『策謀の結末』
原題は「策謀家たち」という意味で、ほぼ同じだけれど、複数形になっている。犯人とコロンボを合わせて「たち」と言っているのかもしれない。
いきなり犯人役のクライブ・レヴィルの歌から始まる。バンジョーの演奏もするし、後のシーンではスタンダップコメディも見せて芸達者なところを見せる。スターウォーズの皇帝の声は初め彼だったけれど、あとで配役が変わったので記憶に残っていない。コロンボも吹替えで見ているので、関係がないと言える。
犯人はアイルランドの詩人だが、次の場面ではいきなり銃を大量に購入していて、革命家だとわかる。殺人自体も裏切り者を殺したもので、これまでのような私利私欲による人殺しではないと思われる。謂わば戦争で人を殺すようなものだ。それ自体がいいこととは思わないが、それを捕まえるのはコロンボの仕事ではないように思える。コロンボ自身も迷っているようだ。ラスト近くで、ようやく壜の傷に気づいたようにも見えるが、そうだとしたら無能すぎる。気づいてはいたが、ようやく追求する気になったということだと考えたほうがいいと思う。その間、犯人は今までの犯人のように殺人を隠す策を弄するのではなく、革命のための銃を探し続けている。
コロンボと犯人が並んでピンボールをするところが好きだ。「空飛ぶ絨毯」の魔神と「スクエア」というロックバンドの絵が面白い。あと、被害者が糖尿病だからウィスキーを飲まないというのはおかしい。蒸留酒には糖質は含まれていないから飲めないことはないのだ。解剖の結果アルコールが検出されなかったというだけのことではないか。
被害者がホテルに用意した酒がアイリッシュウィスキーなのは洒落ている。ここまで、ここを過ぎず。最終話にふさわしいセリフだ。これ以上続けるのはやめよう。このままでは国家のイヌに成り下がってしまう。潔く去ろう。新シリーズなんて作るもんか。