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25―光溢れる夜景


 今回はいつもよりちょっとだけ長めです。

 オマケあります。





 夕食を終えるとジェレミアは父王の元へ、ショーマ達は客間へ戻った。

 客間は明かりが点いておらず、真っ暗だ。


()()()っと。イアン、火を頼む」


「はいはい。()()()


 二人はこうなる事を予測していたのか、杖を携帯していたらしい。いつもやっている流れ作業の様に、ヒューイが(ライト)の魔法で辺りを照らし、イアンがマッチ位の火力に調整した松明(トーチ)の魔法でランプに火を着けた。


「へぇー、そうやってランプに火を着けるんだね」


 人間の魔法はやっぱりめんどくさいな。俺は想像するだけで着くけど。あ、でも最近ランプ自体を使ってないか。


「そうですよ。ウィスは魔法を使っていないんですか?」


「ううん。俺はランプを使ってないかな」


「え?ランプを使わないでどうやって部屋を明るくするんだい?」


「じゃあ実演して見せよう!」


 ショーマは鞄からゴソゴソと杖を取り出した。


「ディア・レイ・フェア・ボール、平にして、もうちょい明るく、色は夜だから暖色で、天井付近に停滞っと」


 ショーマの出した光の円盤はふよふよと天井に向かって行く。ヒューイとジョージはその光をみつめている。ただ、イアンは一人だけ視線の先が違う様だ。


「ほら、火事の心配も無いし、消すのも消滅の魔力で一瞬だし良くない?」


「俺、そんな(レイ)(ボール)の使い方は初めて見たよ。

 魔法っていうのは、極力少ない魔力で効率良く魔物を攻撃する事が重要で、(レイ)(ボール)の基本用途は目眩ましか囮だからね。まぁ、ライトやトーチみたいな例外はあるけど」


「へぇー、そうなんだ。便利だと思うんだけどな」


「そんなことより!ウィスの杖!見せて貰えませんか!!」


 イアンは突然ショーマに詰め寄る。その顔は欲望に満ち、鼻息も粗い。


「うぇ!?急にどうしたの!?」


「あー、イアンは杖マニアなんだよ」


「杖マニアとは失礼な!杖を愛でるのが趣味なんです!」


 それがマニアって言うんじゃないの?てか、渋ったらなんか恐ろしい事が起きそう・・・。


「──はい、どうぞ」


 ショーマは素直に杖を渡す。


「おおおー!ウィスは金属の杖なんですね!でもこの軽さ、芯材は木ですね?(かし)ですか?(ひのき)ですか!?」


 あ、これ、本当の事を言っちゃいけないやつだ。芯材が世界樹で、コーティングがドラゴンの鱗入り白金なんて言ったらどうなることか。


「──えっと、魔物の骨だよ。普段から火を使ってて、木材とは(ことごと)く相性が悪くてさ」


「そう言えば、ウィスが最初に使える様になったのは(ファイ)でしたね」


「そうそう。だから魔物の骨の銀コーティングの杖なんだ」


「──へぇ、そうなんですね。ありがとうごさいました」


 急に興奮から醒めたイアンは、ショーマへ杖を返す。


「さ、そろそろ夜景を見ませんか?ウィス、光を少し暗くしてください」


「りょーかい」


 イアンはランプを片手にバルコニーへ出る。ショーマ達もそれに続く。


 城から見下ろす景色は光が溢れ、とても幻想的だった。


 中央区を区切る壁とラアイテの街の外壁と水門の上には篝火(かがりび)が焚かれ、二重の弧を描いている。

 中央北門から港までの大通りの両脇と港の堤防沿いには白色に発光する街灯が等間隔に並び、家々の窓からはオレンジ色の明かりが漏れている。

 港と海は真っ暗かと思いきや、月明かりを反射してキラキラと輝き、水平線はこの星が球体である事を主張するかの如く青白く浮かび上がっている。

 そして2つある月と、それに負けない程に煌めく満天の星空は息を飲む程に圧巻だ。


「はぁー。これは凄いね」


「本当に。ジル様から招待して頂けた事に感謝です。

 そう言えば、外壁の上には結構な数の篝火が焚かれているんですね」


「そりゃね。暗いと警備もできないし。かといって、魔法を使える兵士はそこまで居ないしね」


「ふーん。じゃあさ、あの大通りと港で光ってるのは何?色から言って火じゃないよね?」


「あれは、魔石灯と言います。サフーラ大陸にネイパーラという国があるのですが、そこには発光する魔物が居るらしいです。その魔物の魔石は、魔力を流すと発光する性質がありまして、それを街灯に利用しています」


