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とんでもないことが起きた。
午後に入ってから。
全員の休憩も終わってまったりとした夏の時間がすぎていた。
エアコンの効いた屋内にいるので真夏の倒れるような激アツからは距離をおくことができている。
入口のあたりにいるのでお客さんの出入りのたびに目に見えない夏のモワアァが襲いかかってくるのは勘弁してもらいたい。
お客さんはいるのになんだか売れないねってボヤキたくもなるような昼下がり。
1組の老夫婦がやってきた。
ダイコンから見ていって野菜とフルーツをお買い上げ。
それはよいのだが接客の途中で野々さんと伶蕗の態度が明らかに変わった。
廻琉の目にはなんだか緊張しているように見えている。
お買いものが終わって野々さんと伶蕗がとびきりの「ありがとうございましたぁ」って言ってる。
廻琉だけがよくわかってない。
「なんでござる?
なにがあったんですか?」
どうしても訊かずにはいられない。
あの老夫婦の正体は?
「えっ、本当に知らない?」
伶蕗が驚いている。
野々さんはう〜んって顔してる。
「まさか『むむむの猫娘』を知らないとか?」
「そ、それくらいは知ってるでござる。
長期間アニメ化になってる人気マンガや。
たしか少年モガジンに連載してなかったっけ?」
「それよ。
えっ、まだわかんない?」
むむむの猫娘はかなり古いマンガ。
アニメ化になっていて何回もリメイクされている。
それで少年モガジンでも復活して連載中。
「えっ、え〜と、え〜と···」
「では教えて上げましょう。
さっきのおじさんが、なにをかくそう『むむむの猫娘』の作者の山木しげる先生だ」
「えぇ、そうなの···
せっしゃ、ぜんぜん気づかなかった。
もっと早く言ってよ」
「早く言ったらど〜するのよ?」
「う〜サインもらう」
これからだ。
夕ごはん前の買いものの時間帯。
忙しくなるかなって思ってたがそうでもなかった。
いまひとつ盛り上がらない。
売れ残りが発生している。
予想してたよりは悪かった。
翌日は2割ほど減らしてみたが売れ残りが発生。
結局、4日間の営業でパッとしない結果で終わってしまった。




