継承
四年ぶりに、久々に作ってみました。
魔導鍛冶師ザッツライト。
更新はスローペースとなりますが、これを読んでいるあなたの心のロウソクに、温かな火がつく事を願っています。
あの日、師匠はカンカンッと槌音を響かせながら言った。
『7年だ。どんなに才能のある鍛冶師でも、この歳月をかけて、やっと自分の最高傑作を世に放てる。』
汗を拭いながら、続けた。
『30年も経てばな……どれだけ優れた者でも、関心のない連中からは“街路樹”のようにしか見られなくなる。』
ライトよ。
鍛冶は一瞬のものだ。
その一瞬で生まれた剣が、誰かの人生を紡ぐほどに、心に炎を灯す。
その炎は邪悪か、聖なるか。
はたまた、世界に希望をもたらすか。
鍛冶師は日の目を浴びるためにいるのではない。
誰かの曇った心を照らすために、命を燃やす——それが真の務めだ。
鍛冶師は、剣士と共に歩むことで初めて姿を現す。
いつか剣が必要とされない日が来るまで、お前は誰かの灯火となれ。
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あんなに泣いた日はなかった。
大好きな爺ちゃんは、とても気持ちよさそうな寝顔で旅立った。
胸元には、最初に俺が作った剣を抱えて。
木の良い匂いがした。
風に吹かれて、俺の心まで届いた。
振れば、刃先が柔らかくも鋭い音を鳴らした。
爺ちゃんは凄い。
最強だ。
そう言いふらしてたっけな。
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「あー、あの変な形の剣ばっか作ってた人の……可哀想に」
「聖剣士様のご威光で名が広がっただけで、剣自体はたいしたことないのにな」
「人を選ぶんだよ。俺ら冒険者風情じゃ、ろくに振れねぇ剣だってこった」
……嫌味がましい囁きが聞こえる。
参列席に並ぶのは、爺ちゃんの功績を快く思わなかった鍛冶師たちばかり。
エルフ、人間、獣人……
器用さと体力が武器のドワーフ族だからって、誰もが傑作を生めるわけじゃない。
そんなこと、誰だって知ってる。
なのに……!
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葬式が終わり、二十年ぶりに涙を流した。
嗚咽も、びしょ濡れの襟も、だらしなくすする鼻の音も——全部、写真の中の爺ちゃんに見られている気がした。
爺ちゃんは昔と変わらない明るい笑顔で、泣き腫らした俺を見つめている。
あの日の「感動」を、まだ忘れてない。
あの日の「温もり」を、まだ忘れてない。
あの日の「灯火」を、まだ消してない。
――俺がなるんだ。
俺が、新しい「誰かの灯火」になる。
命は尽きても、彼の意志は消えない。
次は俺が……《魔法鍛冶師》の名を、世界に轟かせてやる。




