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6―恐怖で・・・


 本日、ちょっと長めです。





 ショーマは集めた騎士をどうするか考える。


『めんどくさいから、川に流せばいいんじゃないか?』


「ユカリは短気だなぁ。そんなことしたら今後レイカーが襲われて危ないよ」


『ショーマ様の言う通りです・・・』


 ソロンはショーマの魔力に当てられて元気が無い。


「ソロン、ごめんね。今魔力制御が出来なくて」


 ショーマは先程から魔力制御を使おうと試みているが失敗している。魔力を出したり使ったりする事は簡単だが、留める事が出来ない様だ。

 ちなみに騎士を集めている時にユカリから臭いと言われ、隠蔽魔法は展開済みだったりする。


『いえ、大丈夫です。すみません』


『ショーマ、だったらコイツらどうするんだ?』


「ここはただ帰って貰えば良いと思う」


『帰って貰うと言っても、気絶していますが。どの様になさるおつもりですか?それに、この者達がどこから来たかご存知なのですか?』


「俺が転移させればいいんじゃないかな。ちなみに彼らはシャインレイの騎士だよ。剣の柄に紋章があったから。ってことで、ちょっと城に行って広めの場所を確保して来るよ。ユカリも一緒に来て」


 そう言うと、ショーマは立ち上がって転移魔法の準備を始めた。


『わかった。ソロン、念のため警戒は怠るなよ』


『大丈夫です。ユカリ殿こそ気を付けて。ショーマ様、よろしくお願いいたします』


「うん。じゃあ行ってきます」


 ショーマはユカリと共にラアイテの城へ転移した。




  ◇◇◇




 ショーマは城の客間のバルコニーに転移してきた。


「よっと。さて、ユカリにちょっと城内を見てきて欲しいんだけど」


『どこを見てくれば良い?』


「あの塀を左に辿って行くと兵舎とかがある筈なんだ。その近くに広場が無いか見てくれる?」


『わかった。少し待ってろ』


 ユカリはショーマの肩から飛んで行った。




『おい、見てきたぞ。ショーマの言う通り、デカイ建物の隣が広場になっていた』


「そうか。人間はどれくらい居た?」


『かなり居たぞ。数は多すぎて判らん。建物の中にもかなりの気配があった』


「一応この国の中枢だもんね。よし、とりあえずそこら辺の人を気絶させてから作業をしますか。ユカリ、案内と警戒を頼む」


『任せろ』


 ショーマとユカリは騎士の寄宿舎、訓練場等がまとまっているエリアに向かった。そして、ショーマの威圧で周辺の人間を全て気絶させる。


 その後、レイカーの湖に戻ると集めておいた騎士達を連れ、警戒要員のユカリと共にもう一度城へ転移した。




  ◇◇◇




 ショーマとユカリは騎士を訓練場に積んだ後、城内へと侵入した。侵入と言えども堂々と正面突破だ。とは言え、常時威圧を放っているので使用人や勤め人はどんどん気絶していっている。


