでエラい時間食っちまったよ。
ピンクの薔薇と水色の薔薇、それぞれ3発ずつ。少ないけど、楽しんでくれるよね。
さて、ここからがグランドフィナーレ。
次から次へと打ち上げる準備をする……よし、あとは全自動で打ち上げだ。
打ち上げ開始!
準備が終わって観客側へ振り向くと、そこには二人の女性がいた。
もちろんウメさんトメさんではなく、若い女性……。
そのうちの一人が話しかけてきた。
「あの、この花火を打ち上げていたのは……あなたですか?」
ひょっとして感動したからお礼とかかな? キレイな人だ。
「ええ、今日の花火は全部俺が打ち上げました」
するともう一人の女性も口を開く。
「あの、一緒に来てほしいところがあるのですが……」
こちらはどちらかというとカワイイ系かな?
てーか、一緒に来てほしい!?……夜に?……これはアレか? キタか? モテ期ってヤツか?
よっしゃー、両手に花だぜ! 花火の光で二人の女性が光り輝いて見えるよ。
「花火打ち上げて良かった……」
「あの、この花火って許可取ってませんよね?」
カワイイ系の女性が…………へ? 許可?
「打ち上げ花火のような行為は、許可が必要なんです。知りませんでしたか?」
今度はキレイ系の女性が……おや? この制服は?
「えーと……知りませんでした」
「そうでしたか。ですが無許可は無許可です、王都警備隊の詰所まで同行願います。詳しくお話を伺いたいので」
許可が必要なんて、誰も教えてくんなかったし……。
こうして俺は両脇をガッチリと抱えられ、望み通り両手に花で詰所に連行されるコトとなった。
こちらの世界に来て初めての花火大会は、こうして幕を閉じたのであった。
どうやら今までのペースがキャパオーバーだったようで、目をやられてしまいました。
なので勝手ながら今後は、のんびり更新へとペース変更させていただきます。
ご了承ください。
つーか、リアルでポンコツな脳活作家なんで、そこは諦めて(^^;




