↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
41/41

武闘大会編4

そろそろ入試が近いので、暫く更新は控えさせていただきます。

 





 淀んだ瞳は常に無感動。

 口許は常に楽しげ。

 ソフィアはその問いに答える。


「うん。彼が、そうだよ」


 そう言って仮面の少年を見る。

 それは何故、という次なる問い。


「女の勘」


 迷いのない答え。

 焦りと興奮は伝わってくる。

 だが、共感は出来ない。


「ま、楽しくいこうよ」


 ソフィアは変わらぬ表情で眼下の試合を見続ける。


「ところで、彼は誰なのかな?」


 視線の先には、端整な顔の男性がいた。

 異様な存在感を放つその男が、集を倒してしまわないか心配するソフィアである。


「……ん?知り合い?……君の知り合いって、碌な人がいないよね」


 ソフィアは淀んだ瞳を再び仮面の少年に戻す。

 少年と繋がるその存在を見透かすかのように。




 ∈∈∈∈∈∈∈∈∈∈∈∈∈∈∈∈∈∈



 屈強な肉体は、まるで精巧な彫刻のよう。

 強靭な鋼のごとき筋肉の鎧は、服の上からでも見てとれる。


「あんまガッカリさせんなよ。ここには強いやつが来んだろ?」


 聞き惚れるような低めの声は、渋いと形容するにはあまりに無邪気。

 外見こそ中年の男性であるが、その表情は少年そのもの。


「こんな弱っちい奴らに娘はやらんぞ!」


 正拳突き。

 そう称される動作も、彼が行えば引き起こされる結果が違う。

 空気の壁を突き破ったかのような破裂音が響き、風が荒れ狂う。

 なんと、その風だけで人が飛んでいく。

 約半数の選手が吹き飛び、光になって消えていく。


「イケメンはオラが守るだぁ!」


 集は例の肉厚な女性が盾になってくれたので、無事その場に留まる。


「くそぉ!こんなとこでぇぇぇ!!」


 吹き飛ばされ、結界にぶつかった骸骨のイヤリングをした男は、悔しそうに光になっていく。


『す、すごいぃぃ!!一体何が起こったぁぁ!!』


『シュウ以外にこんな奴がいるとは……』


 残り10人。

 本来は全員が敵同士の勝ち抜き戦なのだが、現在の構図は1対9だ。


「強い奴はいないのかぁ?」


 その声は少し寂しそうだった。

 軽侮され、憤る選手は少なくなかった。

 というか、集以外の全員だった。


「ふざけんなよ!まだ全力じゃねえし!」


「残り全員を敵に回したな!バカめ!」


「オラぁ強いだあ!あのイケメンもタイプだあ!」


 大分数は減ったが、1対8。

 本来男に勝ち目はない。

 数の力は侮れない。

 だが、男にとってのこの8は、もはや0に等しい。


「かかってこい!耐えてみせろ!」


 男が腕を振るう。

 その剛腕から放たれたのは、荒れ狂う空気の暴力だけではない。

 かつてとある大陸の人類を恐怖のどん底に陥れた、美しき力。

 ただ一人を除き、全てを屈服させた、極上の栄光。

 莫大な黄金の奔流が全てを呑み込む。


「嘘だろ……。《聖域の黄金(エターナルサンクチュアリ)》」


 集は、崩壊しそうだった結界の内側に禁呪の防壁を張り、黄金の奔流を塞き止める。

 自身の身は《絶対防御円陣(アイギス)》で守りきり、残ったのは男と集のみとなった。


『し、試合終了ー!!!眩しすぎて何も見えませんでしたが、なんといつの間にか決着が着いてましたー!!今回勝ち残ったのは、ユウ選手とガエル選手の二人だぁぁ!!』


『今回の大会のレベルが異次元になっておるぞ!』


 拍手喝采の中、男は残った仮面の少年を静かに見据えている。

 ゆっくりと集に近づいていく。

 大抵の者は気絶しそうな威圧を放っているが、少年は静かに見返す。

 男が問う。


「お前、どうやって防いだ?」


「魔法で」


 仮面の少年は、静かに答えた。

 男は顎に手をやり、顔を顰める。


「……これを防げる魔法?……人間は帝級までしか使えないんじゃなかったのか?」


「ん?なに?」


「なんでもない。それより、次の試合は本気でかかってこい!」


「……まあ気が向けば」


 集の返事にふんと鼻をならし、男は集の横を通り過ぎていく。

 集は男の背中に、8枚の翼を幻視した。




 ∈∈∈∈∈∈∈∈∈∈∈∈∈∈∈∈∈∈




「ガブリエル……元天界の王、ね」


 ソフィアはポップコーンを頬張りながら、独り言を洩らした。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。