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第四十三話 精霊ノーム

 久しぶりにカンナギの街に戻ってきた。

 周囲は森で囲まれているが、完全に街になった。

 2つの都市を得て、カンナギ西の鉱山、森での収穫と豊富な資源を利用して発展し続ける3都市の噂はどんどん広がって、危険な旅をして集まってくるものや、もともと周囲でひっそりと暮らしていた人間も街に、街道沿いにその生活の居を移していく。

 隠れ住んでいた獣人たちも続々と合流してくる。

 小さないざこざも起きるが、もともといる古参メンバーは闘気をたっぷりその身に宿し、栄養状態も雲泥の差だ。新規のメンバーは、古参メンバーには叶うはずもない。

 無謀な挑戦をする獣人も、完膚なきまでに叩きのめされ、おとなしく共に暮らすことを選んでくれる。


「タスク様、西の鉱山で妙な奴が現れたようです」


「魔物か?」


「なんか小人みたいな……何もしては来ないのですが、こちらをじーっと見てて不気味なんでさぁ」


「たぶんノームよタスク」


「精霊?」


「ええ、物静かだけど、怒ると怖いから、挨拶に行ったほうが良いわ」


 ドライアドの助言通り、久しぶりに鉱山地帯にやってきた。

 今ではかなりの数の坑道が作られ、豊富な鉱物を産出している。

 土と会話するではないが、鉱石はマナが豊富なためにマナを用いた資源探査が可能なために、非常に効率的な坑道づくりが可能になっている。


「なるほど、そのせいで非常にマナに富んだ土地になっているからノームが現れたんでしょうね」


「悪いことではないんだよな?」


「ええ、良いことだと思うわ。少精霊もちらほら見かけるし、すごく居心地がいいわ」


「んで、彼がノームと」


 じーっと壁を見つめているズングリムックリした体型の初老の男性がうっすらと光って見える。

 

「はじめまして……何か、ご迷惑でもかけましたでしょうか……?」


「……」


「なるべく環境は破壊せずに坑道を作って、採掘が終われば元の形にするように努力しますので、見守っていただけますでしょうか……?」


「……」


 言われていた通り、非常に無口だし、表情の変化もほとんどない。

 ここは、ドライアドの進言通りにアレを……


「これ、もしよろしかったらどうぞ」


「……!」


 あ、眉が上がった!

 そして、俺が差し出した瓶とグラスをゆっくりと受け取ると、とくとくと注ぎ込み、ぐいっと飲み干した。

 お、眉が下がった!


「お礼……」


 ノームは目の前の山壁に手を添える。

 次の瞬間!


 ドドドドドッドドドドドドドドドッドド!!


 みるみる山に洞窟が出来上がっていく。


「ダンジョン、有る……先は、海……酒、また欲しい……」


 そう言ってすうっと消えてしまった。


「えーっと、喜んでたよね?」


「ものすっごく。それに、この山ダンジョン化してたんですね。

 よかったです、偶然ダンジョンに通じてしまったらけが人とか出てましたよ」


「それに、先は海って……この巨大な山を反対側まで通じてるのこれ!?」


「土の精霊の力ですね。

 手を加えなければ決して崩れることもないでしょうし」


「大型の馬車も容易に通れるし、これ、海の幸を手に入れられる!

 それに……塩が手に入る!!」


 それから、大至急その洞窟を探索した。

 途中なんと鉄製の扉があり、その向こう側はダンジョン化していた。

 ダンジョンは巨大な魔物の巣で、大量の魔素が存在していて非常に危険だ。

 巨大な天然魔石が存在していることが多く、その魔石を浄化しなければ、魔物が生み出し続ける。

 ダンジョンの魔石は魔素によって半生物のように変化し、餌である宝を用意して、外部から人間を呼び寄せて自らの糧にする……らしい。


「とりあえずダンジョンは後回しで、今は海を確認しに行くぞ」


 照明器具と魔物よけを設置しながら、洞窟を進んでいく。

 入り口から徒歩で2日ほどでダンジョン、そこから3日ほどで出口に到達した。


「うわーーーーー」


 目の前に広がる水平線、そして、山からつながる傾斜の先には、真っ白な海岸線……


「想像していたよりも、遥かに美しいな……」


 まさに、息を飲む絶景が広がっていた。

 洞窟を出てしばらくは平坦な丘が広がっている。

 ここに住居を作れば最高のシチュエーションになることは間違いない……


「最高のプレゼントだな……」


 とりあえず、仮拠点を作る物資は持ってきているので、この日はこの最高の風景を楽しみながら過ごした。本当にいい場所を知ることができた。

 

 翌日は海岸の探索を行ったが、なんというか、天国だった。

 主に食材の。

 この海岸には巨大な山脈と俺達が済む死の森で覆われているために人の手が一切入っていない。

 豊富な水産資源が存在していた。


 森から海までの道の整備を行いながら、ダンジョン探索も開始し始めた。

 俺、ガリウス、カフェ、カイ、ドライアド、シルフィード、とノームだ。


「……大地、汚す……」


「なるほど、大地を汚すダンジョンをなんとかしたいってことね」


 静かにノームがうなずく。

 

 この豪華なメンバーでダンジョンを進んでいくことになる。

 


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― 新着の感想 ―
[一言] 海は有能。はっきりわかんだね! ダンジョンも楽しみ!!
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