18―事件の真相1
ちょっと遅くなりました。
ショーマ達は自警団の詰所へやってきた。入り口の団員に会議室を借りたいと伝えると、簡単に中へ通される。
1階のロビーに足を踏み入れると、前からやって来た団員に声を掛けられた。
「すいません。ジエン様ですか?」
「いかにも、わしがジエンだが。君は?」
「俺はビルです。この度はご協力頂きありがとうございました」
ビルはそう言うと、丁寧に腰を折った。
彼は中肉中背でパッと見て特徴のある顔でも無い。良くも悪くも平均的な男だ。
「君がビルか。うん?君が詰所に帰っていると言うことは、そちらは済んだと言うことか?」
「はい。完膚なきまでに叩き潰して参りました」
ビルはそう言って爽やかに笑った。
「そうか。わしが言うのもなんだが、ご苦労さん」
リンドはビルの肩をぽんぽんと叩き労った。
「恐縮です。そうだ、これからジョナサンの尋問ですが、ジエン様もいらっしゃいますか?」
「いや、そこまで深入りをするつもりは無いな」
そうですか。それでは失礼します。と言ってビルは玄関から出て行った。
◇◇◇
ショーマとソラ、リンドは会議室に入った。シドはロビーでお茶を淹れてきてくれるらしい。
「なんか、今の人物騒なこと言ってたね。尋問だって」
ショーマは思わずといった感じで言葉を漏らす。
「悪いことをした人間は裁かなくてはいけないからね。まぁ、自業自得というものだよ」
ソラはそう言いながら、入り口の扉近くへ座った。ショーマはソラの隣に座る。リンドはショーマの隣で窓際の椅子に座った。
会議室のテーブルは八人掛けの大きな楕円形。その入り口側の弧の部分にショーマとソラが座っている事になる。
暫くするとシドがお茶の入ったカップをお盆に載せ会議室へ入ってきた。シドは皆の前にカップを置くとソラの隣でリンドの向かいの椅子に座った。
「ありがとう。じゃあ、ウィスの質問に答えていこうか。まずは自警団が何故あの場に居たかだけど。昨夜の話からした方が分かりやすいかな」
ソラはそう言って、昨夜この会議室で起こった事を話し始めた。
「昨日の夜ウィスと話したあと、女の子達の作戦を自警団の人に伝えたんだ。そしたら、オズ君達に向かって何を考えてるんだって怒ってね」
「え?なんで?」
「お前達がその場にいるのに、どうして危ない目に合わせるんだ!って凄い剣幕だったぞ」
リンドが笑いながら理由を教えてくれた。
「当初の予定では彼らも一緒に島を出る予定だったみたいだよ。同じ船に乗れるかも分からないから、あんな作戦になったみたい。でも、結局は出発が早まったりして同行出来なくなったんだって」
「そうだったんだ」
「そこからまぁいろいろあって、女の子達の奪還と奴隷商の捕縛を自警団が担当することになってね。それで、あの大型船を出す事になったんだよ」
「あの船おっきかったね。島の小さな船着き場に停められるものなの?キリナントルの商船だって沖に停まってたのに」
「あぁ、それは船が停められる様にブラウンが船着き場の海底を魔法で削り取ったからだよ」
「はは。地形を変えちゃうなんて、やっぱブラウンさんはすごいや」
「そうかな?ざっと海底を鋤き取るだけだし、きっとウィステリア君もあれぐらいは朝飯前だと思うよ?」
ショーマはシドの指摘に、俺も朝飯前なのかな。と懐疑的に考える。
「そうだ、犯人達が観光船って言ってたけどあれは戦艦だよね?」
「ウィスの言う通り、あれは自警団所属の戦艦だよ。深夜にジエンさんの魔法で静かに出航したから、今朝港で大騒ぎになってたみたいだね。朝御飯を食べた屋台の女将さんが言っていたよ」
「へぇー、そうなんだ。てか、父さんはちゃっかり情報収集してたんだね」
「スカイはそういうのが巧いんだよね。私とは大違いだよ」
「そうなんだ」
シドさんって意外と不器用?
