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第四十九話 防衛と発展

「……あれは……魔法を利用しているのか?」


「そのようですね、水と風の魔法で……たぶん、生贄を使って魔素を濃くしてますね……」


 敵船は大型の帆船が5隻。

 各船の船首に何やら儀式のための魔法陣が敷設されている。

 そこで、魔法を増幅して船の機動力を操作しているんだと思われる。


「海が穢れるなぁ……船の技術はそこまで高くないな、魔法で補助して無理やり人を乗っけてる感じか」


「開発と竣工が遅れており、申し訳ございません」


「いや、カイのせいじゃないし、急いで危ない船になっても困る。

 それに、良いヒントを貰ったからより良いものにしていこう!」


「とりあえずタスク様、どうしますか?」


「まっすぐこちらの港に進んでいるなら、普通に陸から防衛しよう」


「タスク様、ウェンディがぜひ参加させて欲しいと」


「ああ、だろうね。こちらからも頼むよ、ルーケウスと一緒に前線に出てもらう」


「承りました」


「さて、俺たちも行こうか!」


「ははっ!」


 国全体をクリスタルを利用した魔法陣で包んでいることによって、各都市を少人数であれば転移することも可能になっている。

 音声通話はいつでも出来るし、情報の共有はしっかりとされている。

 転移には大量のマナが必要なので、基本的に精霊付きの魔法使いしか不可能だ。

 現在俺にドライアド、ガリウスにシルフィード、ルーケウスにウェンディ、フェルにサラムンディが付いている。ホントは地魔法を使うボーナじーさんもいるんだが、いつもノームと酒を飲んでるし、高齢だから戦いからは除外している。道を作ったり土壁を作ったり、内政にのんびりと打ち込んでもらっている。

 

 うちの大陸は西側は山脈によりウンジャミ以外は断崖絶壁だ。

 敵が来るとすれば北の港街ノスルディア、東の港町イスタク、南の港町ササスになる。

 今回はノスルディア海上に敵影を捕らえた。

 

 俺たちもすぐにノスルディアに飛んだ。


「……よくアレを見つけるな……獣人って凄い……」


 望遠鏡で見ても海上に黒いゴマ粒が有るのを確認できるぐらいの遠方に敵影を確認した。

 精霊を利用した遠視によって敵の状態は見たが、実際にはゴマ粒だ。

 獣人達は、しっかりと船影を捉えるのだから、やっぱり獣人は凄い。


「思ったより、まだ手を出せないな……」


「タスク様! あの儀式嫌なんで、潰していいかしら?」


 そう過激なことをクールに話すのがウィンディーネ。

 ルーケウス付きの水の精霊だ。

 水が穢されるのは嫌だし、海の精霊も嫌がっているらしい。


「一応、敵意があるのか確認しないといけないんだよなー……

 ルーケウス行ってくれるか?」


「わかりました。お任せください」


 ルーケウスは目の前の海に迷うことなく降り立ち、波打つ海面にふわりと降り立つ。

 ウィンディーネと一緒に海面をすごい速さで滑るように敵へと移動してあっという間に見えなくなる。

 俺も出来るけど、あんなに綺麗には移動できない。

 近くに小さな船があったら転覆させるぐらいには派手にしか移動できない。


『えーっとタスク様、不愉快なマナを垂れ流すのを止めて属国に慣れば奴隷として生かしてやるそうですが、どうなさいますか?』


『全力で潰すからかかってこい。で』


『わかりました』


 通信を切ると同時に、巨大な水柱が立ち上がった。

 しばらくすると二人が戻ってきた。

 もちろん無傷だ。


 遠視で確認すると船首を切断されて慌てふためく人々が見える。

 

「位置関係的にもう少し友好のフリして近づけばいいのに……」


「相手の魔法使いがいきなりそんなことを言って、こいつは驚いていましたよ」


 ウィンディーネが海から人を引っ張り上げてきた。

 完全に拘束されているが、魔人だ。


「ムガ! ふんが! フがー!」


 それはもう凄い表情で俺たちを睨みつけて騒いでいる。

 魔人もまさか自分を拘束できるなんて思ってないだろうからね……


「一応話は聞いてやるが、大声出したら殺すぞ?」


「ングッ……(コクコク)」


「ルーケウス」


 ウィンディーネは嫌々口を塞いでいる水の鎖を開放する。


「貴様ら、何をしたのかわかっているのか?

 魔王様の計画をぶち壊す奴らに鉄槌を必ず下すぞ!」


「大声出すな、すぐに殺すぞ」


 俺は抜き手で軽く魔人の胸を突く。


「ゴフッ……ば、馬鹿な何者なんだお前らは?」


「人間嫌いの人間と、獣人、それに精霊だ」


「精霊……忌々しい、獣人を囲い込み我らに抵抗するのか……

 貴様らの時代は数千年前に終わったのだ……

 人間を使って魔人の世界にする壮大な作戦が……」


「そう言えば魔王とか言っていたな、そいつが人間に魔素を生む魔法を広めたのか?」


「魔王様の叡智は我らになぞ理解できぬ!

 フハハハハ! 死んだぞ貴様ら! 我が同胞がこの地に押し寄せグハァ……!!」


「大声出すなよ」


 俺はコアを抜き取った。


「まぁ、予想通りだな。

 えーっと海上の奴らも殺しすぎるなよ?」


「全員木切れを渡して、ゆっくりと港に流しているそうです」


「仕事が早いな」


 ルーケウスの言う通り、ゆっくりと敵兵は捕獲され、大量の捕虜となった。

 船に積まれた大量の物資もありがたく回収済みだ。

 ルーケウスに似てウィンディは仕事も早く有能だった。


「じゃんじゃん連れてこい! 片っ端から治してやる!」


 船底でひどい扱いを受けていた獣人の治療に、久しぶりに思う存分腕を奮いました。


 

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