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17―つかぬ間のほのぼの

たいっっっへん遅くなりましたっ!




 ショーマ達は朝食を食べに市場へやってきた。事情聴取を受けにに詰所に行くと、まだ準備が整っていないと言われた為だ。


「へぇー、この辺の屋台はテーブルと椅子があるんだね」


「そうだね。ウィスは何が食べたい?と言っても、この時期のアルカンには魚料理しか無いけど」


「そっか。この雪じゃ狩りも出来ないのか。うーん。なんか温まる料理が食べたいな!」


「温まる料理か。それならあそこの屋台はどうだろう。湯気がモクモク立っているよ」


「ほんとだ。何が食べれるんだろ」


 ショーマはソラの見つけた湯気の沸き立つ屋台に向かった。




  ◇◇◇




「いらっしゃい!」

「おはようさん。女将、いつもので」

「はいよ!今日はシュリンプが入ってるけどいるかい?」

「おお、そりゃいいなぁ!貰うよ」

「はい!全部で銅貨7枚だよ」

「シュリンプは良い値がするなぁ。ほらよ」

「半身だからね!確かに、また来ておくれよ!」


 ショーマはそんな威勢の良いやりとりをしている横で湯気の立ち上る鍋を覗き込む。中には煮汁が並々と満たされ、数々の具材がその琥珀色の海でチャプチャプと泳いでいた。


 こ、これは!ポトフ・・・いや、おでんじゃないか!!匂いは洋風だけど、おでんだ!!


 ショーマはソラにここにしよ!っと伝えると、早速注文に取り掛かる。


「おばさん!全部一つづつ!」


「はいよ!って、え?」


 屋台の女将は全種類注文した子が幼い女の子に見え驚いている。


「ウィス、そんなに注文して全部食べられる?」


 ソラも流石に食べきれるのかと確認をした。


「いやぁ、昨日の夕飯が少なすぎてさぁ。育ち盛りの俺には全然足りなかったんだよね。本当はさっさと家に帰って母さんのご飯が食べたいけど、お昼まで帰れなそうだし。もうお腹ペコペコで死にそう」


「死にそうって。そんなに少ない量だったの?」


「パン1個にめっちゃ薄味のグズ野菜スープが一杯だけだよ?あいつらほんと何考えてるんだろうね。あの寒さであの量じゃ辛いよ。空腹で動けない様にしてたのかな。だとしても、せめてちゃんと味のするスープが飲みたかったよ。パンも2個は欲しかったな。肉、魚を食わせろとは言わないからさぁ」