シドがソラを褒める。ショーマは少し失礼な事を考えたが、今は違うと話の先を促した。
「自警団所属の戦艦って事は判ったよ。でもさ、男達が中を確認したのにどうして自警団の人が乗ってるのに気づかなかったの?」
「それは、動力室という部屋に隠れていたからだな。テッドが言うには、一番敵に知られてはいけない場所だそうだ。だから、普通には入れないと言っていたぞ」
ショーマの疑問にリンドが答える。
「動力室って、なんか随分近代的な船なんだね。ちなみにテッドさんって誰?」
「自警団の人で、今回の協力者じゃなかったんだけどいろいろあって協力することになった人かな。昨日話した自警団の協力者はさっき会ったビル君だよ」
「テッドはあの船に一緒に乗っていたが、ウィスとは会わないまま出てきてしまったな。まぁ、わしらが帰る頃にはここへ戻るだろう」
「なるほど。じゃあテッドさんが被害者奪還の指揮をとった人なんだね」
「そうだよ。これでなんで自警団があの場に居たかは解ったかな?」
「うん!」
「じゃあ、次の奴隷商についての話をしようか」
ショーマはお願いします!と話を聞く体勢になる。
「島に居た三人が奴隷商だったんだよ。それで、その奴隷商の代表がジョッシュっていう男なんだ」
「うーん。頭って呼ばれてた人かな?」
「それで合っているよ」
「へぇー。あれ?代表が自ら現場に居たの?まぁ、稀にみる大量受注みたいだったけど」
「それが、今回の取引先が大物だったと言うか、問題だったと言うか」
ソラは困った様に言い淀む。
「スカイ、別に言ってしまってもいいんじゃないか?どうせ私達には関係の無い事だし」
「そうなんだけどさ。今後の女神様の無茶振りに依ってはウィスには関係無いとは言えなくなるかもしれないし」
シドにさらっと言ってしまえと言われたが、ソラはちらりとショーマを窺う。
「父さん、今後関係が有りそうなら尚更教えて欲しいかな」
ショーマはソラの目を正面から見て言った。
「そうか。そうだよね。出し惜しみしている場合じゃないか。
今回の取引先は、ソローシャンの現国王なんだ」
まさかの王様キター!何これ、よくあるお約束ってヤツ!?
ショーマは親玉登場に興奮を隠せない。
だが、リンドが待ったを掛ける。
「スカイ、それはちと語弊があるぞ。ソローシャンの王を通じて隣国が依頼してきたのではなかったか?」
「隣国って?」
ショーマの疑問にシドが答える。
「ライオネル王国と言う国だよ。今の国王はその国と協定をいろいろ結んでるみたいでね。
でも、ライオネルはソローシャンに無理難題を良く言うらしいよ。立地も豊かさも別格だから虎視眈々と狙っているらしい」
「ふーん。ライオネルかぁ」
ソラは話を進める。
「国絡みで奴隷商はジョッシュ自らが出張ってきたんだよ。まぁ、それは囮だったみたいだけどね」
「へ?囮!?」
「実際にはライオネルからそんな依頼は出てないんだよ。セシルさんって居たでしょ?そのセシルさんが巧く事を運んでジョッシュに偽の発注を受けさせたんだって。だから、今回の事件はほぼ全部計画通りに進んだみたいだよ」
「でもまぁ、私達が関係したのは想定外過ぎたみたいだけどね」
シドが苦笑いで茶々を入れる。
「そりゃそうだよ。俺の誘拐も計画通りだったら未来でも見えるのかって話だから。
あれ?でも、町で大捕物があるって言ってなかった?奴隷商を捕まえるのは消化試合だったんだよね?」
「あぁ、それはね・・・」
ソラは説明を続ける。
朝木 「あー」
ショーマ「どうしたの?」
朝木 「ソラとシドの会話文が同じ過ぎてどっちか分かんない!」
ショーマ「とりあえず落ち着けって。基本ソラさんなんでしょ?」
朝木 「そうだけどー」
ショーマ「どっちか判らないのは全部ソラさんで良いじゃん」
朝木 「うう。難しい…」
説明を話してるのは基本ソラです。
シドの台詞はこんなこと言ったよって書いてあるのがそれです。
(。´Д⊂)
自警団が奪還作戦に参加した理由はこんな感じです。
決してテッドの暴走ではありません。
(;・∀・)
次回、事後処理その4。です。
説明はまだまだ続く。
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