㉔対抗戦 前編
「事務所内で対抗戦をやろうと思うの。」
姜子が口を開いた。練習後、事務所で集まっていた時だった。
「対抗戦?どういうことですか?」文太郎が訊く。
「貴方たちを二つのチームに分けるのよ。」
「「!」」
皆、すぐに合点がいったようだ。
「じゃあ、あたしと文太郎で勝負じゃん!面白そう!」
ナオミは乗り気だ。
「やるからには負けないですよ。」と文太郎。
しかしサティは不安気だった。
「ええ・・・。じゃ私とシェンちゃんが分かれちゃうの?」
私も自分の意見を表明した。
「仲間同士で戦うのは有意義だと思う。みんなハイレベルだから尚更ね。」
サティが私に依存し過ぎるのはまずいと思っていた。
一度分かれてみるのもありだ。
「サティちゃん、離れてても私達は繋がってるよ。大丈夫だよ。」
と励ます。
「シェンちゃん・・・。」
姜子が口を開く。
「私が一番懸念しているのはそこなのよね。シェンがもし落とされたり、
エネミーから逃げていたりしたら、サティに指揮を取って貰うことになるわ。その時の為に練習を詰んでおく必要がある。
サティはソロリーグ出身だから、尚更経験不足でしょう?」
「そうですね・・・。分かりました!私、やります!」
「そのいきだよ!サティちゃん!」
「いいね~、二人の関係性。私は文太郎と戦いたい。」
「勿論よ。最初はシェンと組んで。5戦で交代。」
「じゃあ最初は俺がサティさんとですね。よろしくお願いします。」
「よろしくお願いします・・・。できるだけ頑張ります。」
「世界戦ではシェン並みの後衛が出てくる可能性があるわ。
でもうちのチームは練習相手に事欠かない。シェンがいるからね。」
と姜子が話をしめた。
次の日から対抗戦が始まった。
こちらの布陣は、ロングレンジスナイパーの私と、ナオミを含む前衛3名だ。ナオミ以外も猛者に入って貰っている。
カナダ2位の元軍人はロペスという名前だそうだ。アサルトライフルを使っている。今回は仲間だが、エネミーになったら要注意だ。
文太郎とエネミーとして向き合ってみると、その「速さ」の脅威を感じる。文太郎が視界からいなくなると、常に裏取りされる可能性を考えなくてはならなくなる。文太郎は前衛の中でも群を抜いて速い。
経験則に当てはまらない速度で近付いたり、戦線を移動したりする。スナイパーにとって厄介極まりない。
そして文太郎はワイヤーでの空中移動が抜群に上手い。
ワイヤー移動というのは戦績に数値として残らない為、
上手さが分かりにくい要素だが、実戦では非常に大事なスキルだ。
以上のことから、「文太郎を倒せれば最善、前線で足止めできれば次善。」という指示を出すことにした。
ナオミから「文太郎と私、1on1やっていい?」と無線が来た。
ナオミ対文太郎の直接対決か・・・。面白い。
「ナオミさん、やっちゃって下さい。」
「うし!」
世界レベルの前衛同士が戦うことになる。
つづく
副題: -One of Million Bullets-
読んで頂きありがとうございます。できれば評価お願い致します。