 ショーマは昨夜のメニューを思い出し、げんなりとしている。


「そんな夕飯しか出なかったのか?大人並に食べるウィスには辛かったろうな。まぁ、残したらわしが食べるから大丈夫だ。わしも久々に力を使ったら腹が減ってしまってな」


「じいちゃん大丈夫だよ!俺、これくらいなら余裕で全部食べきれる!」


「そうか?じゃあ、わしも全種類頂くかな」


「私も全種類でお願いします」


「え?ブラウンさんも?」


「私は昨日の夕方から何も食べていなくて。この匂いを嗅いだら急にお腹が減ってしまったよ。スカイもだろう?さっき腹の虫が鳴いてたから」


「ははは。バレてたか。じゃあ、全種類を4人分でお願いします。おいくらですか?」


「え?あぁっと、銅貨48枚だよ。本当にその子は全種類食べるのかい?」


「うん!大丈夫!」


「本人がこう言ってますし、ちゃんと全部食べると思いますよ」


「そうかい。ま、男だらけだから残しても誰かが食べるか。はい、どうぞ」


「わーい!ありがとう!!向こうで座って食べてるね!」


 ショーマはおでんを貰い、ルンルンとテーブルへ向かった。


「ふふふ。可愛らしい娘さんだね」


「いや、息子なんですよ」


 女将は驚き、茹で玉子をよそり損じて鍋にぽちゃんと落とす。


「え!?息子!?ありゃまあ。息子にしちゃあ可愛すぎだろうよ」


「妻にそっくりなんですよ。男の子なんでいろいろと大変みたいですけどね」


「そうなのかい。間違えて人攫いに捕まらないように気をつけてやりなよ?最近流行ってるらしいからね。はいよ」


 女将の言葉に三人は一瞬固まる。すでに誘拐され済みとは流石に言えない。


「ハハッ。そうですね。ジエンさん、先に食べててください」


「そうか?ありがとう。わしも向こうに行っているな」


 リンドはおでんを受け取るとショーマの前へ座った。

 ソラは続けて女将に訊ねる。


「そう言えば、アルカンの冬は魚の印象でしたが鳥肉や卵があるのですね。この雪の中で狩れるものですか?」


「お兄さん達は余所の人かい?アルカンでは15年前から養鳥が始まってね。確か、魔物に成りにくい種類だとか。今代のソルマンティ様の一番の功績だよ」


「へぇ。ソルマンティ様の。でも今はロクサンド様が領主ですよね?確か、政変で失脚したとか」


「あんなの、ロクサンドの陰謀だよ。町のみんなは知ってることさ。ただ、まぁ大っぴらには言えないがね。はいよ」


「ブラウン。先に貰って」


「いいのかい?じゃあお先に」


 シドはおでんを受け取るとリンドの隣へ座った。

 女将がソラへ話しかける。


「そう言えば、今日は朝から警備兵やら自警団やらが忙しそうに動き回っているね」


「そうなんですか?僕たちは昨日きたばかりなので、ここの朝は初めてなんです」


「そうなのかい。なら来る時期が悪かったね」


「時期ですか?」


「今夜辺りから寒波がくるみたいでね。キリナントルの船も今日出てしまうらしいよ。はいよ」


「そうなんですか。ありがとうございます。じゃあこれで。あ、お釣りは取っておいてください」


 ソラは大銅貨1枚(銅貨50枚)を女将に渡す。


「そうかい。ありがたく頂いておくね」


 ソラはおでんを受け取ると、ショーマ達の元へ向かった。




  ◇◇◇




 ショーマはおでん(朝食)を前に悩んでいる。


 どれから食べよう。安定のニンジン、丸ジャガ、玉子から行くか?それとも身体が欲しているソーセージ、肉団子、鳥肉にしようか?もしくは本日のスペシャルっぽいエビにする?

 うーん。悩むー。とりあえず、スープを一口飲んでからにしよ。


「いただきます!──うんまっ!」


 ショーマはスープの美味しさに目を真ん丸にしている。


 うん!決めた!まずは玉子にしよう!


 ショーマは茹で玉子をスプーンに載せ、半分ほどかじって頬張る。


「んー!ごくん。はぁ、しあわせ♪」


「ウィスは旨そうに食べるなぁ」


 リンドはそう言いながら、ショーマの前に座る。


「だって、美味しいもん!あーん。んんんー(おいしー)♪」


 ショーマはにこにこと茹で玉子をたいらげにかかる。


「どれ、わしも頂くかな。

 ──おぉ!これは旨いな!」


 リンドも鳥肉をかじり満面の笑みを溢す。


「ふふふ。美味しそうだね」


 シドが二人の様子を見ながら、リンドの隣に座る。


「うん!めっちゃ美味しい!空腹だったから余計に!」


「なるほど。それは期待値が高いね。では私も。頂きます。

 ──うん、美味しい」


 シドは大振りのエビをかじると、思わず笑みが溢れた。


「クスッ。みんな美味しそうだね」


 ソラが皆を見つつ、ショーマの隣に座る。


「うん!ビックリするほど美味しいよ!」


「そうかい?どれ、僕もいただこう。

 ──これは、本当に美味しいね。さすがウィスが選んだお店だ」


「えへへ。でしょ?」


 ソラは美味しさに微笑みつつ、ショーマの頭を撫でた。




 四人はのんびりと朝食を食べた。ショーマはもちろん残さず食べきった。




  ◇◇◇




 四人は食後の腹ごなし兼時間潰しに港の散策をしている。


 うーん。ちょっと食べ過ぎたかなぁ。でも、美味しかったな!

 特にあのエビ!ロブスター並に丸々とした身を殻を外して半分に割っただけだったけど、ブリッブリの食感が最高だったなぁ。

 スープもエビや鳥肉の出汁が出てて味のまとめ役として最高だし、何よりコスパが素晴らしかった!

 また食べに来たいな。今度はサクラさんとヒスイも連れてみんなで来よう!


「そうだ!父さんにいろいろ聞きたい事が有ったんだよね!」


 ショーマが思い出した様にソラに話し掛けた。


「僕に聞きたいこと?何だろう」


「今朝、なんで自警団の人があの船に乗ってたの?あと、あいつらが奴隷商ってやつだったの?それと、父さんって飛べるの!?」


「そうだね。ここではなんだから自警団の詰所で話そうか」


 ソラはそう言うと、ショーマの手を取り歩き出した。





女神様 「ねぇ、朝木さん?」

朝木  「な、なんでございましょ」汗タラリ

女神様 「次回予告ってどういう意味かご存知?」

朝木  「ええ。でも、あくまでも予告ですし」

女神様 「その様な言い訳は要りません!」ビシッ

朝木  「ヒッ!」ビクッ

女神様 「そこまで辿り着けないのに予告しない!」

朝木  「は、ははぁー」( ノ;_ _)ノ


 予告詐欺しました。申し訳ありません。

 だって、なんかショーマとソラ達のやり取りがのほほんとしてて。そっちを書きたいなーって脱線しちゃったんだもん!

だもん…( ;∀;)



 次回、事後処理その3。です。

 今度こそいろいろ教えてもらいます。



 応援して頂けると嬉しいです(^^)

 訪問だけでも大感謝(^^)/



 ブックマークの追加、ありがとうございます!

 ハッ\(゜◇\)(/◇゜)/ハッ

 ↑歓喜の舞い



 次回更新は月曜日になります。

 納期なんかくそくらえ!

 って言ってみたいなー。


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