多分…初めまして?1
私は今、明るく優しい陽が差す庭園にいる。辺りを見渡せば綺麗なパステルカラーの花が咲き乱れている。花の匂いも、陽の暖かさもちゃんと感じる。何故か懐かしさも感じる空間。でも、それを不思議に思う。
…私はさっきまで王宮の自室にいて、ベッドに入っていたはずだ。それが目覚めれば、見たことのない場所に立っている。辺りを見渡した時に視界に映ったが、私の服も寝た時と変わっている。水色を基調としたプリンセスラインのドレス、袖は手首辺りまであり、シアーで刺繍が施されている。…こんなドレスを私は持っていないはず。なのに何故…。
そう考える私の背中側からふと風が吹き抜ける。風に揺れ、花達が舞い上がり、視界がパステルカラーで埋め尽くされてしまう。とりあえず風が止むのを待ち、瞼を閉じていればすぐに風は止む。ゆっくりと瞼を開ければ、視界には先程までは無かった道が出来ていた。もう一度辺りを見るが、やはり前の道以外は変わらず壁のように花が塞いでいた。
どうしたら良いのか、悩んでいると再び背中側から風が吹く。今度は辺りを巻き込むようなものじゃなく、背中をそっと押すような、この道を進めと言っているような加減で。
このままここに居ようと変わる様子がないので、恐る恐る足を進めることにした。道はただ真っ直ぐ続くだけで、景色には何一つ変わり映えはない。平坦で変わらない道を前を向いて歩いていれば、先の方で花の壁が途切れている、いや円を描くように広がっているのか、少し景色が変わる。慎重に歩を進め、漸く壁の切れ間…ガゼボに辿り着いた。ここまで体感で五分程度だろうか、思っていた以上に長かった。丁度良い所にガゼボがあるから一休みを、と考え向かえば、そこには誰かいた。
咄嗟に身構え、相手をジッと見つめるが、陽の光でよく見えない。どうするべきか、と立ち止まり様子を窺えば。
「安心なさい、私は貴女に敵意など持ち合わせていないわ。」
凛としながら、どこか優しさを感じさせる声。どこかで聞いたことのある、懐かしさも感じる。しかし、私は警戒心を解かず、声をかけられても尚立ち止まっていた。
「…ふふっ、偉い子。言葉だけで信用せず、見定めようとする姿、安心したわ。」
楽しげに、満足気に話す彼女。そんな彼女はスッと立ち上がり、歩き始める。逆光で見え辛いが、確かに影は私の方に向かい、大きくなる。片足を僅かに後ろに下げ、いつでも振り向き逃げられるよう準備をする。それを悟ったのか、彼女は言う。
「警戒心も状況判断もしっかり出来ているわね。…でも今逃げられたら、次の機会はまだ先。申し訳ないけれど、退路は断たせてもらうわね?」




