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初投稿です。よろしくお願いします。

20歳くらいの男女が瓦礫の山の上に立っていた。


「あー、まさか滅んでいるなんてことはないよな?」

女性よりも少し年上に見える、平凡な顔をした男が女性に問いかける。


「私が知るわけ無いでしょ?」

女性が特に驚いた様子もなく軽く答える。

廃墟の町とは似つかわしくない、黒いワンピース・ドレスを着て、どこかのんびりとした印象を受ける美人の女性だった。


また、2人とも腰から剣のような物を吊り下げているのが、また背景の廃墟とは微妙にマッチしていなかった。


「ここが地球じゃないという説はあったりする?」

「んー?少なくともそこらへんに落ちている看板は日本語に見えるねぇ」


彼らは、地球とは違う世界でダンジョン探索を生業としていた凄腕の探索者であった。

しかし、もともとは地球の人間であり、過去の事故により異世界に連れ去られていたのだった。


想定外の事態だが、2人は全く動揺していなかった。

ダンジョンの中では常に想定外のことが起きることが普通であったからだ。


「それにしても・・・。廃墟だな・・・」


2人の周りは、建物が崩れた瓦礫で埋まっていた。

まだ原型を残す建物もそこらに存在するが、長年放置されていたようで植物が生い茂っていた。

しかし、周りに生き物の気配はないようだ。


「まぁ考えてもわからん。とりあえずどっかに生き残りはいるだろ」



瓦礫の中を2人の男女が進んでいた。


男の方は動きやすそうな服を着ていた。上は頑丈そうなジャケットを着て、腰には剣を差していた。

女性は汚れのない黒いワンピース・ドレスを着ており、男と同じように腰には細めの剣を差していた。

男の名前はアキラ、女性の名前はミズキといった。


結構な距離を歩いたが、未だ人が住んでいる形跡にはたどり着けていない。


「しかし、やっと帰ってきたと思ったらこの有様とはな・・・」


アキラが歩きながら、先程までと同じように飛びかかってきた異形の生物を一太刀で切り捨てる。


「しかも完全に受肉してやがるな」


アキラが先ほど切り捨てた半身のあたりにしゃがみ込み、体内を確認する。

普通の動物とは異なり、体内からは意味があるのかわからない臓器がはみ出しており、肉の合間に拳くらいの大きな石が見えていた。


「魔石も持っていると・・・」


「まぁスキルが使えてよかったじゃん」


アキラはその石を手で掴みだした後、すかさず手に水の塊を生成して、血肉を洗い流す。


「しかし、こいつ食えるのか?」


アキラとミズキはそれなりに食料などの物資を持っているが、いつまでもそれらがあるわけではない。


「できればそれは最後まで取っておきたいなぁ」


「まぁおそらくダンジョンがあるだろうから、最悪食い物はそこで確保できるか」


「せっかく戻ってきたんだから文明のある暮らしをしたいよねぇ」


「そのためにさっさと人の住んでいる場所までいかんとな」


2人はその後も特に焦ったような素振りも見せず、のんびりと廃墟の町を進んでいった。



「ようやく人が住んでるところまでこれたか」


2人の目線の先には、いまだ崩壊していない大きな都市が広がっていた。

生存範囲は狭まったようだが、かつての日本が残っているようで安心した。


「でも私達たぶん死んだことになってるだろうしなぁ。そもそもそこらへんの管理も今どうなっているわからないしね」


2人は見た目通りの年齢ではなかった。

向こうの世界では、魔法のような非科学的な技術、事象が認知されていた。

その中にはダンジョンというものがあり、モンスターが溢れてくるものであると同時に、いろいろな資源を獲得できる場所でもあった。

2人はダンジョンの探索を生業としており、そこで産出される非常に有用なアイテムにもお世話になっていたのだ。

まぁ早い話が、ダンジョン産のアイテムで体を若く保っていたのだ。


もしなにか身分証のようなものが必要になれば少し面倒だと考え、2人は遠くに見える都市から視線をはずし、少し手前の離れた位置にある廃墟寸前の町を見る。

見るとそちらにも人の住んでいる気配はある。


「あっちならたぶん大丈夫だろ」


きちんと整備された都市からわざと離れるように存在するスラムのような町。

なにか訳ありだろうが、2人にとってその程度の危険は馴染み深い。

とはいえ一応は用心して、その町に向かっていった。



町に入ると、何人かのガラの悪そうな男がチラリとこちらを見てくるが、興味がなさそうにスグに視線を外した。

中にはアキラ達を見て、すぐに路地裏に入っていく者たちもいた。


「スラムみたいな感じだな・・・」


「スラムというか、犯罪者街に近い雰囲気だねぇ」


ミズキがそんなことを嬉しそうに言う。

たしかに女子供はおらず、いるのはガラの悪そうな男たちだけだ。


今までの状況から、おそらくダンジョンが地球にも現れて、それを完全に掌握できていないのだろうと2人は考えていた。

国としては管理できない区画を放置して、管理、防衛できる範囲のみに集中することにしたのではないかと考える。

真っ当でない商いをするような輩は、ある程度の危険は承知で国の管理外の場所に町を作るのだ。

向こうの世界でもちらほら見かけた光景だ。

また、完全に隠れた場所に作るのではなく、管理区画だと思われる街からごく近くに存在することも、国にそれほど余裕が無いことが見て取れる。


「治安が悪くなっているようで残念だ」


「まぁこの程度なら全然ましな方だよね」


2人はてきとうにそこら変にいる手頃な男へと近づく。

すると男は警戒するような素振りを見せ、腰から拳銃を引き抜きアキラ達へ向けた。


「おい!それ以上近づくんじゃない!」


その言葉にアキラは手を上げ、降参の意思を見せる。ミズキは相変わらず楽しそうに笑っていた。


「おいおい、銃も解禁になったのか・・・?」


「ねぇお兄さん、ちょっと聞きたいことがあるんだけど良いかな?」


アキラ達が銃に全く怖がる様子を見せないようすに困惑する男だが、気を取り直してアキラ達を威嚇する。


「はぁ!?そんなん別のやつに聞けや!他にもいっぱいいるだろうがよ!」


「まぁまぁそう言わずに、これをあげるからさ」


そう言ってミズキがアキラの上着のポケットから、道中モンスターから得た魔石を取り出す。

その行為に 男は警戒してミズキに拳銃を向け直すが、無邪気そうなミズキが行ったこともあり男は動くことができなかった。


「はい」


ミズキが男に魔石を投げ渡すと、男は片手で受け取る。


「ってこれ魔石じゃないか!しかも結構でけぇ!くれるのか?」


「あ、やっぱりそれ価値あるんだ」と嬉しそうにミズキが呟くのを横目に、今度はアキラが話しかける。


「ああ、それをやるから、ちょっとそういった物を買い取ってくれる場所とか教えてくれないか?」

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