3-5
もう、どっひあぁぁ〜って感じで廻琉はお世話係に就任してしまった。
とはいっても飲みものをお持ちしますがなにがよいですかとマネージャーも含めてリクエストを受けて運んだりとかだ。
やってることはアルバイトの仕事と同じだ。
時間になった。
演奏者はいない。
オケの音源を流している。
この店はライブハウスじゃないんだけど碧色叔父さんのこだわりで音響機材は充実している。
ほとんどが趣味で集めたものだけどライブハウスより音が良いかもしれない。
この日は自分の演歌の持ち歌、カバー曲、もちろんヒット曲の「漆黒」も歌って80分ほど。
全11曲。
撮影などの裏話や芸能界でのエピソードなど興味深いお話で盛り上がった。
盛り上がったといえばやはりヒット曲「漆黒」を歌った時だ。
ヒット曲があれば強いなと廻琉はお客さんたちの盛り上がりを見ながら肌で感じとった。
それと演歌の人ってなんて声量があるんだろうとも。
羽田のヴォーカルとは大きく違う。
廻琉はサインを書いてもらった。
有名人の初めてのサイン。
色紙は店に常備してある。
1枚もらった。
イベント出演者よりもお客さんの中に有名人がいたりする。
吉祥寺という場所柄もあってマンガ家が多く訪れる。
その他にはロケで訪れる有名人もいる。
なんと、おかんとばあちゃんもちゃっかりとサインをもらって写真まで撮ってもらっていた。
廻琉は忘れていた。
帰りはすっかり遅くなった。
夜も9時を回っていた。
じいちゃんがアルコールを飲んでいて電車で帰るのが億劫になったらしい。
タクシーを呼んでもらって廻琉とおかんも便乗して帰ることになった。
家には明かりがついているのでおとんが帰っているのがわかった。
間違いなくラーメンを食べての帰宅だろう。
中に入るとちょうどお風呂に入れるようになっていた。
おかんに急かされて廻琉は大急ぎで入って大急ぎで出てきた。
セミロングの髪でもドライヤーで乾かすのにはそれなりの時間がかかる。
ジュース片手に2階の自分の部屋に戻ったらもう10時すぎ。
それでも1時間は受験勉強ができた。
とにかく英語だ。