「へぇ、そんな物があるんだ。それにしても、港の辺りは特に幻想的だね。絶対デートスポットでしょ」


「そうですね。コーネリアス陛下がそうなる様に整備したみたいですよ」


「王様って案外ロマンチストだね」


「そうだな。母上の祖国へ旅行に行った時に、街並みや広場の美しさにかなりの衝撃を受けたらしい。それから色々整備していったそうだ」


 ショーマが声に反応して振り返ると、ジェレミアが窓枠に身体を預けて佇んでいた。


「あ、ジル、お帰り」


「ジル様、今日は招待していただきまして本当にありがとうございます!この感動は一生忘れません!」


 ジョージは目をキラキラと輝かせ、食い気味にジェレミアへ御礼を言う。


「お、おぉ。それは良かった。夜になった事だし、ひとっ風呂行くか?」


「いいねぇ!行く行く!」

「僕も行きます!」

「私は遠慮しておきます」

「俺ももういいやー」


 ショーマ達はイアンとヒューイを部屋に残して本日2度目の大浴場へ向かった。




  ◇◇◇




 居残り二人組はバルコニーで何やら話をしている。客間では召使いが寝床の用意をしている。


「ヒューイ、ウィスの杖ですけど。でも、勘違いかもしれないですが・・・」


「はっきり言いなよ。いつものイアンらしくない」


「あれは銀じゃなくて、白金だと思うんです」


「いやいや、平民が白金の杖なんて買える訳が無いじゃん」


「でも、魔力を含んだ時のあの輝きを見るに銀でない事は確かです。芯材は絶対に木ですね。私が木と骨と間違えるハズがありません」


「へー。あ、全然話違うんだけど」


「なんですか?」


「ジルから聞いたんだけど、ウィスが謁見の間を真剣に見てたじゃん?理由を聞いたら、将来の為って言ってたらしいよ」


「将来の為ですか。うーん」


「ウィスって何者なんだろうね?」


「そうですね。只の平民では無い気がします」


「じゃあ、どっかの国の王族とか貴族?」


「いやいや、それはないですよ。たぶん」


「違うと言い切れない何かがあるよね」


「本当に彼は何者なのでしょうか」




 二人が核心に迫る事は無いだろう。




  ◇◇◇




 客間には修学旅行の様に枕を内側にして二列に並べられた寝具が用意されている。雑魚寝宜しく日本式の布団だ。


 この布団はいつの間に用意されたんだろう。

 そう言えば、風呂に行く前にジルが何か召使いの人に言ってたね。

 あー、しかし。この布団の感じは落ち着くな。肌触りもふんわり滑らかで。やっぱり高級なんだろなぁ。さすがお城で出される布団だ!はぁ。持って帰りたい。


 ショーマは高級布団を抱き締めたり、頬擦りをしたりして堪能している。


「そうだ。皆さんはどの様なご関係なのでしょうか」


 ジョージはふと思い付いたのか、王子トリオへ質問する。


「あ、俺も気になった。ジルは王子なのに二人との距離が近いよね」


 イアンはジルに向かって小言を言ってるし、ヒューイなんてたまにジルをからかってるもんな。それこそ()()って怒られそうだ。


「イアンとヒューイは俺の側近だ。幼い頃からずっと一緒に居るから距離が近いのだろうな」

所謂(いわゆる)幼馴染みです」

「それに俺はジルと乳兄弟だしね」


「そうだったのですか」


 うーん。乳兄弟って、あれだっけ。貴族のなんか、あれだよね?・・・後で女神様に確認しよ。


「──それよりさ、皆はどんな女の子が好き?俺はね・・・」


 ショーマは夜の定番を話し始めた。皆もその話に乗り、あーでもない、こーでもないと議論を繰り広げる。


 夜も更けると、一人(ヒューイ)また一人(ジョージ)と脱落していく。


 ジェレミアの「そろそろ寝るか」の言葉でショーマは(レイ)(ボール)を薄暗くし、消灯タイマーをセットすると夢の世界へ旅立った。





 ☆おまけ☆

 ~~夜の大浴場のショーマ達~~


 ショーマ達は露天風呂の縁を枕代わりにして寝そべる。


「うわぁー!星空しか見えない!!」

「今にも星が落ちてきそうですね!」

「《星を掴むと願いが叶う》って言い伝えも、ここなら信じられそうだろ?」


「そうだねー。手を伸ばせば本当に届きそう」


 ショーマはそう言うと、星空へ向かって手を伸ばした。


  ☆☆☆



 あー!景色の描写が難しすぎる!!

 想像してるのが伝わってるかが心配です。

 絵でも書ければ良いんですけどね・・・(ノ_<。)



 次回はまた王様が登場するよ!



 応援して頂けると嬉しいです(^^)

 訪問だけでも大感謝(^^)/



 ブックマーク件数が二桁になりました!

 ありがとうございます!

 ε=ε=(ノ≧∇≦ノ わーい!!

 ↑万歳しながら走り抜ける朝木 笑


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