 そして、城の一番奥まったエリアにある王の執務室へ辿り着いた。ショーマは儀礼的にノックをすると、返事も聞かずに扉を開いた。


「へぇー。やっぱりコーネリアスは耐えたか。さすがこの国ナンバーワン」


 執務室の中では、側近と思しき人間は気絶をし、コーネリアスでさえも椅子の上でガタガタと震えている。


「うん?どうした?そんなにガタガタ震えて。あ、もしかして俺の魔力に当てられた?」


 コーネリアスは言葉を発する事が出来ない様だ。ショーマは部屋に入ると、ずんずんと奥へ進む。


「あ、そうだ。俺の探索にでた騎士達は鍛練場に積んであるよ。気絶した大人の男を集めて連れてくるのは大変だったよ?」


 ショーマは執務机の前に立つ。そして、コーネリアスの顔を正面から覗き込んだ。


「うーん。今にも気絶しそうだね。言いたい事だけ言って帰るか」


 ショーマは一つ溜め息を吐くと、コーネリアスの机の上に卒業証明証を置いた。


「二度とあの湖に近付くな。そうだな、近付かない限りはシャインレイに手を出さないよ。

 あと、それは返す。いつでも簡単にここまで来れるから」


 コーネリアスはその一言で更に青褪めた。


「さぁて、そろそろ帰ろうかな。じゃあまたね」


 ショーマはコーネリアスに向かってヒラリと手を振り、執務室を後にする。そして、扉を閉めるとレイカーの湖へ転移した。



 ◇◇◇◇◇


 ほう。人間を恐怖で従わせたか。


 ここのところ忙しくて観れなかったが、なかなか成長しているな。


 順調そうで何よりだ。


 ◇◇◇◇◇




 ショーマはユカリと共にレイカーの湖へ戻ってきた。


『ショーマ様、お疲れさまでした』


「ありがとう。これで人間がここに近づくのは減ると思う」


『完全に来なくなる訳じゃないのか?』


「うん。王様だって全員の行動を縛れる訳じゃないからね。と言うことで、ユカリには引き続き偵察を任せる」


『おう。今まで通りだな。ソロン、これからもよろしく』


『こちらこそよろしくお願いします』


「ふわぁ。じゃあ、そろそろ俺は帰るね。今帰ったら3時過ぎか・・・」


 ショーマ達はここまでの事を一時間ちょいで成し遂げた。


『あー、その、帰る前に俺に魔力を補充してくれないか?無理やり転移したから魔力が心許ない』


「りょーかい。あ、ちょっと転移魔法を改良したから。たぶんこれで少しはマシになるよ」


『それは助かる。さっきは胃がひっくり返るかと思ったからな』


「後で鳥小屋に仕掛けておくから。使い方は前と同じね」


『わかった』


 ショーマはユカリに魔力を補充すると家へ帰っていった。

 そして家に着くと速攻で寝た。




  ◇◇◇




 私はここまでの恐怖を感じたことは生まれてから一度もない。あれは人間なのだろうか。


 ─────

 ───

 ─


 うーん。ジョージは無事手に入れたが。──ウィステリアか。ふむ、どうにかして手に入れられないものだろうか。プランから来ているならば、ぎりぎり証明証の追跡が届く範囲だな。


「おい、ニコラスを呼べ」


 私は魔法師長のニコラスを呼ぶと彼にウィステリアの監視を命じた。




 ウィステリアは学校を出ると、街に一泊し街道を西へ向かった。

 ここまでは予想の範囲内だ。だが、次の報告で私は耳を疑った。

 西の街道から反応が忽然と消えたと思ったら、直後に西の大森林で反応が出たと。


「どうなっているのだ。街道からどんなに早くても一日は掛かる距離だぞ」

「うーん。転移でもしたんですかねぇ」

「馬鹿な。あれは机上の空論だ」

「陛下をもってしても使えませんでしたもんねぇ」

「まさか、カルメーナの魔法が継承されていたのか?ニコラス、騎士団から30人ばかり見繕って確認に行け」

「らじゃあ」




 夕方になるとウィステリアの反応は消えてしまった。




  ◇ ◇




 翌日、午前の執務を黙々と処理していると、突然寒気に襲われた。


「なんだか寒くないか?」

「そうですね。もうすぐ冬になりますし、そろそろ暖房の支度をしましょうか」

「ああ。後で手配を頼む」


 そんな話を側近としていると、彼は急に気を失った。私の身体はガタガタと震え、力が入らない。すると、扉をノックしてくる者が居た。そいつは返事も聞かずに扉を開ける。


「へぇー。やっぱりコーネリアスは耐えたか。さすがこの国ナンバーワン」


 ウィステリア?どうしてここに?


「うん?どうした?そんなにガタガタ震えて。あ、もしかして俺の魔力に当てられた?」


 これが、魔力だと?私よりも強大な魔力を持つのか?


「あ、そうだ。俺の探索にでた騎士達は鍛練場に積んであるよ。気絶した大人の男を集めて連れてくるのは大変だったよ?

 うーん。今にも気絶しそうだね。言いたい事だけ言って帰るか。

 二度とあの湖に近付くな。そうだな、近付かない限りはシャインレイに手を出さないよ。

 あと、それは返す。いつでも簡単にここまで来れるから」


 いつでも簡単にだと?こんな魔力を持った者が!?冗談じゃない・・・。


「さぁて、そろそろ帰ろうかな。じゃあまたね」


 ウィステリアが扉を閉めると、ガチガチに固まっていた私の身体は弛緩した。どうやら彼の存在がこの城から消えたらしい。

 ははは。私は手を出してはいけない化物(バケモノ)に手を出してしまったようだ。



 私は側近やニコラス達が目を覚ますと、西の大森林にある湖への接近禁止令を出した。





朝木  「ショーマ!あれ?ショーマ!!」

朝木  「女神さまー!?」

朝木  「・・・誰も相手してくれない(ToT)」


 これで一応、魔法学校編&卒業編は終了です!

 ダラダラと引っ張ってしまい申し訳ありませんでした。

 これからもダラダラしてしまうこともあるかと思いますが、お付き合いのほどよろしくお願いいたします。m(._.)m



 次回からは“実家でほのぼの編”です!

 ソラと稽古をしたり、卵が孵ったりします。



 応援して頂けると嬉しいです(^^)

 訪問だけでも大感謝(^^)/


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