セカンド・リアル 4
トゥルルルルル
一階でコール音が鳴る。
「電話…」
親が出るかと思ったが、今は家に雄也しか居ない。
雄也はベットから降りて部屋を出る。階段を降りて電話の受話器を取って耳に当てる。
『こんにちは、タスク君』
「えっ!」
不意に息が詰まる。タスクは雄也のアバターネームだ。
『先程の対戦は見事だったよ。私の名前は弥富謙介。アバターネームはGM』
「G…M…」
何処かで聞いた名だ。それもそのはず、そのアバターは数分前に激闘を繰り広げた相手だ。それに、弥富謙介と言う名前も聞いたことがある。すぐに部屋からスマホを取りに帰り、検索する。
「弥富謙介って、セカンド・リアルの製作者じゃねぇか」
『ご名答。私はこのゲームの製作者、弥富謙介だ」
「その製作者様様が俺に何か用かよ」
その答えはすぐに帰ってきた。しかし、その答えは全く予想のつかないものだった。
『君はこの世界が楽しいかい』
「…っ!」
いきなり記憶がフラッシュする。それは、忘れたくても忘れられない記憶。
「なんで…それを…」
『このゲームはリアル、現実というリアルを追求したゲーム。現実では上手く行かなくとも、ゲームの世界ならば上手くいく。このゲームを本気でプレイするプレイヤーは、言うならば…』
「現実逃避」
謙介の言おうとしたことを、雄也は先に言う。それだけ謙介の言う事が雄也に響いたのだ。
『そろそろだろう、それではまた後で会おう』
ブチッ
「ちょ、ちょっと待てよ」
プー、プー、プー、プー
しかし、帰ってきたのは謙介の声ではなかった。
「くそっ!」
雄也は受話器を電話機に叩きつける。
ピーンポーン
…インターホン?
怒りを抑え、急いで玄関へ向かう。
玄関の扉をゆっくりと開ける。外に立っていたのは緑のユニフォームを着て、ダンボールを抱えた男だった。
「宅配でーす」
宅配業者のようだ。
「あっ、ハンコ持ってきます」
そう言って扉を締めようとした時、背中越しに声が聞こえる。
「いえ、ハンコは必要無いんでこれだけ受け取ってください」
そう言うと宅配業者はダンボールを雄也に押し付け、すぐに去っていった。
宛先を確認すると雄也の名前が書かれていたので、部屋に持ち込み、ダンボールを開ける。
ダンボールの中から出てきたのは、何処にでも売ってそうな黒いヘッドホンと、一つの手紙だった。
この手紙を読んでいるのならば、君は私に勝利したのだろう。一度セカンド・リアル専用のゲーム機を消し、ヘッドホンのコードをゲーム機に差し込んでプレイしてくれ。
弥富謙介
「やろぉ」
雄也はすぐにゲームの電源を落とし、ヘッドホンのコードをゲーム機に差し込む。
頭にヘッドホンを付け、ゲーム機の電源を入れる。
さっさとゲームを進め、アバター選択画面に移動する。迷わずタスクを選択。
画面にloadingの文字が流れる。
キーーーン
「うっ!」
耳鳴りが両耳を襲う。頭痛と吐き気が同時に発生する。
不意に、視界がぼやける。頭がぼーっとする。
…やべっ
懸命に意識を保とうとするが、それには勝てなかった。




