セカンド・リアル 5
硬いものが足に触れる。
目を開けるがまだぼやけていて何も見えない。
目を何度もこすってもう一度目を開ける。
アストライン 広場
視界に飛び込んできたのは横に並んだ文字だ。それにこの文字には見覚えがある。
視界の文字が消えると、次に噴水が目に映る。この光景は何処かで見た事がある。
「あすと…らいん…だと」
目を疑う。ここは、セカンド・リアルの中にある場所だからだ。
『目が覚めたようだね』
頭の中に直接声が響く。 先程聞いた声。この声は…
「弥富謙介!」
雄也は怒り任せに叫ぶ。
『そう怒らないでくれ、タスク君』
「タスク…って、俺のアバターの」
『薄々感ずいているのだろう。ここはゲーム、セカンド・リアルの中さ』
「えっ!」
息をのむ。驚きのあまり今の状況がのみ込めない。
「ゲームの中…」
両手が小刻みに震え、息が荒くなる。
『そう、ここは二つ目の現実。セカンド・リアルだ。今から君には二つの選択肢のどちらかを取ってもらう』
選択肢…
大きく息を吸い、呼吸を整える。
「選択肢って、なんだ」
雄也は弥富謙介に語りかける。その答えはすぐに帰ってきた。
『一つはこの世界で第二の現実を築くことだ。もう一つはこの世界から脱出する事だ』
「この世界から出れるのか!」
またも叫ぶ。
『この世界からの脱出方法、それはこの世界の何処かにいる私を見つけ、ゲームマスター権限を奪うことだ』
「そいつを使って、俺自身を強制ログアウトさせるってことか」
落ち着いてきたのだろう。状況が少しずつのみ込めるようになった。
『そのとうりだ。どちらを選ぶかは君の自由だがね』
だいたい状況はのみ込めた。ここはゲーム、セカンド・リアルの中で、脱出方法はこの世界の何処かにいる弥富謙介からゲームマスター権限を奪う事。
『最後に忠告だ。この世界は現実だ。つまり、この世界で死ねば現実でも死ぬ』
「…っ!」
… 死ぬ、のか
ドクン!
ゲーム中の体であるはずなのに、心臓の鼓動が体の中で響く。
『死亡後の蘇生機能が発動する前に、ヘッドホンから送られるノイズ音が君の脳を破壊する。蘇生魔法は君には適応されない』
「そん、な」
恐怖が全身を襲う、しかし、別の意志が脳裏に横切った。
…俺はこの世界で死ぬわけにはいかないんだ
大きく息を吸い、吐く。そして、雄也は決意する。
「俺は、生きるぞ。生きて、現実世界に帰る」
『やはりそうでなくては面白くない。そうだ、一つ君に力を貸そう。周りを見たまえ』
雄也は言われるままに首を動かす。周りにいるのはNPC。いや、NPCにしては動きに規則性が全くない。
『この周りにいるのはプレイヤー。この世界の外でアバターを操作しているプレイヤーさ』
「つまり、このプレイヤー達とパーティを組んだりしてもいいって事だな」
『そのとうりだ。詳細は後でメールを送っておこう。それでは頑張りたまえ』
「上等だ!」
雄也は叫んだ。
初の後書きです。全く書いてなくてすいませんでした。今後、雄也という名前をタスクとして表示していくので間違えないようお願いします。それでは皆さん読んでくださいね。